●アイドル時代からブレない闘争心「負けないぞと…」
俳優で歌手の山下智久が、5年ぶりとなるニューアルバム『Sweet Vision』を7月19日にリリース。8月11日より3都市6公演のアリーナツアーを開催する。
2020年10月末で前事務所を退所し独立後、海外でも活躍の場を広げ進化を続けている山下にインタビューし、自身の原動力や海外への思い、今後の活動などについて話を聞いた。

山下は、ニューアルバム『Sweet Vision』に込めた思いを「応援してくださっている方やアルバムを聴いてくださった方が未来の明るいビジョンを描ける手助けになるような音楽を届けられたらという思いで制作しました」と説明。同アルバムを引っ提げ開催する5年ぶりの有観客ライブを心から楽しみにしているようで、「声をからしてほしいです。日常で声をからすことはなかなかないと思うので、みんなの情熱をぶつけてくれたらうれしい」と期待している。

俳優業と音楽活動は「その2つがあってバランスが取れている」と感じているそうで、「二刀流を極めていきたいです」とほほ笑む。

また、アイドル時代に培ったものが今の歌手活動の根底になっていると言い、「ベースは変わらないと思います」と発言。
変わらず持ち続けているものを尋ねると、「『負けないぞ』と。まだまだ満足できないという感情はなかなか消えないですね。前に進もうという気持ちを絶やさない強さはずっと意識しているかもしれません」とブレない闘争心を明かした。

そして、「自分の中ではずっと限界を超えている」と告白。自身の希望でありながら海外での挑戦は大変だと言い、「日本でももちろん厳しいですが、自分の母国語が通用しない環境やカルチャーが違うところに行くと、さらに厳しさが増し、過酷な場所であることは間違いないので」と話した。

壁にぶち当たることがあっても、「応援してくれているみんなの顔が出てくるともう1回立ち上がろうと、皆さんの声が大きな力になっています。
自分のためだったらもうとっくに倒れていると思います」と、ファンへの思いが原動力になっている。

海外での活動も歌手としてプラスに。Huluオリジナル『THE HEAD Season2』エンディング・テーマ「Dancing in a Dream」と主演映画『SEE HEAR LOVE 見えなくても聞こえなくても愛してる』の主題歌「I See You」はまさにそうで、「海外の人との出会いが導いてくれた楽曲です」と話した。

海外でさまざまな人と出会ったことで、外国人という意識が薄れ同じ人間だと感じるようになってきたという変化も明かした。

「『結局人間だな』みたいな(笑)。どこに行ってもいろんな多様な人たちがいるので、外国人というボーダーラインが自分の中でどんどん薄くなっているというか、日本の方に接する気持ちと全く変わらなくなってきました。
各国に友人ができて、同じ国でも合う人と合わない人がいるので、結局みんな人だなと。何が正解というのもないので、僕は僕が正解だと思っている。そういうことを自然と教えてもらっています」

そして、海外での活動は必然だったと言い、「環境が、自然に自分の進む方角を決めてくれたような気がします」としみじみ。

「おばあちゃんのお姉さんがアメリカの人と結婚して、そのお孫さんが僕よりちょっと上ぐらいなんですけど、子供のときに夏休みによく遊びに来ていて、カルチャーの違いを感じていました。また、仕事で外国に行って雑誌の撮影をさせてもらったり、そういうことが積み重なって今に至っています」

また、「旅が好きで、自分の住んでいるベースからいろんなところに行きたいという性質なんです」と言い、いろいろな出会いが心を豊かにしてくれるとその大切さを語る。

「家になかなかいられなくて、1日1回は外に出ないとダメなんです。
1日家にいるときって風邪をひいているときぐらい(笑)。外からの刺激は大事だと思っているので、常に刺激を入れるようにしています」

「世界中を旅していろんな感覚を吸収していきたい」

今後については「自分のキャリアを質のいい形で構築していきたい」とのこと。

「音楽に関しても映画やドラマに関しても、まず自分の視野を広げていく。そういう意味で僕はすごく旅が好きなので、世界中いろいろ旅していろんな感覚を吸収していきたいなと。そうやっていくうちに、今の自分に合う人に出会うんですよね。まず自分を成長させて自分の感覚を広げていくことを続けていけば、しっかりしたキャリアを作り上げていけると信じています」

音楽活動に関しては「コンサートが開催できるポジションにはいたい」と、コンサートが音楽活動において大きなやりがいになっている。


「人生はイベントがないとつまらないじゃないですか。ライブをやるというのは、今年の夏休みはあれするぞという感覚のイベントで、楽しい熱い瞬間をみんなで分かち合って、また次のコンサートまで頑張ろうみたいな。お祭りを楽しむ感覚です」

ファンへの思いが原動力になっていると明かした山下だが、SNSを通じてファンの声を受け取っているという。

「SNSという場所ができて、よりコミュニケーションが取りやすくなった時代だなと思いますし、直接メッセージをいただけるのは励みになるし活力になります。あとはシンプルに『こんなとこ行ったよ』『こんなことしたよ』というのをお知らせしたいなと。『こんなとこあるんだ』とか知ってもらうきっかけになったり、そういう場所になればいいなと思っています」

山下が憧れの人と公言していた滝沢秀明氏とのSNS上での絡みも話題になったが、「SNSは垣根がないですよね。
もはや国境さえ僕はないと思っているぐらいなので」と交流を楽しんでいる。

最後にファンに向けて「初めての経験になりましたが、自分でアルバムを制作して届ける、その過程を経験させていただき、すごく思い入れの深い作品になりました。『Sweet Vision』という通り、すべての現実は頭の中で思い浮かべることから始まると思っているので、このアルバムを通して、みんなが希望あるビジョンを思い浮かべる、そんなお手伝いができたらなという気持ちで作りました。ぜひ聴いてください」とメッセージを送った。

■山下智久
1985年4月9日生まれ、千葉県出身。High Hope Entertainment所属。1996年より芸能活動開始。俳優として数々のドラマや映画の主演を務めるほか、音楽活動も精力的に行っている。主な代表作にドラマ『野ブタ。をプロデュース』(05)、『クロサギ』(06)、『コードブルー ‐ドクターヘリ緊急救命』シリーズ、映画『あしたのジョー』(11)、『近キョリ恋愛』(14)など。『THE HEAD』(20)で海外ドラマ初出演を果たし、ハリウッド映画『マン・フロム・トロント』(22)に出演、今年9月に配信される『神の雫/Drops of God』で海外ドラマ初主演を務める。昨年はドラマ『正直不動産』も話題を呼び、2023年度冬に『正直不動産スペシャル』も放送予定。現在、主演映画『SEE HEAR LOVE 見えなくても聞こえなくても愛してる』がPrime Videoにて配信中、ディレクターズカット版が劇場公開中。歌手としては、5年ぶりとなるニューアルバム『Sweet Vision』を7月19日にリリース。8月11日より3都市6公演のアリーナツアーを開催する。