●フリー転身で仕事に対する意識が変化
今年3月末でテレビ東京を退社し、アナウンサー業のみならず活動の幅を広げている森香澄。「自分の表現を届けたい」との思いでフリーに転身し、特に女優業に挑戦したいという思いが強かったという。
その希望通り、現在放送中のABCテレビ・テレビ朝日ドラマ『たとえあなたを忘れても』で初の連ドラレギュラー出演。そして、自身の特技であるダンスや歌、ピアノも生かして活動し、多才ぶりを発揮している。10月29日に開幕したプロダンスリーグ「D.LEAGUE 23-24」(Dリーグ)の配信MCにも抜てきされた森に、開幕戦直後にインタビューを実施。フリー転身後の変化や、今の活動に対する思い、そして今後について話を聞いた。

○■「1回1回ちゃんと結果を残さなくちゃいけない」と痛感

フリーに転身してから約半年経ったが、局アナ時代とは一つ一つの仕事に対する意識が変わったという。

「局アナ時代は当たり前のように次の仕事があるという状況でしたが、フリーになるとそれが当たり前ではないので、1回1回ちゃんと結果を残さなくちゃいけないというのは痛感しています。
そういう意味でも、成長しなくちゃいけないなと思いながら、より緊張感をもって臨むようになりました」

また、「自分の意見をちゃんと持つようになりました」と自身の変化を告白。

「局アナだった頃は自分の発した言葉はテレビ東京の意見みたいな感じで、ちょっと逃げられる部分がありましたが、今はもう私の意見でしかなく、私の言葉として世の中に発信されるので、より責任を持たなきゃいけないと思うように。しかも意見を聞かれることは圧倒的に多くなっているので、今、私はどう思っているのかなとか、常に考えるようになりました。なので、自分と向き合う機会が増えたなと、この半年ですごく感じています」

自分と向き合ったことで、「自分ってめっちゃポジティブだな」と改めて思ったという。

「何でも前向きに楽しめていて、悪く言えば能天気、よく言えばポジティブだなと。いろんな意見をもらう仕事なので、マイナスな意見をいただくこともあって、そういう時もポジティブでよかったなと思います。
一つの意見としてプラスに受け取って、自分の成長につなげたいと思えるので」

○■初の連ドラレギュラーで「フリーになったんだ」と一番実感

自分の表現を届ける側になりたいと思ってフリーになったという森。特に演技に挑戦したいという思いが強かったという。

そして、8月に放送された『東海テレビ×WOWOW 共同製作連続ドラマ ギフテッド Season1』(フジテレビ系)の第2話でイベント司会者役を務めドラマ初出演。現在放送中の『たとえあなたを忘れても』で初の連ドラレギュラー出演を果たし、主人公・河野美璃(堀田真由)の音大時代の同期でピアニストとして活躍中の衛藤まりあを演じている。ピアノは3歳から高校3年生まで習っていたそうで、劇中でもその腕前を披露している。

初の連ドラレギュラーのオファーは「とてもうれしかった」とにっこり。
放送を見たときは「変な感じでした」と照れつつ、「私ってフリーになったんだなって今までで一番実感しました」と明かす。

「他局のバラエティに出た時もフリーになったと感じましたが、テレ東時代もバラエティに出たことはあったので。演技は全くやってなかったことなので、足を踏み入れたことがなかった世界に入れていると実感し、私って会社員じゃなくなったんだなと思いました」

一番やってみたいと思っていた女優業に挑戦し、「磨かなきゃいけないところがたくさんあると痛感しています」と言うも、前向きに努力していくつもりだ。

「経験がなかったことなので、これから頑張らないといけないなと。4年でフリーになるというのは早いと思いますが、やりたいことができたから早めに辞めたので、これからまだまだ努力できる時間があるというのはありがたいなと思っています」

大好きなダンスも仕事につながり喜び

TikTokのダンス動画も話題の森。その反響に驚いているという。

「まさか踊ることがこんなに反響を呼ぶとは思ってなくて。
何でこんなに再生してもらえるんだろうとびっくりしていますが、自分が楽しくてやっていることで、仕事で踊ることもありますが全然仕事だと思っていないので、それを見て『面白い』とか『楽しそうでいいな』とか、何かポジティブな気持ちを持ってくれているのはうれしいです」

ダンスは小学生の時に習い始めて、高校ではダンス部に所属。大学でもダンスの団体に所属していた。

「もともと音楽が好きで、音楽がかかるとずっと踊っていた子供だったそうです。きっかけがあったわけではなく、遺伝子レベルで踊ることが好きなのだと思います。そして、習い始めたり、部活で振り付けを作ったりし始めてから、もっと楽しくなりました」

ヒップホップやガールズヒップホップをメインに踊ってきたそうだが、今後はジャズダンスにも挑戦したいと語る。

「今後ミュージカルもやってみたいと思っていて、ミュージカルはジャズダンスが基盤になると思うので、踊れるようになりたいなと。
ジャズダンスは部活で少しかじったぐらいで、本格的にやったことがないので」
○■Dリーガーから刺激「表現するって素晴らしいことだなと再確認」

ダンス好きの森にぴったりな仕事も舞い込み、10月29日に開幕したプロダンスリーグ「第一生命 D.LEAGUE 23-24 SEASON」(Dリーグ)の配信MCを務めている。

「MCなので中立の立場を常に心がけています。解説の方やゲストの方は『このチームに勝ってほしい』といった目線も大事だと思いますが、全員がそうなると偏ってしまうので、私は中立の立場でいるようにしています」

Dリーガーのパフォーマンスを見て刺激ももらっているという。

「最高峰の方々のパフォーマンスを目の前で見ると、クリエイティブ意欲をかきたてられるというか、熱量をすごく感じますし、表現するって素晴らしいことだなと再確認しました」

○■想定外の仕事の広がりに感謝「好きでやっていたことが…」

ピアノやダンスに加え、歌も得意な森。「ここ数年ボイトレに通っていますが、習うというより趣味みたいな感じ。ピアノやダンスのようにちゃんと習ったことはありません」と言うも、テレビ番組などで歌を披露する機会も多く、「うまい」「上手」と反響を呼んでいる。


自身の武器が仕事につながっている状況には驚いているという。

「歌やダンスが好きだからお仕事につながったり、ピアノがドラマにつながったり、そういうのは本当に想定外で、フリーになったときには全く想像していませんでした。無駄なことはなかったなというか、好きでやっていたことがお仕事になっているというのは本当にびっくりしています。好きだと突き詰めてしまうタイプですが、仕事にするために頑張っていたというわけではないので、お仕事につながってありがたい環境だなと日々感謝しています」

さらに、「いろいろなお仕事があるんだなということも感じています」と言い、「今の時代はテレビだけではなく配信もありますし、コロナもだいぶ落ち着いてイベントもたくさんあります。演技をやりたい、ミュージカルをやりたいという思いでフリーになりましたが、想像できてなかった世界がたくさんあると感じ、これからもっと広がるのかなと思っています」と期待した。

「ここからが勝負」今後の抱負を語る

仕事の広がりに喜びを感じているものの、現状に満足しているわけではない。「いろいろな機会をいただけていることに感謝していますが、ここからが勝負だと思っています。ここからどういうステップに進めるのかというのは実力勝負になってくると思うので、実力を磨いて頑張らないといけないなと思っています」と気を引き締める。

今後については、やはり女優業に一番力を入れていきたいそうで、歌も生かして「ミュージカルにも挑戦したい」と考えているが、「想像してなかったお仕事もいただけているので、これからもいろいろなお仕事に挑戦できたら」と幅広い仕事に意欲を見せる。

続けて、「Dリーグもこれからもっと盛り上がっていくと思いますし、ダンスがオリンピックの種目になったらいろんな番組もできると思います。すでにDリーグに関わらせていただいていますが、さらに広がっていく何かがあるのではないかなと思います」とダンスに関する仕事の広がりにも期待。

改めて今後の抱負を尋ねると、「今は目の前のお仕事一つ一つをやるのに精一杯ですが、1年後も継続してお仕事できればいいなと思いますし、やりたいと思っていることと、やってくださいと言われるお仕事が一緒になっていくといいなと思っています」と願いを込める。

そして、女優業における目標や野望は「抱かないようにしている」と言い、「悪女役や感情がすごく動く役をやってみたいという思いもありますが、自分に何が合うかわからないですし、それは人が決めてくださるものだと思うので、とにかく私は前向きに進むだけかなと。自分では何がやりたいと決めず、可能性を広げる意味でもいただいたものに挑戦していきたいと思います」と語っていた。

■森香澄
1995年6月16日生まれ、東京都出身。元テレビ東京アナウンサー。2019年4月1日にテレビ東京に入社し、 『THEカラオケ★バトル』や『ウイニング競馬』『よじごじDays』などの司会を担当。2023年3月末で代謝し、フリーに転身した。自身のSNSは総フォロワー120万超。TikTokのダンス動画も話題となっている。8月に放送された『東海テレビ×WOWOW 共同製作連続ドラマ ギフテッド Season1』(フジテレビ系)でドラマ初出演、現在放送中の『たとえあなたを忘れても』(ABCテレビ・テレビ朝日系)で初の連ドラレギュラー出演。