舞台『千と千尋の神隠し』が、ロンドン・ウェストエンドで上演されることが2日、明らかになった。

同作は宮崎駿監督の名作『千と千尋の神隠し』の舞台化作。
少女・千尋(橋本環奈上白石萌音 ※Wキャスト)が引っ越し先に向かう途中で八百万の神々の世界へ迷い込み、様々な出会いを経て、人間の世界に戻るため生きる力を呼び醒ましながら奮闘する。英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの名誉アソシエイト・ディレクター ジョン・ケアードが翻案・演出を手掛け、2022年に世界初上演された。

すでに2023年8月に御園座公演、2024年3月に帝国劇場公演と再演されることが発表されていたが、さらに2024年4月から7月まで、ロンドン・ウェストエンドで初の海外公演を、東宝製作、PWプロダクションズ共同製作にて行う。約2,300席の客席数を誇るウェストエンド最大級の劇場 ロンドン・コロシアムで、日本人キャストによる日本語での海外上演としては演劇史上最大規模、また東宝主催公演としても史上初の試みに。

東宝演劇の海外上演はこれまでも多数あるが、主に現地のプロダクションへ上演権をライセンスする、現地キャスト・現地語上演の形で行ってきたという。1972年にロンドン、1973年にロサンゼルスにてミュージカル『風と共に去りぬ』(作:菊田一夫、原題:スカーレット)が上演され、その後も『ローマの休日』『マリー・アントワネット』『レディ・ベス』『四月は君の嘘』が韓国などの現地プロダクションで上演されているが、日本上演時のプロダクションが、海外において日本語による演劇を3カ月間にわたり上演することは初挑戦で、日本の演劇界としても類を見ない試みとなる。


4月~6月まで名古屋・福岡・大阪・札幌の4都市をめぐる国内ツアーも決定し、日本とイギリス、海を越えた二つの国で舞台「千と千尋の神隠し」が同時上演される。公演は2023年8月13日~8月26日に名古屋・御園座、2024年3月に東京・帝国劇場、2024年4月~7月にロンドン・コロシアム、2024年4月に名古屋・御園座、2024年4~5月に福岡・博多座、2024年5~6月に大阪・梅田芸術劇場メインホール、2024年6月に札幌・札幌文化芸術劇場hitaru。2024年ロンドン公演・2024年日本全国ツアー公演のキャスト詳細は今後明らかになる。
○スタジオジブリプロデューサー鈴木敏夫 コメント

ジョン・ケアードさんと初めて会った日、ぼくと宮さん(宮崎駿)は、この人は信頼できる──それがこの企画のスタートでした。
ぼくらはジョンを信頼して、すべてをお任せしました。初演において高い評価をいただいたのも、ジョンをはじめ、キャスト、関係者の皆さんのご努力あってのもの。

深く敬意を表します。そしてそれが国内での再演、更にジョンのお膝元、ロンドンでの公演へとつながったのだと思います。
「千尋」が舞台の本場でどのように評価されるのか、非常に楽しみです。
○翻案・演出/ジョン・ケアード コメント

日本オリジナルの舞台版『千と千尋の神隠し』を来年ロンドン・コロシアムにて披露することを誇らしく嬉しく思います。2022年の創作過程において素晴らしい時間を過ごした我々ですが、幸せなことに今度はイギリスの観客を宮崎駿のマジカルな世界へ神隠しするのです。神と蛙、竜と魔法使い、巨大な赤ん坊と弾む頭、蜘蛛の腕を持つ釜焚き男、顔を持たない寂しがり、そして勇気・アイデンティティ・愛を勇ましく探求する少女の世界へと。

○橋本環奈 コメント

2022年に帝劇で初演し、日本全国の大変多くのお客様にご覧いただきました、
舞台『千と千尋の神隠し』が、2024年4月から7月までロンドン・ウェストエンドの
ロンドン・コロシアムで上演されることになりました!
ロンドンで千尋を演じるなんて、矜持をもって臨みたいと思います。
今までは、日本人の方に日本語の言葉で届けてきたわけですけれど、
ロンドンではそれをどう伝えるのか・・・・
もっと伝わりやすくしなくてはいけないのか・・・・私達の表現も変わりそうです。
楽しみでありつつ、今から稽古の心配をしています(笑)

上白石萌音


日本語で演じられる、日本でやった形そのままに持っていけることはすごく名誉なことで、日本のお客様に楽しんでいただけたものが、ロンドンの方にどう届くのか楽しみですし、とても幸せで光栄なことだと思っております。
国内の全国ツアーと共に、4月から7月まで、ロンドン・ウェストエンドで、二か国同時上演をいたします。
ぜひ千尋に会いに来てください!劇場でお待ちしています!
○ロンドン上演劇場/ロンドン・コロシアム コメント

ロンドン・コロシアムは舞台『千と千尋の神隠し』のヨーロッパ初演の拠点となり、他にはない素晴らしい文化的イベントを開催できることをうれしく思います。国際的なプロデューサーとして名高い東宝とPWプロダクションズと共に、来春、才能溢れる日本ツアーのオリジナルカンパニーをロンドンに迎えることを楽しみしています。

○共同製作/PWプロダクションズマネージング・ディレクター兼共同最高経営責任者イアン・ギリー コメント

2022年に東宝製作の舞台『千と千尋の神隠し』を観に訪日した時、私たちはその出来栄えに圧倒され、世界のより多くの観客に届けなくてはならないと確信しました。私たちは、東宝と、類まれなるクリエイティブチームと共に、この素晴らしい作品に取り組めることにとてもワクワクしています。
イアン・ギリー
○製作/東宝 代表取締役社長 松岡宏泰 コメント

舞台『千と千尋の神隠し』が、いよいよロンドン・ウェストエンドに上陸します。
東宝は1970年代から、オリジナルミュージカルの海外でのライセンス上演を行っていますが、日本生まれのカンパニーが海を越えて世界へと赴き、しかも3か月の長きにわたり、日本語で演劇をお届けすることは、90年以上に及ぶ東宝の歴史で初めての挑戦ですし、日本の演劇界においても殆ど例のない出来事ではないでしょうか。
宮崎駿監督、鈴木敏夫プロデューサー、スタジオジブリの皆さんが生みだした千尋が、世界中の劇場でさらに愛されることを願ってやみません。

ロンドン・コロシアム撮影:Guyde Laubier