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Text by 山元翔一
Text by 小野寺系



全世界にファンを持つ冨樫義博による原作漫画『幽☆遊☆白書』。2024年には連載終了から30年の節目を迎える本作が、Netflixによって実写化、2023年12月14日より独占配信される。



人間界に加えて、魔界、霊界という人の世ならざる場所を行き来する主人公・浦飯幽助たちが繰り広げるバトルと人間模様、そして妖怪やさまざまなクリーチャーたち……実写化不可能と思われた『幽☆遊☆白書』は、なぜいま実写ドラマ作品として世界に送り出されるのか。先日公開されたティザー映像のみを手がかりに、Netflixコンテンツ部門バイス・プレジデントの坂本和隆、坂本とともに『今際の国のアリス』も手がけたTHE SEVENプロデューサーの森井輝に話を訊いた。



ー『幽☆遊☆白書』が実写ドラマ化という企画、発表時は非常に驚きました。



森井:坂本さんから最初にお話をいただいたときは、「嘘!? あの作品をどうやってやるの? やべえーっ!」って(笑)。



坂本:本当にそういうリアクションでしたよね(笑)。そういう「これをやるのか?」という感情って、やはり視聴者のみなさんも同じだろうなとは思っていました。



ーそれだけ難しい題材だと。本作では坂本さんは企画を、森井さんは制作を担当されたと伺っています。



坂本:『幽☆遊☆白書』は、学生の頃から手に取っていた身近な作品でしたし、いまもなお感情移入できる、いまの時代だからこそ表現できるおもしろさがあると感じます。



その一方で、魅力的な登場人物たちを表現することは技術的に非常に難しい。そこが今回の最大のチャレンジだと思っていますし、誰も見たことのない映像をつくるべく、我々Netflixの複数のグローバルチームはもちろん、いま一番信頼しているプロダクションパートナーと企画を進めていこうと、5年ほど前より製作をスタートさせました。



坂本:森井さんと手がけた『今際の国のアリス』でも、主人公たちが脱出しようとする「空っぽの東京」をどうやってつくるのか、というところが視聴者の興味・関心になったと思うんです。

だから今回も、「これ、どうやってやるの?」というハードルの高さが、視聴者にも刺激になるんじゃないかなと感じていました。



森井:Netflixのような力がないと到達できない領域なんですよね。「こんな作品をハリウッド級の規模でやれるんだ」という、その機会が自分に回ってくるとは夢にも思ってなかったですし、話をいただいたときは稲妻が走るような衝撃でしたね。



坂本:ここまでのことができるのは原作の魅力があってこそ、でもありますよね。連載終了から30年近く経って、いまもなお熱量を失わずに語り続けられている作品はなかなかないと思うんです。自分も含めてですけど、年季の入ったファンがこれだけ根づいてる作品……この人気ある題材を、やっと最先端の技術で実現できる環境が整ったという。



ー冨樫義博先生の作品では『HUNTER×HUNTER』も魅力的な題材だったと思いますが、『幽☆遊☆白書』を選ばれた。



坂本:『HUNTER×HUNTER』も、もちろん素晴らしい作品ですけど、我々は『幽☆遊☆白書』しか考えなかったです。



ーそれはつまり、いまやるべき要素を『幽☆遊☆白書』に見出したということですよね。



坂本:そうですね。月川翔監督にお願いしたあとは、森井さんと3人でテーマについて話し合っていったわけですけど、『幽☆遊☆白書』は違う世界、異なる種族の交わりが描かれた作品なんですよね。



いまは多様性の重要さが説かれる時代ですけど、違いを越えて融和することがまだまだ遠いところにある。

その難しさは『幽☆遊☆白書』の根底に流れるテーマでもあると思うんです。そういったところに、時代が変われど『幽☆遊☆白書』が求められてきた大きな理由があるんじゃないかなと思っています。



森井:いまの時代に「も」合っているってことでしょうね。結局これだけ読まれて、テレビアニメ版もいまだに配信で人気があるというのは、それだけ普遍的な内容が存在しているということですから。



ーなるほど。おふたりの『今際の国のアリス』で、とくにおもしろいと感じたのは、さまざまな意味で厳しい状態になっている日本に若者たちがどう向き合っていくのか、という視点が含まれていたところでした。今回もいまの日本に向けた大きなテーマがあるんじゃないかなと期待しているんですけど。



森井:(主人公の)浦飯幽助って、原作でもそうですけど、死んだときに「オレが死んで みんな せーせーしてる だろーしさ 生き返ったって ヒンシュク 買うだけさ」って言いますよね。でもほかの人のためにやっぱり生き返りたいという感情を持つ。そういう「生きようとする意思」は現代の日本でも響いてほしいと思います。



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浦飯幽助(北村匠海) ©Y.T.90-94



森井:ただ今回は、「いまの日本」というより、もっと視野を広げて、世界にとって重要なテーマを描いていると思っています。



坂本:そうですね。

偏見や差別があることによって世界から争いが絶えないというのは、やはりどの時代もずっと抱え続けている根深い問題だと思うので。そこは特に監督と議論しながら明確にしていきました。



ーあくまで多様性が本筋にあると。



森井:やっぱり、いまはそっちのほうが大きいんじゃないかなというか。世界中でいろんな問題が起きてしまっているなかで、幽助のような、そのあいだに立つ主人公の視点の話が必要なんじゃないかなと思います。



ー5年間、製作を進めていくなかで、いろいろなことがあったと思いますが。



坂本:そうですね。コロナウィルスの世界的なパンデミックの状況下で製作を続けていたので、撮影はどうしても制約を受けました。



でもポジティブな部分では、日本の映像製作の歴史において、前例のないレベルのVFXを駆使して表現を突き詰められた達成感がありましたね。それこそ、CGで毛先の一本一本までディテールをこだわるという、未踏の領域でのクリエイティブは最大のチャレンジでもあり、おもしろさでもありました。



なぜいま『幽☆遊☆白書』は実写化するのか?エグゼクティブプロデューサーらが語る

左から時計回りに:浦飯幽助(北村匠海)、蔵馬(志尊淳)、桑原和真(上杉柊平)、飛影(本郷奏多)のそれぞれをモチーフにした『幽☆遊☆白書』コンセプトアート ©Y.T.90-94



森井:これまで日本国内向けの作品を多くプロデュースしてきましたけど、「世界に向けてつくる」となるともう視聴者の分母から違うわけじゃないですか。だからNetflixも潤沢な予算を用意してくれていますし、ハリウッド大作を手がけてきた「Scanline VFX」をはじめ、複数のスタジオとの協働を得られるという強力な武器を手に入れられたんです。



坂本:Scanlineが2年前にNetflixの傘下になったんですよ。そのおかげで、これまで表現できなかった表現の幅が一気に広がった。そこはタイミング的にも非常によかったんです。



森井:それに今回は、あくまで日本を拠点にしながらイチから方法論を構築するという贅沢なことができたんです。



たとえば、戸愚呂兄の身長って120センチくらいなんですけど、滝藤賢一さんは180センチ近くあります。それをどう表現すればいいのか、いろんなことを試せたんですね。僕ら日本のスタッフがやりたい世界観をハリウッドのスタッフとどう一緒にやるか、すごく研究もしたしテストも繰り返しました。



そういう試行錯誤のなかで、撮影の時点でいろんな素材を用意しておこうと考えるのが日本人スタッフの気の利くところで。Scanlineからすると、こんなに丁寧に素材を揃えてくれることは、ハリウッドではないと。だから「カットによっては、多くのハリウッド作品を超えられる」と言ってくれたのが嬉しかったですね。



ーScanlineといえば、所属されている坂口亮さんが、今回スーパーバイザーとして参加していますね。



森井:そこは僕たちにとってはミラクルでしたね。

彼は話すことだったり、やり方もアメリカ風で、仕事はハリウッドの方法論で進めていくんですけど、『幽☆遊☆白書』のキャラクターには「日本ならでは」の感覚も投影されているので、文化的なところをわかってくれたんです。



日本人スタッフにとって未踏の領域ですから、アドバイスできる人もなかなかいないという状況下で、Scanlineに日本人の方がいてくれたのは大きかった。



坂本:一方でゾッとしたのが、戸愚呂兄弟のビジュアルをつくり込んでいく途中で、「ハリウッドのVFXのなかでもトップレベルに難しい。これは、SSランクです」って言われてしまったんですよ。我々は開けてはいけない箱を開けてしまったんじゃないか……でももう戻れない、このまま行くしかないぞ、という状況でした。



ーどういうところが難しかったんでしょうか?



森井:無数にありますが、まず戸愚呂兄弟の肌の質感を再現する作業が大変でした。見てもらえばわかると思うのですが、めまぐるしく肉体が変化していくので、リアルさとアクションを両立させるのに、ものすごく手間がかかるんです。そのシーンは、作品の仕上げをする段階にあっても最後の最後まで上がってこなくて、やっぱり「SSランク」だったんだと。



坂本:あとは人間界から霊界に行く瞬間の表現にも、力を入れています。最初はそれこそ、物理学者の先生たちにインタビューしながら「霊界があるとすればどういう場所なのか」「違う次元に移行する際にはどのような現象が起こるのか」など、リサーチと研究を重ねて到達したものなんです。ちゃんとリアリティが担保できていると僕たちが思えないものは、芯を食った表現にならない。そこは脚本も含めて準備の段階から取材を重ねていきました。



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コエンマ(町田啓太) ©Y.T.90-94



ーキャスティングはどうやって決めていきましたか。



坂本:基本的に我々と監督の3人ですね。浦飯幽助役の北村匠海さんは、最初の段階から一致しました。優しさもありながら、不良感、硬派感がある、という点でほかの候補が思いつかなかった。だから、主役はスムーズに決まりましたよね。



森井:目力もありますよね。逆に幽助をやれそうな人は、ほかにあんまりいないんじゃないかと。そういう意味では蔵馬役の志尊淳さんだって、ほかに誰がやれるんだって思います。あの美しさと妖艶さを持っている男性、なかなか見つかりませんよ。飛影役の本郷さんは、ビジュアルの原作再現度に期待ができましたし、ご本人も『幽☆遊☆白書』好きと聞いていたので間違いないなと。



そのなかで桑原和真は、僕ら一般人目線のキャラクターで、台本読んでいても僕は一番桑原に感情移入しちゃって。だから、活きのいい可愛げのある俳優がいいなと思いました。上杉柊平さんがオーディションで役を勝ち取ったんですけど、製作を進めながら「上杉さんでよかったな」と実感しました。



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蔵馬(志尊淳) ©Y.T.90-94



なぜいま『幽☆遊☆白書』は実写化するのか?エグゼクティブプロデューサーらが語る

飛影(本郷奏多) ©Y.T.90-94



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桑原和真(上杉柊平) ©Y.T.90-94



森井:左京役の稲垣吾郎さんは監督からも強い希望がありました。一見、主人公たちとは違う世界の住人で、何を考えているのかわからない、ミステリアスな左京は、僕らプロデューサー部としても是非にとお願いしました。



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左京(稲垣吾郎) ©Y.T.90-94



ー幻海師範役を梶芽衣子さんが演じるというのは、日本映画のファンとして意外な嬉しさがありました。



森井:それはもう、僕推しですね。僕が一番こだわったキャスティングですよ! キャリアを考えても、「梶さん以外考えられない!」って声を大にして。



とてもオファーを喜んでくれたし、「こんなおばあちゃんでいいのー?」と言いながら現場にいらしたのですが、楽しくて仕方がないって感じで、すごく力を入れて演じていただきました。ご自宅でも体づくりだったり、フットワークの練習をしていただいて。



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幻海(梶芽衣子) ©Y.T.90-94



ー戸愚呂兄弟についてはどうでしょう。



坂本:非常に魅力的かつ重要なキャラですけど、弟のほうは無口な性格でもあるので、色のついてない、まだ広く知られていない俳優でも成り立つかもしれないと最初は考えたんですよ。



海外から連れて来るべきかなど、いろんなことを考慮に入れたんですけど、やはり重要なのは妖怪でも目に感情が入ってないといけないというところで。「目で演技をする」ということがとても問われる役なんですよね。それもあって綾野剛さんにお願いしました。



『武曲 MUKOKU』(2017年)で体を大きく鍛えて、役づくりに臨んだエピソードを拝見するなかで、彼が肉体的な説得力にも耐え得る役者さんだということをご本人にも伝えました。「やはりあなたで考えたい」と話したとき、脚本も読まずに引き受けてくれました。



森井:戸愚呂兄役の滝藤賢一さんは、梶さんと同じぐらい僕推しだったっていうのもありますけど、誰も異論はありませんでしたね。本当にぴったりだったと思います。



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戸愚呂兄(滝藤賢一) ©Y.T.90-94



ー撮影は主にどこでおこなわれたのでしょうか。



森井:やはり日本の作品なので、ロケハンも日本でおこないました。東北地方から九州まで。ある島がひとつの舞台になるんですけど、神奈川、千葉、栃木、新潟、静岡、兵庫で撮った風景をまとめてひとつの島とし、そこにスタジオでの撮影を加えています。



東宝スタジオを7ステージまで使って、いろんな部屋をつくっていく。もっとも忙しいときは5つ同時に僕らが使っていたので、東宝スタジオの全12ステージ中、半分くらいを『幽☆遊☆白書』が占拠していました。



ー『今際の国のアリス』よりも多いんですね。



森井:『今際の国のアリス』はロケが多い作品だったんです。でも今回は、セットじゃないと表現できないシーンが多かった。でも時間を使ってつくっても、激しいバトルの描写の度にいちいちセットを壊していかなきゃいけないわけです。せっかく建造したセットを、第一段階、第二段階と、どんどん変形させていく。その壊している作業のあいだにほかのステージで撮影を継続すると。



坂本:舞台となる皿屋敷の町は、小規模な町ひとつを封鎖しながらつくっていましたからね。あれはびっくりしたな。



森井:レトロで雰囲気のある下関の竹崎市場商店街を借りきって、閉店したお店に食堂の入口をつくって撮影しましたね。そのお店のなかにパネルを立てさせてもらってセットをつくって。



坂本:あとは俳優のボディースキャンを含めて2週間以上LAでも撮影しました。特に戸愚呂兄弟の撮影が印象的で、首から下を全部CGに置き換える必要があったんですよ。綾野さんと滝藤さんが表情だけでどう演技をしていくのか、そこは印象深かったですね。



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戸愚呂弟(綾野剛) ©Y.T.90-94



ー首から上だけで演技をする……?



坂本:そうです。頭部を360度でスキャンしながら、カメラを配置してCGを当て込むんですよね。バトルアクションや喜怒哀楽の感情を、首から上だけで表現していかなきゃいけなかったんです。それは高いレベルの演技が必要になるので、本当にこのキャスティングでよかったなと思えましたね。



ー撮影現場や製作の過程を見ていないので詳細はわからないですけど、リアルタイムでスキャンしながら演技もするという感じですね?



森井:そうそう。たとえば戸愚呂兄弟と幽助のシーンを撮るとき、通常であれば滝藤さんや綾野さんが北村さんの前で演技をしているカットが本番なんだけど、その映像にVFXを加えていかなければならなかったんです。



そこで滝藤さんや綾野さんをCGに置き換えて、さらに生身の演技をスキャン(ボリューメトリックキャプチャ)するためにLAのスタジオに行きました。そこでの演技が2人にとっての「本当の本番」になるんです。首から上だけで演技をする、というのはそういうことです。



でも、ハリウッドのキャストだと、こんなスキャナの設備のなかじゃ演技ができないと言って、やってくれない場合もあるみたいです。でも2人は100%以上の全力でやりきってくれました。「こんなに熱演してくれたのは初めてだ」と、現地のスタッフが目を潤ませていましたよ。



ー現時点で配信されているティーザー予告の映像では、原作の漫画以外に、テレビアニメ版の雰囲気も入っていると感じたんですけど、世界中に原作ファン、アニメ版のファンが数多くいるなかで、どういうバランスに着地するのかというのが難しかったのではないかと推察します。



森井:おっしゃるように、テレビアニメ版しか知らないファンも多いので、僕らは「漫画を原作にしたものなので、アニメとは関係ございません」という姿勢ではいけないと思っていました。そういった、みんなの知っているイメージを活かしつつ、僕らが今回お届けするにあたって、驚いてもらえるような新しい表現を考えながら完成させていったという感じです。



ー逆にドラマという視点から考えると、『幽☆遊☆白書』という題材で、日本のドラマを海外の視聴者に提供するという意味もある企画だと思うのですが、海外に日本のドラマを提供する際の難しさは、どのようなところにあると思われますか。



坂本:そこは各作品で考えていかなきゃいけないとは思うんですけど、『幽☆遊☆白書』は全世界にそもそも多くのファンがいるので、その点ではあまり心配はしていません。むしろ今回は、そういうポテンシャルのある作品を届けていくうえで「いかにして高いクオリティに到達させるか」がもっとも問われる点だった。



Netflixは製作国がサムネイルに表示されているわけではないので、190以上の国と地域で平等な見られ方をするということですから、やはり恥ずかしくないものにしなければならない。そしてストーリーテリングにおいても、各エピソードを配信作品として楽しんでもらえる構成にしていく。その点は『今際の国のアリス』と同じです。



ーいまの日本のコンテンツっていうと、特に海外ではアニメが存在感を放っていると思うんですが、そういう状況のなかでどう勝算を立てていますか。



森井:そもそも日本の映像界では、これまでなかなか世界の目を意識したものをつくれてこなかった。そういう環境下にあったのが、Netflixをはじめとする映像配信サービスを通じて、ようやく世界に向けたドラマ製作がはじまったばかりだと思うんです。そういうことを意識して僕らが最初につくったのが『今際の国のアリス』で、実際に世界で多くの視聴者が見てくれた。シーズン2がつくられ、3もつくられます。



森井:いま日本人のドラマ製作者たちが新たなキャリアを重ねている最中なんですよ。『幽☆遊☆白書』という作品は、VFXの点で初めてハリウッド大作のレベルでやれる企画でした。しかも日本人の感性やスタッフの力が活かされている。だから、誰も見たことのないものができあがったと思います。



坂本:僕はアニメも実写も、ポテンシャルはほぼ同等だと思っています。プロデューサーもクリエイターも、日本の実写の映像業界の方たちが世界と比べて劣っているかというと、まったくそうではないとつねに思っている。日本のクリエイティビティの高さにはすごいものがありますし、繊細で丁寧な仕事ができるという点は、我々の強みだと思います。



逆に重要なのは、そういった才能をどうサポートするのかというところですね。『幽☆遊☆白書』や『サンクチュアリ -聖域-』においてもそうですし、新たな表現ができる環境をどう整備できるのか。我々がその手応えを強く持ったのが、ここ1年ぐらいなんです。



Scanlineは代表的な例ですけど、表現の幅が増えることによって、より多様な作品を手がけていくことができるようになった。これから、Netflixのグローバルリソースを活用した「日本の新しい作品」を期待していただけると嬉しいです。



なぜいま『幽☆遊☆白書』は実写化するのか?エグゼクティブプロデューサーらが語る

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