Text by CINRA編集部
A24製作映画『テレビの中に入りたい』が9月26日からヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で公開。ポスタービジュアル、予告編が到着した。
同作は、1990年代のアメリカ郊外を舞台に自分のアイデンティティにもがく若者たちの「自分探し」メランコリックスリラー。日々をただやり過ごしているティーンエージャーのオーウェンにとって、謎めいた深夜のテレビ番組『ピンク・オペーク』は生きづらい現実世界を忘れさせてくれる唯一の居場所であり、同じくこの番組に夢中になっていたマディとともに、次第に番組の登場人物と自分たちを重ねるようになっていくというあらすじだ。原題は『I saw the TV glow』。
ポスタービジュアルは本国版と同じく暗闇に光るテレビの中に飛び込みそうな主人公・オーウェンの背中を写したものと、テレビ画面の光に照らされたオーウェンとマディが夢中になってテレビに見入る様子を捉えた日本オリジナル版の2種。日本オリジナル版のイラストを雪下まゆが手がけた。両ビジュアルともデザインは大島依提亜が担当。
ロサンゼルスを拠点に活動するアーティストyeuleによる楽曲“Anthems For A Seventeen Year-Old Girl”を使用した予告編では、テレビ番組『ピンク・オペーク』をきっかけに出会うオーウェンとマディのやりとりや、「本当の僕は、どこにいる?」というキャッチコピーが確認できる。
【大島依提亜のコメント】
映画好きならピンとくるであろう80~90年代の映画への目配せも感じる本国のビジュアルに加えて、卓越した画力もさることながら、この映画に共鳴するかのような作品を発信し続けている雪下まゆさんの絵と、二つで一つのポスターで構成したい。初見で観ている時に思ってました。幸運にも雪下さんにご快諾頂き、見事にこの映画の世界観を表現して下さいました。
映画に限らず世界が“強い物語”を求められているこの時代において、取りこぼされてしまった無数の小さくて大切な何か。それら全てが、暗闇に淡く──しかし虹彩の輪郭をくっきりと浮かび上がらせては爆ぜるシャボン玉のようなこの映画に心を撃ち抜かれました。
【雪下まゆのコメント】
10代の頃の自分は、周囲にうまく馴染めず、絵を描くことに逃げ場を求めていた。
この映画は、当時の自分のような若い世代や、似たような青年時代を過ごした大人にこそ観てほしいと思った。
歳を重ね、周囲に擬態する術を身につけた自分を、主人公に重ねて観ていた。

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