●キャリア2年で早くも主演女優の器
「新年の頭にネクストブレイク候補を発掘する」、マイナビニュース恒例の正月企画を今年も実行。年々、他サイトで似た記事も増えてきたが、ここでは「よりフレッシュな先物買い」という観点から10人の若手女優を紹介していく。


セレクトのポイントは、最近の出演作で見せた可能性、出演予定のラインナップ、業界内の評価。次々に新星が誕生する女優業界で、今年ブレイクのきっかけをつかむのは誰なのか?
○『VIVANT』で大物と渡り合った20歳

1人目は、キャリア2年で早くも主演女優の器を感じさせた飯沼愛(20)。芸能界デビューは、オーディション番組『TBSスター育成プロジェクト 私が女優になる日_』でのトップ獲得で、2021年秋に『この初恋はフィクションです』(TBS)で主演デビューを果たした。

2022年の『パパとムスメの7日間』(TBS)で主演を務め、日曜劇場『アトムの童』(TBS)にも出演して迎えた2023年は、『天使の耳~交通警察の夜』(NHK BS4K)、『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』(テレビ朝日)にも出演。TBS以外の局への出演で可能性を広げた。

驚かされたのは大作『VIVANT』(TBS)で演じた、世界で活躍する天才ハッカー役。堺雅人阿部寛松坂桃李小日向文世ら大物俳優を相手に堂々とした演技を見せて一気に知名度を上げた。さらに『マイ・セカンド・アオハル』(TBS)にもレギュラー出演するなど、約9,000人から選ばれ、秋元康や根本宗子らから絶賛された才能は開花寸前と言っていいだろう。

2人目は、4歳からはじめた子役時代に培った経験値が光る伊礼姫奈(17)。子役として大河ドラマ花燃ゆ』(NHK総合)や朝ドラとと姉ちゃん』(NHK総合)のほか各局のメジャー作への出演を重ね、17歳になった2023年も『大奥』(NHK総合)、『ハイエナ』(テレビ東京)、『離婚しようよ』(Netflix)などに連続出演。映画でも主演作『18歳、つむぎます』『シンデレラガール』のほか、『ちひろさん』『この小さな手』『劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ』にも出演するなど、すでに世代トップのキャリアと評価を得ている。


3人目は、2023年春の上京後、すい星のごとく現れた藤崎ゆみあ(15)。いきなり『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ)の主要生徒役に起用され、芦田愛菜を筆頭に奥平大兼、加藤清史郎、當真あみ、茅島みずき、莉子、窪塚愛流ら実績のある若手俳優と共演した。

さらに同作の主題歌・菅田将暉「ユアーズ」MVのメインに抜てきされたほか、開催中の『第102回全国高等学校サッカー選手権大会』19代目応援マネージャーに就任。新垣結衣広瀬アリス川口春奈広瀬すず永野芽郁清原果耶らも務めたトップ女優の登竜門だけに、大きな期待が寄せられている。
○人気TikTokerとSeventeenモデル

4人目は、「TikTokがデビューのきっかけ」という片岡凜(20)。2022年の『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』(TBS)でドラマデビューを果たしたあと、『ボーイフレンド降臨!』(テレ朝)、『君の花になる』(TBS)に連続出演した。

昨年も『リエゾン -こどものこころ診療所-』(テレ朝)で摂食障害の高校生、『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』(TBS)で極限状態の中、妊娠・出産する高校生を熱演。さらに『いちばんすきな花』(フジテレビ)では主人公の高校生時代役を演じた。芸歴2年ながら、TikTok約23万人、インスタグラム約10万人、X(Twitter)約6万人のフォロワーを持つ自己プロデュース力や、英会話、ギターをこなす多彩さも含め、業界内の注目度は高い。

5人目は、Seventeenモデル時代から女優としても期待されていた出口夏希(22)。2023年は『舞妓さんちのまかないさん』(Netflix)で森七菜とのW主演に起用され、ファースト写真集も発売した。さらに、『18/40~ふたりなら夢も恋も~』(TBS)などのドラマ5作に出演し、『アオハライド』(WOWOW)では櫻井海音とW主演に抜てき。
今年1月期も『君が心をくれたから』(フジテレビ)にも出演するなど、女優としてブレイクの気配がただよっている。

世代屈指の役作りで難役オファー続く

○1話のみで「あの子は誰?」と評判に

6人目は、ハイペースで出演経験を重ねる志田こはく(19)。女優デビュー後すぐに『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』(テレ朝)のヒロインに起用されて注目を集めると、2023年は『私がヒモを飼うなんて』(TBS)、『ガチ恋粘着獣』(ABC・テレ朝)、『CODE-願いの代償-』(読売テレビ・日テレ)、『最高の生徒~余命1年のラストダンス~』(日テレ)などに連続出演した。6歳年上の姉・志田音々もグラビアのほか女優としても活動する人気者だけに、姉妹女優としてスポットが当てられるかもしれない。

7人目は、昨年「第15回TAMA映画賞」最優秀新進女優を受賞した高石あかり(21)。着実に出演作を重ねていたが2023年は、『東京の雪男』(NHK Eテレ)、『墜落JKと廃人教師』(MBS)、『日本統一 関東編』(日テレ)、『わたしの一番最悪なともだち』(NHK総合)などドラマでの活躍が目立った。役作りのうまさは世代屈指で、だからこそ難役のオファーが多く、視聴者にとって驚きを与えられる女優だ。

8人目は、現役Seventeenモデルとして活躍する上坂樹里(18)。2023年は初の本格的なドラマ出演となる『生理のおじさんとその娘』(NHK総合)の演技が話題になった。上坂が演じたのは、「生理おじさん」として人気を集める主人公の父を腹立たしく思う高校生の娘。さらに、『いちばんすきな花』で主演4人とつながりを持つ女性の中学生時代を演じ、2度にわたって「あのかわいい子は誰?」とネット上で話題を集めた。女優志望だけに2024年はさらに注目を集める一年になるだろう。


○すでに40作超の出演歴と数々の映画賞を受賞

9人目は、昨年7月に日向坂46を卒業したばかりの影山優佳(22)。コロナ禍で数々の資格を取得して驚かせたほか、サッカー番組とクイズ番組での活躍が目立っていたが、昨年はMENSA会員になるなど、相変わらずの秀才ぶりを見せた。2024年はいきなり1月期に『ハコビヤ』(テレ東)と『春になったら』(カンテレ・フジ)の2作に出演。前者では洋食屋兼運び屋の主人公を手伝うヒロインを、後者では主人公の同僚助産師を演じる。CMの引き合いも多いだけに、女優としてのオファーも増えるかもしれない。

最後の10人目は、すでに40作超の出演歴と数々の映画賞を獲得している河合優実(23)。2023年は映画『少女は卒業しない』で長編初主演、『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』(NHK BSプレミアム)で連ドラ初主演を飾った。今年も1月期の『不適切にもほどがある!』(TBS)で主人公の娘を演じるほか、4月期の『RoOT / ルート』(テレ東)では坂東龍汰とW主演を務める。ファンデリー「旬をすぐに」のCMでも見せた圧倒的な存在感で、ドラマシーンでもトップに登り詰めるか。

今年はどんな新星が飛び出し、どこまで人気を集めていくのか。ここで挙げた10人はその可能性を秘めた筆頭株だけに、一年間追いかけてみてはいかがだろうか。

木村隆志 きむらたかし コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。
雑誌やウェブに月30本のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組にも出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』など。 この著者の記事一覧はこちら
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