●YouTubeは「100%の力を発揮できる場所」
YouTubeクリエイター・カジサックとして活躍しているお笑いコンビキングコング梶原雄太。2018年10月にYouTubeチャンネルを開設してから5年、登録者数245万人を誇る人気YouTubeクリエイターとなった。
先日、「YouTube Fanfest Japan 2023」に出演したカジサックにインタビューし、5年間を振り返るとともに、YouTubeやキングコングの活動への思いを聞いた。

○『はねトび』時代も自分を出し切れていないという葛藤があった

1999年9月にキングコングを結成し、フジテレビ系『はねるのトびら』(2001~2012)でお茶の間の人気者となった梶原。2018年10月に「2019年の年末までに登録者数100万人にいかなかったら芸人を引退したいと思います」と宣言しカジサックとしてYouTubeデビューすると、2019年7月に100万人を突破、その後も着実に登録者数を増やしていった。

梶原は「あっという間の5年間だった」と振り返る。

「スタートした当初はどうなることやらと。炎上もありながら、一瞬で過ぎ去った5年間でした。
それまで僕は芸人を18年ぐらいやっていましたが、その時間と比べたら、この5年の早さたるや。嘘やろ! って感じです」

YouTubeを始めた時は4児の父だったが、2020年2月に三女が誕生して5児の父に。子供の成長を思うと5年という月日を感じるという。

「我に返るのは子供の成長ですね。一番最初に家族がYouTubeに出た時は、まだみんな小さかったのが、今もう高校生もいて、新しい命も生まれて。そう思うと、5年やってきたんやなと感じます」

YouTubeが自身にとってどんな存在になっているか尋ねると、「活動の軸ですし、ずっと感謝しています」と答えた。


「それまでずっともがき苦しんできたので。『はねるのトびら』をやっている頃とか視聴者の皆さんにはうまくいっているように見えていたかもしれませんが、自分の中ではもがいていて、本当に好きなことや自分の100%のパフォーマンスができていたかというとできていなかった。そんな中でYouTubeという、100%の力を発揮できる場所に出会えたので感謝しています」

『はねるのトびら』の頃も楽しさは感じつつ、自分を出し切れていないという葛藤があったという。

「プロのスタッフさんが僕が生きるコーナーを作ってくださって、とてもありがたいことですが、もっと自分はできるはずだという思いがありました。YouTubeだと自分のやりたいことを100%形にできるのでとてもやりがいを感じています」

○YouTube成功の秘訣は“気持ち”「死ぬ気でもがいて頑張ってきた」

いまや登録者数245万人を誇る人気チャンネルに。「成功の秘訣はいっぱいあると思いますが、シンプルに言うと“気持ち”だと思います」と分析する。


「ここで結果を残さないと終わりという覚悟があり、その気持ちがむちゃくちゃ強かったので、デビューに向けて1年かけて研究したり、死ぬ気でもがいて頑張ってきたというのが大きかったと思います」

また、満足せずに新しいことに挑戦し続けていることも大事だと語る。

「どの世界にも共通することだと思いますが、YouTubeにおいては特に満足というものが悪魔だと思っていて、例えば登録者数が伸びて満足すると、サボってしまったり、これぐらいでいいんちゃうかという思いが生まれてしまう。そうなるとこの世界ではやっていけないので、満足せずに常に新しいことに挑戦し続けているというのは大きい気がします」

満足したらダメだというのは、『はねるのトびら』が終了した時に痛感したという。

「テレビは、スタッフさんに頼って、我々は演者という形で出演するものですが、全部任せるのではなく自分たちももっとできたんじゃないかなと後悔して。そこで動かなかったのは、満足してしまっていた部分もあったのではないかなと思います」

YouTubeへの家族の出演が大きな転機に


この5年間で特に大きな転機になったと感じていることを尋ねると、「家族の存在です」と答えた。

「登録者数100万人を達成できなかったら芸人を引退すると宣言して始めて、最初の頃は炎上もしていて。当時は、特にテレビ世代から『YouTubeなんかに行って』という声がすごくて、バッド評価もえげつなかったですが、家族が出てくれるようになってから、うがった目ではなく、ストレートにカジサックを見てくれる人が増えました」

家族との共演動画が、純粋に動画を楽しんでもらえる大きなきっかけに。
「子供と絡んでいる時に僕の素の部分も出るようになったのかなと思います」と言い、「すごくうれしかったのは、叩いていた人たちも手の平を返すように『よく見たらええやん!』という風に変わってくれて。そのきっかけが家族で、ターニングポイントになったなと思います」と語った。

『はねるのトびら』でも妻と子供が出演することがあったため、YouTubeに家族を出演させることに抵抗はなかったという。ただ、「一番大事にしていたのは子供たちが出たいかどうか」だと言い、「子供たちが出たいと思って出てくれました」と説明する。

YouTubeをきっかけに家族の絆も増したようだ。

「純粋に家族と一緒にいる時間が増え、それは家族にとってもプラスになりました。
芸人1本でやっている時は、日本全国を飛び回ることもあり、家を空けることが多くて。今もめちゃくちゃ忙しいですが、家族と撮影する時間は一緒にいられるので、一緒にいられる時間が増えました。今は家族の動画を減らしていますが」

今年、長女の“かんちゃん”こと叶渚がファッション誌『Cuugal』のイメージガールとしてモデルデビューを果たし、「かわいい」と話題になった。

「ありがたい話ですね。本人の人生なので僕が邪魔したらいけないと思い、できるだけ絡まないようにしています。子供たちの将来については本人の意思を尊重しているので、見守っていけたら」

○「YouTubeを軸としながら新しいこともやっていけたら」

今後の抱負を尋ねると、YouTubeのみならず新しいコンテンツ作りを考えていると明かした。


「5年間どんどん新しい目標を立ててやってきて、100万人という目標から始まり、チャンネル登録者数もそうですが、いつしかチームカジサックというスタッフを家族だと思うようになり、彼らの幸せのために頑張っているというのがあります。YouTubeも引き続き頑張りますが、チームカジサックが食べていけるように新しいコンテンツを作るかもしれません」

新しいコンテンツとはどんなものか気になるが、「まだ言えません」と詳細は明かさず。「満足せずに新しいことに挑戦し続けたいという思いがあるので、YouTubeを軸としながら新しいこともやっていけたら」と語った。

いつかキングコングでテレビでリベンジしたい


相方・西野亮廣とともにキングコングとしても活動を継続しており、YouTubeチャンネル「毎週キングコング」の配信に加え、イベントも開催。昨年は日本武道館でトークライブを、今年は幕張メッセで5周年イベントを行った。

梶原は「コンビとしては今、ものすごくいい状態だなと思っています」と満足そうな表情を見せる。

「昨年は武道館、今年は幕張メッセでイベントをやりましたが、年に1回大きなことをやるというのはすごくいいなと。コンビのYouTubeチャンネルで週1回フリーでしゃべるという時間も作れていますし、今の状況がものすごく心地いいです」

現状に満足しつつ、再びテレビに挑戦したいという思いもあるという。

「僕はいつかキングコングでテレビでリベンジしたいと思っています。急がず、いつかまた。西野は全然思っていないと思いますが、僕がやろうと言ったら付き合ってくれるんじゃないかなと」

○相方・西野亮廣との関係は「今が一番いい」

そして、カジサックとして活動するようになってから、コンビの関係は「めちゃくちゃ良くなりました」と明かす。

「一番苦しんでいたのは僕本人だと思いますが、西野も苦しかったのかもしれないなと。西野は『梶原はもっとできるはずなのに。いつコイツは輝けるんだ』と思っていたと思うので。僕がYouTubeをやると言ったときに本当に両手を広げて喜んでくれたのは西野ぐらいで、『やっとやな』みたいな感じで応援してくれて。西野との関係は今が一番いい気がします」

西野も芸人の枠を超えて、絵本作家、実業家と幅広く活躍している。

「本当に稀有なコンビだと思います。芸人ではない違う道で各々が頑張って結果を残して、コンビとしても活動を続けて。ワクワクしますし気持ちいいですよね。そして年に1回1万人規模のイベントができるコンビって、今あまりいないんじゃないかなと。最高です!」と笑顔を輝かせた。

■カジサック/梶原雄太
1980年8月7日生まれ、大阪府出身。1999年9月に西野亮廣とお笑いコンビ・キングコングを結成。フジテレビ系『はねるのトびら』(2001~2012)でその名を全国区に広めた。2018年10月にカジサックとしてYoutubeデビュー。さまざまなゲストも招きながらバラエティに富んだ動画を配信し、2019年7月に登録者数100万人、2020年に200万人を突破。12月22日現在、245万人となっている。