「第36回東京国際映画祭」(TIFF)のクロージングセレモニーが1日、都内で開催され、『正欲』(岸善幸監督/稲垣吾郎主演)が観客賞と最優秀監督賞を受賞した。

朝井リョウ氏による小説『正欲』を、監督・岸善幸氏、脚本・港岳彦氏で映画化した本作。
稲垣吾郎、新垣結衣磯村勇斗佐藤寛太、東野絢香を出演者として迎え、家庭環境、性的指向、容姿――異なる背景を持つ人たちを描きながら、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマを炙り出していく。

観客賞、さらに最優秀監督賞にも輝き、2度ステージに登壇した岸監督。「4作目の作品ですが、名誉ある賞をいただけてこれからの映画作りの励みになります。これからも頑張っていこうと思います」と語った。

そして、「この作品は、多様性の意味を、すべての人が自由で、自分を偽らずに生きていける社会は何かということを問いかけています。なかなか自分のアイデンティティを確立するというのは難しい時代です。
この作品を見て多様性の意味を皆さんに考えていただけたら本当にうれしいです」と本作に込めた思いを説明。「これを励みにこれからもいろんな映画をいろんなテーマで作っていきたいと思います」と決意を新たにし、「ありがとうございました」と感謝した。

なお、コンペティション部門は、114の国・地域から寄せられた1942本の中から15作品が選ばれ、日本からは『正欲』(岸善幸監督/稲垣吾郎主演)、『曖昧な楽園』(小辻陽平監督/奥津裕也主演)、『わたくしどもは。』(富名哲也監督/小松菜奈松田龍平主演)の3作品がノミネートされていた。