日経BPは12月28日、ソニー・ホンダモビリティ、米Tesla(テスラ)、中国BYD(ビーワイディー)、米Apple(アップル)、米Waymo(ウェイモ)の5社を対象に関連特許6634件を分析し、各社の開発戦略を明らかにした。

今回の調査では、次世代EV(電気自動車)企業に焦点を当て、知的財産情報の分析を通じて各社の開発戦略を明らかにしている。
2011年以降の6634件の自動車関連特許およびEV関連特許を対象に、これら新興のEVメーカーが異なるアプローチで製品やサービスを開発していることがうかがえる。これら企業は既存メーカーと異なり、高い注目を浴びつつも開発戦略が一部未公開であるため、IPランドスケープ手法を用いて知的財産情報を解析し、市場動向と結びつけて各社の開発方針やEVの進化方向を予測した。
○ソニー・ホンダモビリティ、Tesla、Apple、WaymoがAIに注力

調査の結果、ソニー・ホンダモビリティ、Tesla、Apple、Waymoの4社が開発分野としてAIに力を入れ、ソニー・ホンダモビリティ、Apple、Waymoの3社が複数のセンサーから高度な情報を抽出して活用するセンサーフュージョンの技術を重視していることが判明。これらはEVの安全性を高め、自動運転技術を進化させるうえでの今後の2大潮流だと日経BPはみている。

ソニー・ホンダモビリティは、2026年にEVブランド「AFEELA」の初の車両を投入する計画を発表し、ホンダとソニーグループの協力により、他社に先駆けての展開を目指している(出願件数はホンダ2284、ソニー1095)。センサーフュージョンとAI技術が鍵となっており、センサーフュージョンでは高性能LiDARとカメラのデータを組み合わせ、データ処理の抑制や省電力化を実現する技術が注目されている。
また、カメラ方式(撮像データ)と則長方式(デプスデータ)の組み合わせた物体認識技術は、自動駐車を支える技術として注目されるという。

AI分野では、運転者の挙動をスコアリングし、スキルや安全性を可視化する技術が出願されている。自動運転分野では、Waymoが829件の出願で開発競争のリーダーであり、センサーフュージョン技術やGoogleマップとの組み合わせによる開発戦略が浮き彫りになったという。

Appleは539件の出願で、自動運転、通信、車両ハードウェアで存在感を示し、高速道路の合流など難易度の高い運転状況での安全な自動運転を可能にするAI制御技術や自動運転モードでの没入型ディスプレーによるVR酔いの抑制技術に注力しているという。Teslaは230件の出願で、AIや熱マネジメント、自動運転など広範な技術を提案し、LiDARを使用しない独自の自動運転戦略を展開している。BYDは他社と異なり、ブレードバッテリー搭載のEV専用プラットフォームとマルチガン充電技術を組み合わせ、高いコストパフォーマンスと急速充電を強調した独自の開発戦略を取っているという。


EVをはじめ電動化の開発に力を入れているのは次世代EV企業だけではなく、既存の自動車メーカーも積極的に経営リソースを投入している。具体的には、トヨタ自動車、Hyundai Motor、BYD、Robert Bosch、Audi、Geely、BMW、デンソー、Volkswagen、Audi FAW NEV、SUBARU、BAIC、Ford Motor、ホンダの4社に焦点を当て、1万9145件のグローバル特許出願を分析した。例えば、SUBARUの特許ポートフォリオでは、ハイブリッド車(HEV)関連が減少する一方で、EVのアンダーボディーにおける電動装置の配置最適化への傾注が認められたという。特にトヨタ自動車との共同発明が多く、これらの技術が「bZ4X」と「ソルテラ」などの共同開発車種で採用される可能性が高いことが注目されるとしている。