●復活提案に最初は前向きな気持ちになれず
フジテレビで放送されていたバラエティ番組『ワンナイR&R』(2000~2006)で人気を博したガレッジセールのゴリ扮するゴリエが再ブレイク中だ。2021年に宮迫博之のYouTubeで復活すると、CMやバラエティ出演、冠番組放送、CDリリース、そしてイベントにも呼ばれ、大活躍している。
ゴリエにインタビューし、今の状況をどのように受け止めているのか、ゴリエとしてのモットーや今後についても話を聞いた。

○■宮迫博之のYouTubeで15年ぶりに復活

2005年には『NHK紅白歌合戦』に出場するほど一世を風靡したゴリエだが、2006年12月に『ワンナイ』が放送終了を迎えると姿を消した。そして、2021年2月に公開された宮迫博之のYouTubeで15年ぶりに復活。同じく『ワンナイ』で人気を集めた宮迫扮する轟さんとコラボし、大バズリした(現在、再生回数320万超え)。宮迫からコラボの話を提案されたときは、すぐに前向きな気持ちにはなれなかったという。

「ゴリエは『ワンナイ』という番組に命を懸けていて、番組終了とともに2016年にお亡くなりになられたから。
テレビコントの番組を持つという夢が叶って、自分のギャグを全国の子供たちが真似してくれて、こんなうれしいことはない、この番組は永遠に続けたいと思っていたけど終わってしまい、心身ともに灰になったんです。宮迫さんから『轟さんとゴリエちゃんのコラボが見たいという声が多すぎて、やりませんか?』と言われたときは、『今更やっても痛々しいだけで、やれる自信がありません』って」

もしやりたいと言ってもフジテレビや吉本興業の許可が必要だし、実現できるかわからないと思っていたら、どちらもOKという回答。フジテレビからは「カツラも衣装も全部残っています」と言われ、ようやくコラボしようと決意したという。

「『15年経ったゴリエちゃんを見るのは痛々しい』『過去のものを引っ張り出してしがみつくなよ』と言う人がいるかもしれないけど、懐かしいと思う人もいるかもしれないと思ってやったらすごい反響で。『うれしい』『面白かった』というだけでなく『泣いた』というコメントもあって、こんなに喜んでくれるんだ、やってよかったなと思いました」

○■1回きりのつもりがオファー続き「棺桶に戻れない状態」

そして、「いい思い出になった」と1回きりの復活のつもりが、「くらしのマーケット」のCM出演オファーがあり、次は、『新しいカギ』から16年ぶりに『Pecori Night』を踊ってほしいとオファー。「筋肉も落ちているし体も硬いし、もう無理だと思うけど、やるなら完璧に元に戻したい」と、1カ月練習期間をもらって猛特訓。
必死に体を柔らかくし、キレを取り戻すことにも成功し、「全く変わってない」「衰えてない」などと大きな反響を得た。

さらに、フジテレビで2022年4月クールにレギュラー番組『ゴリエと申します。』を放送。今年から同局系バラエティ番組『ぽかぽか』の水曜レギュラーとしても活躍している。

「過去のキャラクターを引っ張り出してレギュラー番組って聞いたこともないし、こんなことが起きるんだって。それで終わらず、『ぽかぽか』の水曜レギュラーの話をもらって、コントキャラクターが生放送でしゃべるって前代未聞だよと。
そんな風に続いて今に至っています」

この状況に本人は驚きを隠せず。

「自分としてはゴリエをまたやるなんて想像もしてなかったし、1回きりの復活つもりが、声かけられるのが止まらなくて。今もずっと棺桶から起こされ戻れない状態が続いていて、まだしばらくは戻れなそうです」

全力で一生懸命頑張る大切さを改めて実感

ゴリエとして心がけていることを尋ねると、「ゴリエになったら常にゴリエでいること」と回答。「カメラが回っているときだけゴリエでいてはいけない。この格好になったらみんな『ゴリエちゃんだ!』という顔をするので、ゴリエのスイッチをオフにはできない。みんなの思い出の1ページになっているんだから」とプロ魂を感じさせる。

また、「ゴリエを見てくれていた人には懐かしいと思ってもらいたいし、ゴリエを知らなかった若い子たちにも新たに好きになってもらいたいから、言動をより楽しく笑ってもらえるように、頭をフル回転させて頑張っています」とのこと。


以前の活躍を知らない若い世代もYouTubeやTikTokなどで過去の映像を見て知ってくれているそうで、「今の若い子がゴリエを知るツールがいっぱいあるんだ」と実感したという。

そして、「全力で一生懸命頑張ること」の大切さを改めて感じたとしみじみ語る。

「過去の産物だけど今でも通用するんだなと感じるので、当時サボらなくてよかったなと。過去を適当にやっていたら今の人たちを感動させることもできなかったと思うし、手を抜かず頑張ったら永遠に幸せは続くんだというのをゴリエから教えてもらった気がします」

ファンからさまざまな手紙も寄せられるそうで、より頑張ろうという気持ちになったという。

「以前は、有名になりたいといった自分の欲で頑張っていたけど、『娘が不登校だったけど、ゴリエちゃんを見て学校に行くって言い出しました』『嫌なことがあって落ち込んでいたけど、また頑張ろうって思いました』といった手紙をもらい、つらい思いをしている人たちの力になって背中を押してあげられるんだと思ったら、こんなにやりがいある仕事はないなと。だから全力で頑張れる」
○■ゴリエのハッピーパワーの源は「みんなの愛」

ゴリエの魅力については「ハッピーパワーがすごい」と言い、ゴリ自身もゴリエからパワーをもらっているという。


「ゴリエはいつもハッピーなので、そのハッピーな空気感……たくさん笑って幸せな時間だったねというのを皆さんに与えたい。どんな困難があっても明るく立ち向かっていく生き方がいいよねという風に勇気を与えられたらと思っています」

そんなゴリエのハッピーパワーは、みんなからの愛によって常にフル充電されている。

「ゴリエは1人で頑張っているんじゃなくて、いろんな人がゴリエを愛して、ゴリエを輝かせようとしてくれる。メイクさんも小道具さんも作家さんもディレクターさんも、みんながゴリエを輝かせようとしてくれて、愛が充満しすぎている。ゴリエはみんなの愛で動いているの!」

○■2日に1回必ず自宅で全力ダンス

1カ月の猛特訓によって見た目やキレを取り戻したものの、体力の衰えは感じている。

「1回踊ると吸っても吸っても酸素が足りなくて(笑)。
腰や肩も痛くなったり。最近はそれを表に出すようにしているの。昔は笑顔のまましゃべり続けていたけど、もう無理するのはやめて自然体でいようかなって」

また、久々に振りを覚え直して「物覚えが悪くなった」と実感。忘れないように2日に1回、家で全力で踊っているそうだ。

「1カ月かけてやっと体に教え込んだので、また急に踊ってくださいと言われる可能性もあるし、1年以上、2日に1回必ず踊っています。『Pecori Night』『Mickey』『若いってすばらしい』を最初から最後まで。そうしないと忘れてしまうし、キレもなくなるから。健康にもなるからいいなと思って」

現在51歳。衰えは感じつつも、「年を重ねるのは敵じゃない。味です! 成熟していくんです」とにっこり。「ゴリエも15年前とは違う熟した魅力が絶対にある。言動の重みも以前とは違います」と今ならではの魅力をアピールした。

サンリオピューロランドでミュージカル開催

11月25日には東京・サンリオピューロランドにて『サンリオピューロランド×ゴリエ ミュージカル ~THE BATTLE OF LOVE~』を開催する。何者かによって“愛”がなくなってしまった街に愛を取り戻すため、ゴリエが悪者と戦うというコメディミュージカルで、丸山礼、桜井美里、横山ミル、インポッシブルジェラードン、そしてハローキティ、シナモロール、ハンギョドンが出演する。

ゴリエは「ピューロランドはゴリエのミュージカルをやるには日本で一番いい場所だと思う」と語る。

「もともとゴリエとキティちゃんはゴリエキティとしてコラボしていて、ピューロランドは夢の世界だけど、ゴリエも愛や夢をテーマに生きてきたから、サンリオとキティちゃんの世界観と合うの。ビジュアルのインパクトも負けてないから、サンリオのキャラクターと並んでも全然見劣りしないし」

○■サンリオファンにもゴリエを好きになってもらいたい

そして、今回のミュージカルについて「愛をテーマにしていて、街から愛を奪った悪者にゴリエが立ち向かうというわかりやすい内容で、歌って踊って笑って楽しいヒューマンコメディミュージカルが出来上がった」と手応えを口に。

「ゴリエのことを懐かしいと思う人たちに当時と変わらないキレで名曲の数々を踊りたいと思うし、お笑いのファンにも楽しんでもらえるように、それぞれの持ちネタも間に入れて。キティちゃんやシナモロール、ハンギョドンも出てくれるので、サンリオファンの皆さんにも喜んでもらえると思う。そんないろんな人たちにエネルギーと安らぎとお笑いとパワーを与えるような舞台にして、サンリオファンの皆さんにもゴリエや出演者を好きになって帰ってもらえたらうれしい」

ゴリエとしては「ハンギョドンいじり」も楽しみにいているそうで、「ハンギョドンも人気があるので、愛のあるいじりをしたい」とにやりと笑った。

さまざまな活躍を見せているゴリエだが、今後挑戦したいことを尋ねると、「このミュージカルを全国でやりたい」と意欲。

「新潟の放送局に行って高校生とチアを踊ったときも、地方のイベントで踊ったときも、地元の方たちがすごく喜んでくれたので、今回のミュージカルを全国のみんなに見せてあげたいなと。それが今の野望です」

○■需要がなくなったら「気持ちよくまた勇退したい」

今後ゴリエとしてどのように思い描いているか尋ねると、「ゴリエにしがみつきたいとは思っていない」と言い、「需要がなくなったらもう1回棺桶に戻りますという気持ち。求められている以上は100%全力で頑張りますが、『ワンナイ』があれだけ人気があっても終わりが来るように、永遠はないと思っているので、その時はその時で気持ちよくまた勇退したいと思います」と語った。

また、「ゴリエ以外のキャラクターも復活したら面白そう」という期待も口に。復活させたいキャラクターを尋ねると、「人間的に腐っていて面白いのは落武者だけど、冬は寒くて厳しいんです(笑)。ゴリケル・ジャクソンも好きだし、オンディーヌも意外と好き」と挙げていき、「もしかしたら落武者のレギュラー番組ができるかもしれないし、ゴリケル・ジャクソンがアメリカのグラミー賞に呼ばれるかもしれないし、何があるかわからない」と笑った。

最後に「誰もが子供の時に真似したコントキャラクターに自分がなれたというのはゴリエのおかげ。『紅白歌合戦』に出られたのもゴリエのおかげだし、ハワイの親善大使になるとも思ってなかったし、『世界を広げてくれてありがとう』と感謝したいです」とゴリエに感謝。再ブレイクで「また想像もしてなかった世界を見せてくれている」と語っていた。