●ソロになって広がった歌の表現の幅
2021年7月にソロデビューしてから精力的に楽曲をリリースし、ライブやツアーも多数開催している手越祐也。1月24日には同世代のさまざまなアーティストから楽曲提供を受けたミニアルバム『絆 -KIZUNA-』をリリースする。
手越にインタビューし、同アルバムへの思いや制作裏話に加え、「1つでも多く新しいことにチャレンジした一年だった」という2023年について、そして「自分の活動が満開になる」と予想する2024年への意気込みを語ってもらった。

○同世代のアーティストとのコラボに喜び

『絆 -KIZUNA-』に楽曲提供したのは、田邊駿一(BLUE ENCOUNT)、金井政人(BIGMAMA)、眉村ちあき、山田海斗・竹中雄大(Novelbright)、マイキ、井上竜馬(SHE'S)。手越が番組MCを務めるレギュラー番組『スペプラ手越』など、音楽を通じて出会ったアーティストが参加した。

手越は、純粋に音楽でつながったアーティストとのコラボレーションに喜びを感じている。

「損得感情ではなく、実際にパフォーマンスを見てくださったアーティストの方々が『ぜひ』と参加してくれたのはうれしいですね。僕の歌を聴いてくれた人たちが書いてくれたというのが、すごく大きいんじゃないかなと思います」

楽曲にはそれぞれのアーティストの特徴が色濃く出ており、自身の新たな魅力を引き出してもらったと語る。


「自分で曲を書いたり、普段よく書いてくださる方にお願いすると、安定はするけれど僕の歌の特徴や性格に偏ることもある。今回はそれぞれのアーティストの色が濃く出ていて、僕では書けない歌詞やメロディーラインになっているなと感じています」

「face to face」を手掛けた金井政人と「Lover」を手掛けた眉村ちあきは、レコーディングに立ち会ったそうで、「書いてくれたアーティスト本人に向けて、『この歌い方どう?』と聞きながら進めていくのは新鮮で楽しかったです」と振り返る。

そして、自身のレコーディング方法について、「思い浮かべる主人公によって歌い方が変わり、どんな曲でも必ず4種類か5種類のキャラクターを用意して歌うようにしている」と説明した上で、「金井くんとちあきちゃんに全部のパターンを聴いてもらって、どのキャラがイメージに合っているか意見をもらって決めました」と今回のレコーディングでのやりとりを紹介した。

歌の表現の幅はソロになってからより広がったという。

「音楽に触れている量が事務所時代とソロになってからでは桁違い。しかもグループだと全部自分が歌うわけではなく数行で自分の全能力をアピールしないといけないけれど、1人で歌う場合は1つの物語を自分で全部完結できるので、必要な能力値も変わってきます」
○ファンも一緒に「音楽に対して研ぎ澄まされている」

また、寄せられた歌詞を見て、「僕とファンであるHONEYYY(ハニー)の関係を歌詞にしたアーティストが多い」と思い、そこに喜びを感じたという。


「『everlasting』も『My Own Beat』もそうで、この関係いいなと思って書いてくれたアーティストが多くて。そういう風に、手越祐也とファンのHONEYYYの関係が光り輝いて見えているんだなというのはすごくうれしかったです」

そして、アルバムのタイトル『絆 -KIZUNA-』は、さまざまな人との絆を意味していると説明する。

「アーティストとの絆でもあり、俺とファンの絆でもあり、一緒にステージに立って支えてくれるバンドメンバーとの絆でもあり、関わってくれているすべての人たちが入っています。歌にして歌うと、感謝の気持ちをナチュラルに伝えられるので、すごく素敵なことだなと、レコーディングのときに改めて思いました」

2023年にファンとの絆を感じたエピソードを尋ねると、一緒に音楽に関して成長できていると感じられてうれしかったと語る。

「オーケストラコンサートや食事をしながらのライブなど、さまざまなライブをやってきて、みんなが音楽に対して玄人になってきたと感じています。ソロになってアーティストと胸を張って言える活動をしていく中で、ファンの人たちも音楽に対して目も耳も肥えてきているなと。
いろいろなライブを提供し、このライブはこういう風に楽しんでほしいなと思いながら作っていますが、しっかりとその思いを汲んで反応してくれています」

2023年に初挑戦した、オーケストラの演奏に乗せて歌を届けるシンフォニックコンサートでは、スタンディングオベーションをしてくれたと言い、「アイドルのライブではそういう文化はないと思いますが、オーケストラだったら、ということで順応してくれているんだなと。ライブに応じて今までにない反応をしてくれているので、僕もファンもお互いに音楽に対して研ぎ澄まされているなと感じます」と語る。

シンフォニックコンサートで得た自信


2023年はどんな年になったか尋ねると、「1つでも多く新しいことにチャレンジして、走り抜いた一年になりました」と振り返る。

「きっと自分の活動に関して満開になるのは2024年だと、2022年の段階からそう思っていて、どういう活動をしたら2024年に満開になるのかなという思いで2023年は走り切りました。1つでも多くの活動をして、いろんな刺激を求めて、人間としてもアーティストとしてもパワーアップできたら、2024年により大きく跳ね上がれると思ったので」

さまざまな挑戦をした中で、特にシンフォニックコンサートが自身にとって大きな経験になったという。

「日本でシンフォニックライブができるアーティストって一握りしかいないと思います。
そのぐらいシンフォニックライブは難しくて、絶対音感、相対音感が必要だし、リズム感が本当によくないとできない。生身の人間が演奏していてテンポも若干変わるので、それに順応できる柔軟性も必要だし、ボーカル力もかなりのものが備わってないとできないんだなと感じました」

シンフォニックコンサートを1日2公演行う日もあったが、そのタフさに指揮者たちが驚いていたという。

「指揮者の方にもオーケストラを仕切っている方にも、『ここまでタフで柔軟性のあるアーティストはそんなに見たことがないです』とお褒めの言葉をいただいて、超プロフェッショナルな人たちからそんな言葉をいただけたことはすごく自信になりました」

また、2023年は日本の芸能界や音楽シーンにとって大きな変化があった年だと捉えている。

「2023年はいろいろありましたが、現状維持を続けて挑戦しなかったら、それはもう退化だと思います。これからは本当に実力がないと生き残れない」と気を引き締め、アーティストとしてさらなるスキルアップを目指していくという。

「海外のアーティストなど、本物のパフォーマンスがネットですぐ見られる今、これからは本物しか生き残れない。
一生懸命、本気で戦っている人にとっては追い風なんです。2024年は、努力を惜しまずに実力を磨き続け、より一層気を引き締めて自分のスキルアップをしないといけないと思っています」
○東京ドームに再び立ち「後輩たちに夢を与えたい」

いずれ東京ドームでライブを開催することも目標に掲げているという手越だが、「僕自身がドームに立ちたいというわけではない」と話す。

「もう立ったこともあるし、今僕がやっている音楽の繊細さは、ドームだと伝わらないので。Zeppやビルボードは音がよくて、表現したい呼吸とか細かいところまで伝わるけれど、ドームだとそういうのが伝わらないんです」

それでも、事務所から独立しソロになった手越が再び東京ドームに立つことに意味があるのだという。

「これから芸能界に入ってくる子や今芸能界で頑張っている子たちに夢を与えたいし、後輩を育成したいという思いがあるので。事務所から出て、いろんな挫折を味わった人でも、毎日楽しそうに仕事をしていて、しかももう1回ソロでドームに戻ったら超かっこいいじゃないですか! そうしたら、後輩たちに『僕も頑張ろう』と夢を与えられると思うし、日本の芸能界に夢を見させられると思っています」

そして、それがファンへの恩返しにもなると考えている。


「ソロになってからも君たちが支え続けてくれたからここに戻ってこられたんだよと、再びドームに立つことでファンへの感謝も伝えられると思うので、僕が立つことに意味があると思っています」
○独立から3年半「僕の中では右肩上がりで来ている」

2月にはアルバムを引っ提げ、全国ツアーを開催する。

「全国5カ所でそれぞれ2公演開催しますが、1日目と2日目のセットリストを変えているので、2回来た方も楽しめるライブになっています。負担がすごくなるのでこんなことをやるアーティストはいないと思いますが、ハードルが高ければ高いほどやりがいを感じる性格なので。僕にとっても見に来てくださる方にとっても刺激だらけのツアーになると思います」

そして、「間違いなく独立した2020年より21年、21年より22年、22年より23年と、僕の中では右肩上がりで来ていて、2024年はその傾きがさらに上がっていくという自信と直感があります。僕、直感は外さないので(笑)」とさらなる飛躍に自信をのぞかせる手越。

「そうなると僕も、僕のファンも、僕についてきてくれたスタッフも、全ての人が幸せになると思うので、2024年を走り切った時に『最高の一年だったね』と言いながら12月31日においしいワインをみんなで飲みたい。そんな1年にしたいです!」と笑顔で締めくくった。

■手越祐也
1987年11月11日生まれ、神奈川県横浜市出身。15歳から芸能活動開始。2003年9月のデビューから2020年6月独立までの約17年間男性アイドルグループのメンバーとして活動。在籍期間中、歌手活動だけでなく、「FIFA クラブワールドカップ」「FIFA ワールドカップ」でメインキャスターを務め、人気バラエティー番組へのレギュラー出演、俳優など幅広く活動。フリー転身後、2021年7月にデジタルシングル「シナモン」でソロデビュー。精力的にシングルやアルバムをリリースし、ライブやツアーも多数開催している。