●初舞台に喜び 母が最前列中央で観劇「怖いです(笑)」
2019年に『グランメゾン東京』(TBS)で俳優デビューし、数々のドラマや映画に出演している三浦りょう太。上演中の舞台『ロミオとジュリエット』ではロミオと敵対するティボルト役を務め、舞台初出演を果たす。
父はプロサッカー選手のキングカズこと三浦知良、母はタレント・モデルの三浦りさ子、弟は格闘家の三浦孝太と、それぞれの世界で活躍している三浦家。三浦りょう太にインタビューし、舞台初出演の意気込みをはじめ、俳優を目指したきっかけや今後の目標、家族との関係など話を聞いた。

○■『ロミオとジュリエット』でロミオと敵対するティボルト役

――『ロミオとジュリエット』への出演が決まったときの心境をお聞かせください。

まさか最初の舞台でシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』をやらせていただくとは! 最初は汗がダクダク出てきて、怖さのほうが大きかったです。その怖さをいかに楽しみに変えられるかずっと考えていて、2カ月ぐらい前にその怖さを脱却し、楽しみに変わりました。

――どのようにして怖さから楽しみに変わったのでしょうか。


仲間が見に来てくれるというのが楽しみに。ドラマや映画は撮影して作ったものを見てもらいますが、舞台は直接見てもらうので、そこが怖さでもありましたが、楽しみに変わってきました。

――一番見てもらいたいたい人はどなたですか?

家族や友達など、小さいときから僕のこと知っている人たちに見てもらえるのはすごくうれしいです。

――ご両親も見に来てくれるのでしょうか。

母親が見に来てくれることになっています。先行予約で(チケットを)取ってくれたのですが、席がまさかの一番前のど真ん中で、それは怖いです(笑)。
でも、そんな経験なかなかできないと思うので、楽しもうと思います!

――今回が初舞台とのことですが、舞台にいつか出演したいという思いはあったのでしょうか。

いずれやってみたいという気持ちはすごくありました。ライブや舞台など、生な感覚が好きなので、直接人に何かをぶつけられることに憧れていたので、出演が決まってうれしいです。

○■殺陣に初挑戦「初めてのことばかりで毎日新鮮」

――稽古をしている中で、鍛えられているなと感じていることがありましたら教えてください。

わからないことだらけで、一つ一つ学んでいこうという気持ちで稽古に臨んでいます。殺陣が多いのですが、自分の体力のなさと筋力の足りなさを痛感しながら、毎日筋肉痛と戦っています(笑)

――殺陣は初めてですか?

初めてです。
本当に初めてのことばかりで毎日新鮮です。

――この舞台をやり終えたときに、俳優としてこう成長していたいというような期待はありますか?

期待は特に持たないですが、終わったときに自分がどうなっているのかすごく楽しみです。

――演じられるティボルトは、ジュリエットの従兄弟であり、ロミオと敵対する役どころです。どのように演じようと考えていますか?

ティボルトの心の葛藤が表現できたらいいなと思っています。ティボルトはロミオからしたら敵役になりますが、ティボルトにはティボルトの正義があって、ティボルトにとってはロミオが敵役になるので、そういった人間味や若さゆえに突っ走っていく迫力などをしっかり出していきたいです。

「君はエンタメをやりなさい」と勧められ芸能界を意識

――俳優を目指したきっかけについても伺いたいのですが、もともとはお父様と同じサッカー選手を目指していたのでしょうか。

僕の中で、サッカー選手やスポーツ選手に対してすごくリスペクトがあり、自分がサッカー選手になるというのは考えたことがないです。
サッカーを始めたのも遅く中学生ぐらいで、それまでは野球をやっていましたし、スポーツは好きでやっていたという気持ちが強かったです。

――俳優の道に進もうと決めたのはいつ頃ですか?

僕は大学に通って勉強していて、就活が始まる頃に、エンタメの道を勧められたんです。カラオケスナックが好きで通っていたお店で、「盛り上げて!」と言われてMCをすることがあったのですが、それを見ていた知り合いから「君はエンタメをやりなさい」と言われて、そのときに初めてエンタメの世界を意識しました。

――エンタメの世界を意識したときに、俳優になろうと。

とんねるずさんが大好きで、とんねるずさんみたいになりたいなと思いましたが、芸人さんみたいに面白いことが浮かぶわけでもなく、ミュージシャンみたいに音楽が降ってくることもなく、そのときに読んだ本に「俳優は努力でなれる」と書いてあって、それならいけるぞという軽い気持ちから入りました。

――俳優になろうと思って、今の事務所トップコートさんに入ることに?

スナックでのMCぶりを見てくださっていた方が、事務所の社長と知り合いで、オーディションがあるから受けてみたらと提案してくださったんです。
そういうご縁からです。

○■作品を通して自分の魂を届けられる俳優業にやりがい

――2020年にトップコートさんと契約を結ばれましたが、その前年の2019年に『グランメゾン東京』で俳優デビューをされています。

契約の前に1年ぐらい研修期間があって、そのときに『グランメゾン東京』に出演させていただきました。事務所の先輩が出演していたので見学させてもらったときに、メモを取ったり前のめりに見学していたら、「コック役があるけどやってみる?」とお話をいただけて。アピールする大切さをそこで学びました。

――それ以降、いろいろなドラマや映画に出演されていますが、俳優のやりがいをどのように感じていますか?

今回の舞台で演出家の井上尊晶さんが、僕らは台本を通してエネルギーを発散できる仕事だし、そういうエネルギーを伝えていくことが大事だとおっしゃっていて、それがすごく自分の中で腑に落ちました。
セリフを書いたり、自分の思いを言葉にする能力はないですが、自分のパッション・魂を、映像や舞台などで届けることが自分にできることなのかなと思います。そこにすごくやりがいを感じています。

父の言葉を「自分が弱いなと感じたときに思い出すように」

――今回の舞台はお母様が見に来てくれるということですが、出演作品はいつも見てくれていますか?

見てくれるものもありますし、見てくれないものあります。今のところ母親に響いている作品はあまりなくて(笑)。どこかで母親に響く作品に出られたらいいなと思っています。

――『ロミオとジュリエット』は幅広い世代に愛されているので、響くかもしれないですね。

響いてほしいです。毎回そういう思いでやっていて、それも大きなエネルギーになっています。

――お父様は作品を見てくれていますか?

見てくれるものもありますが、父親はもっと響いてないです(笑)。父親は『ゴッドファーザー』や『寅さん』(『男はつらいよ』)のような世界観が好きなので、いつかそういった作品に巡り合えて、父親にも響いたらいいなと。

――感想をもらったことは?

映画『彼女が好きなものは』に出演したときは、「よかったよ」と言ってくれてうれしかったです。

――スポーツとエンタメで世界は違いますが、お父様の言葉で大切にしていることがありましたら教えてください。

「人間は弱いから必ず楽なほうに行ってしまうところに打ち勝つんだ」みたいなことはいつも自問自答のように言っていて、僕もその通りだと思うので、自分が弱いなと感じたときに思い出すようにしています。

――逃げずに乗り越えていくことでどんどん強くなりそうですね。

僕は器用なタイプではないので、がむしゃらに進むしかないと思っているので、楽なほうに逃げずに立ち向かって1ミリずつでも進んでいけたらと思います。

○■格闘家の弟・三浦孝太とは「性格が真逆」 試合を見ると不思議な感覚に

――弟さんも格闘家として活躍されていますが、お互いの活躍を見て刺激をもらいそうですね。

試合を見に行ったりしています。

――家族として見守る感じですか?

そうですね。僕と弟は性格が真逆でタイプも違いますが、試合を見に行くと、やはりちょっと感激したり、頑張れという気持ちになったり、でも素直に弟を応援したくない気持ちと入り交じって不思議な感覚に襲われるのは、だから兄弟なのかなと感じます。

――弟さんと真逆ということですが、どこが違いますか?

弟は格闘技をやっていますが、僕は暴力嫌いなので、殴られるのも嫌ですし、殴るのも嫌で、そういう意味では全く違うなと。性格も僕のほうが温厚だと思います(笑)

――兄弟喧嘩をすることはありますか?

します。でも、力ではもう勝てないので、争うことをやめました(笑)

自分を見て「明日も頑張ろう」と思ってもらえたら

――今後についてはどのようになっていきたいと思い描いていますか?

エンターテインメントを通して少しでも人々の生活を豊かにできたら。ドラマや映画を見て家族や友達としゃべる、日常の一部に自分がいたらいいなと、そういう作品を作っていきたいと思っています。

――理想の俳優像は?

不器用ながらエネルギーを届けて、うまく生きられないと思っている人たちが「不器用なままでも、がむしゃらにやってみよう」と思えるものを提供できる俳優になれたらいいなと。自分を見て「明日も頑張ろう」と思ってもらえたらすごくうれしいです。

○■長瀬智也の出演作を見て「一生懸命頑張るカッコよさを感じた」

――具体的にこういう人になりたいという人がいたら教えください。

僕は長瀬智也さんに憧れて役者を目指しました。小さい頃に長瀬さんの作品を見て、一生懸命頑張るカッコよさを感じ、自分も頑張ろうと思えたし、そういう存在に憧れがあるので、そういう人間になりたいと思っています。

――長瀬さんの作品で特に影響を受けたものは?

全部好きですが、『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』(日本テレビ)が特に好きでした。ヤクザの男の人が高校生になって、バカなのに毎日頑張って学校生活を送る話なのですが、一生懸命な姿を見て、一生懸命頑張っている人ってカッコいいなと。明日も全力で走って学校行こうみたいなことを、小学生ながらに感じました。

――そういった作品は、ご両親にも響きそうですね。

そうですね。家族でそういう作品をたくさん見てきたので、いつかそういった作品に出演して、家族や友達に見てもらえたら。僕のドラマを家族や友達が見ることによって、家族が1つになったり、友達同士が話をしたり、縁をつなぐ一部になれたらいいなと思います。その延長線上に、テレビなどを通していろんな人に届けたいという思いがあります。

――最後にファンの方にメッセージをお願いします。

『ロミオとジュリエット』みんなすごい情熱と熱量で一生懸命取り組んでいます。そのパッションを皆さんに届けられたらと思いますので、ぜひ見に来てください!

■三浦りょう太(りょう=けものへんに寮のうかんむりなし)
1997年9月5日生まれ、東京都出身。2019年にドラマ『グランメゾン東京』で俳優デビュー。近年の主な出演作にドラマ『未来への10カウント』『ブラック/クロウズ~roppongi underground~』『消しゴムをくれた女子を好きになった。』『差出人は、誰ですか?』(22)、『自由な女神-バックステージ・イン・ニューヨーク-』『王様に捧ぐ薬指』(23)、映画『彼女が好きなものは』(21)など。

■舞台『ロミオとジュリエット』
東京公演は9月13日~9月24日に有楽町よみうりホールにて、大阪公演は9月29日~10月1日に森ノ宮ピロティホールにて、富山公演は10月7日~10月8日に富山県民会館ホールにて、愛知公演は10月14日~10月15日に東海市芸術劇場 大ホールにて、福岡公演は10月21日~10月22日にキャナルシティ劇場にて、仙台公演は10月28日~10月29日に仙台電力ホールにて上演。