数年前、良い読書灯が欲しいなと思ってネット検索し、見つけたのがこちら。
glocusentというメーカーの『ネックライト』だ。


○■老眼の進行とともに、読書の際には十分な明るさの確保が必要になった

最近はコマゴマとした家電製品をネットで探すと、聞いたこともなければ読み方も分からない新興メーカーのものにたどり着くことが本当に多くなったが、glocusentも初見のメーカー名だった。
調べてみると、どうやらグロックユーゼントと読むらしい(情報少なく、間違っていたらごめんなさい)。
その響きからするとドイツ系? と思いきや、さにあらず。
“アメリカ発のベンチャーメーカー”という情報もあるが、本社は中国の深圳にあるらしい。
これまた最近とみに増えている、中華系アメリカブランドということなのだろう。

“アメリカで月間2万個売れた”という、販売サイト上の謳い文句が一際目を引いたこの読書灯。

買った当時もAmazonでの評価件数が数万件にのぼり、相当なヒット商品だということがうかがえた。この原稿を書くにあたり改めてAmazonの売り場を確認したら、現在では評価件数が10万を超えていた。
それだけの件数の中にはもちろんネガティブな反応もあるが、概ね評価は高い。
まあ評価が高くなければ、こんなにヒットはしないだろうから当然なのだが。

僕にとって読書とは、人生に欠かせない愉しみの一つだ。
もちろん今は、最新情報や短期的知識はネットから得ることの方がずっと多くなったが、自分自身にとって本当に関心のあることや、長期的知識への探求心を満たす手段は、いまだ読書に勝るものなしと思っている。


そんな僕にとって、紙の本を読む際に手放せない大事な相棒が、読書灯なのだ。

もう少し若い頃は、本を読む際の明かりのことなど、そこまで気にしていなかった。
職業柄もあって若い頃から強い近視を患っているが、きちんと度のあったメガネさえかけていれば、多少暗かろうが普通に文字を追うことができたからだ。
しかし50代も半ばに差しかかった最近では、そうもいかない。

数年前から始まった老眼で手元がぼやけ始め、読書に差し障りが出るようになったので、メガネのレンズを遠近両用に替えた。
これでよしと思ったら、まだダメだった。

同年輩の方には言わずもがなだろうが、老眼というのは対象物までの距離だけではなく、明るさによっても見えにくさが大きく左右されるもの。
きちんと明るく照らさなければ、老眼用レンズを通してみてもやはり焦点がなかなか合わないのだ。

それまでもボタン電池を使う小さな読書灯は持っていたが、主に旅行用として使っていた。自宅の机周りや枕元には、読書用スタンドライトを備えているので、そっちを使えば事足りる。
机や寝室以外で本を読むことも多いけど、部屋の照明があれば大丈夫だったので、いちいち読書灯を取り出す必要はなかった。
だが最近は、ちょっとでも照度が足りないと文字が読みにくく、それでも無理やり文字を追っていると目の疲労が著しいので、本を読む際には必ず読書灯のお世話になることにしたわけだ。

○■聞いたこともない新興の中華系メーカーなので半信半疑だったが……

この読書灯の良いところその1は、充電式であることだ。
一般的に読書灯は、読書の邪魔にならないような小さ目サイズのものが多く、容量の小さな乾電池式のものがほとんど。だが時間を忘れるほど夢中になる読書が数日も続くと、感覚的には意外と思えるくらい早く電池切れになる。
そのたびに乾電池を交換するのは煩わしいし、非経済的かつ非エコなので気になっていたのだが、Glocusent『ネックライト』なら、フル充電から最大で80時間も使えるのだ。

良いところその2は、ヘッドライトのように両手が自由になること。
首にかけ、2本のフレキシブルなアームを調整して手元を照らすことができる。


光の調整が多岐にわかるところが、良いところその3。
左右のLEDには独立したスイッチがついていて、それぞれのライトを三段階で調光することができる。
片方のライトをオフにすることもできるので、左右の光の強さの組み合わせで、九段階もの明るさから最適光量を選ぶことができるのだ。
ちなみにメーカーの公式スペックには「六段階」と書いてあるけど、“片方OFF”も含めて勘定すると九段階だと思う。

ネック部の後ろ側にあるボタンは、光の色を変化させる機能のためのもの。
一回押すといわゆる電球色の「イエロー」、もう一回押すと白色の「ウォームホワイト」、さらにもう一度押すと昼白色の「クールホワイト」へと変化する。


光の色を表す単位はK(ケルビン=色温度)という指数で表され、色温度が低いほど赤みがかった光色、色温度が高いほど青みがかった光色となる
Glocusent『ネックライト』の「イエロー」は3000Kで、暖かいオレンジ色の光。優しい光なので、ゆっくりとくつろぎたいときや就寝時にオススメなのだそうだ。
「ウォームホワイト」は4000Kで温かめの白色光。ナチュラルホワイトとも呼ばれるこの色は一般照明に近く、違和感が少ないので集中力を高めるのに適している。
そして「クールホワイト」は6000Kで、その名の通りクールな白色光。オフィスでよく使われるキレイな明るい白で、シャキッとした気持ちで作業をしたいときにおススメだという。

このネックライトはかなりユースフルで、僕は購入後、想定していた読書だけではなく、いろいろなシーンに持ち出し、使うようになった。
「読書はもちろん、釣りやキャンプ、DIY作業などに」と宣伝されているとおり、さまざまな使用シーンが考えられるが、僕の場合は、趣味である車中泊の旅で特に便利に使っている。
暗い車内で作業をするときはもちろん、夜中に起きて外のトイレまで歩いて行かなければならないときなど、これを首からかけて照らしていればとても安心感があるのだ。
○■用途が幅広く、家族からも重宝がられるネックライト

夜、犬の散歩をするときにもよく使っている。
暗い夜道ではライトをつけていた方が、走ってくる車から認められやすく安全。
それに犬が道の端で用を足してしまいビニール袋で回収するとき、両手がフリーになっているととてもやりやすいのだ。

僕の仕事に限ったことかもしれないが、文章に添える小さなアイテムの写真を撮影するときにもよく使う。普通の照明とは違い、両側から光を当てることができるので、影のないクリアな写真を撮ることができるのだ。
オークションやフリマサイトよく出品する人などは、見栄えのいいアイテム写真になるのでおすすめだ。

僕がこのライトを使おうと思ったとき、いつも置いてある場所に見当たらないことがある。そんなときは大抵の場合、妻が勝手に借りている。
妻は趣味である手芸をする際、手元を隈なく照らすことができるこのネックライトがとても便利だと言っている。
手芸をするときや模型を作るとき、あるいは釣りの仕掛け作りや毛鉤を巻くとき、その他もろもろの細かい作業をする際には大変心強い。

あとはもちろん、夜に本を読むとき。
かつて、読書をするときは部屋全体を明るくすることが推奨されたが、実は最近の研究によると、部屋全体を明るく照らすより、見たいものの周囲のみを照らす方が知的生産効率が上がると言われているらしい。

部屋の隅々まで平均的に明るくする従来の日本式照明法とは違う、欧米に多かったこの間接照明法は「タスク・アンビエント照明」とも呼ばれ、年間で消費するエネルギー量を大幅に削減できることから、経済産業省でも推奨していたりする。

というわけで、良いことづくしのGlocusent『ネックライト』。
僕が愛用しているのは旧式だが、最近は30分のおやすみタイマーがついたアップデート版もリリースされているようなので、気になる方はチェック!
特に老眼に悩むご同輩には、掛け値なしで強くオススメしたい。

文・写真/佐藤誠二朗

佐藤誠二朗 さとうせいじろう 編集者/ライター、コラムニスト。1969年東京生まれ。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わり、2000~2009年は「smart」編集長。カルチャー、ファッションを中心にしながら、アウトドア、デュアルライフ、時事、エンタメ、旅行、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動中。著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』(集英社 2018)、『日本懐かしスニーカー大全』(辰巳出版 2020)、『オフィシャル・サブカルオヤジ・ハンドブック』(集英社 2021)。ほか編著書多数。 この著者の記事一覧はこちら