●土に埋められるのは「過去一つらかった」『大脱出2』で再び
TBS系バラエティ番組『水曜日のダウンタウン』をはじめ数々の番組で体を張って活躍しているお笑いトリオ・安田大サーカスクロちゃん。4月24日より配信されているDMM TVオリジナルバラエティ番組『大脱出2』では、前作に引き続き土に埋められるという過酷なロケに挑み、「死を意識した」と語る。
クロちゃんにインタビューし、今回のロケを振り返ってもらうとともに、数々の過酷なロケを経験してたどり着いた境地、そして、「好感度芸人になる!」という目標や、恋人・リチとの今後について話を聞いた。

『水曜日のダウンタウン』の総合演出を務める藤井健太郎プロデューサーがTBS以外で初めて制作した『大脱出』は、さまざまな場所に閉じ込められた芸人たちが脱出を目指すバラエティ。シーズン1では山、シーズン2では海辺で土の中に埋められ、そこから脱出を目指したクロちゃんは、土に埋められるのは「過去一つらかった」と振り返る。

「シーズン1で埋められたときに全然抜け出せなくて。寒いし、手足の感覚がなくなってきたのでヤバイと思い、土の中でずっと手と足をぎゅっぎゅってやっていて、壊死してしまうんじゃないかという恐怖と戦いながら本当にしんどくてつらかったです。精神的にも肉体的にもマックスでキツかったので、もう二度とやりたくないと思いました」

それまでは「死ぬ以外NGなし」とマネージャーが言っていて、「何言ってるんだろう」と思うも、自身もNGなしで何でも受け入れてきたクロちゃん。
だがシーズン1を経て、「土の中に埋めるのはNG」と初めて自分からNGを出したという。にもかかわらず、シーズン2で再び土の中に埋められることに。

「藤井さんとかが何を勘違いしたのか、山の中で埋められるのが嫌だと思ったみたいで、今回は海に。イカれているなと思いました。目隠ししていたのでよくわからず、いつの間にか埋められていて、見た瞬間に精神的にキツかったです。トラウマだったので」

過酷さは前回を超えたという。


「前回はスプリンクラーみたいなものがあったので、水を飲んだりしてなんとかやれましたが、今回は暑くてすぐ喉が渇くし、前回同様に手足のしびれもあったのでずっとぎゅっぎゅってやっていたし。オーシャンビューで見渡す限り何もなかったので、どうやって脱出すればいいんだろうって、前回以上の絶望でした」

完成した映像を見たときは過酷さを思い出し、「なんで俺はこんなことをさせられないといけないんだろう」と思ったそうで、「場所関係なく埋められることがNGだと、改めてはっきり言いたいです」と強い口調で話した。

○「死ぬかもしれない」と思ったときに恋人・リチのことが頭に

数々の番組で体を張ってきたクロちゃんだが、今回のロケで「俺、死ぬのかな。死ぬかもしれないな」と死について考え、『水曜日のダウンタウン』の企画をきっかけに交際がスタートした恋人・リチのことが頭に浮かんだという。

「リチに最後の一言も言えずに死ぬのは嫌だなと。あと、貯金が多いと女が寄って来ると思って5、6年前ぐらいから貯金を始めたんですけど、今死んで貯金だけ残ったら最悪だなと。
使っておけばよかったなと思いました」

死を覚悟するほどの過酷なロケを経験し、つらいと感じるレベルがぐんと上がったという。

「違うロケで文句を言うのがよくわからない感じに。よく若手の子とかが『しんどかった』と言いますが、『お前ら埋められたことないだろ』と思います。つらかった自慢でいったら誰にでも勝てると思います」

『水曜日のダウンタウン』をきっかけに“クズ芸人”や“キモキャラ”として人気を集め、再ブレイクを果たしたクロちゃん。さまざまなロケを経験する中で「始まったら終わらせよう」という意識で取り組むようになったそうで、「『何だよ!』と言っても始まらないので、解決方法を見つけ出して何とか終わらせようとするようになりました」と語った。

アンチの声もプラスに「僕のことを好きになる可能性がある」

どんなロケも受け入れて乗り越えてきたものの、『大脱出2』では自分ではどうにもできない状況すぎて「今までのノウハウが一つも使えなかった」と振り返る。

そして、藤井プロデューサーの「クロちゃんが今も五体満足で暮らしている……という若干のネタバレはありますが」というコメントを見て驚愕したそうで、「当たり前だろと。
本当に藤井さんはイカれているんだなと思いました」と話した。

2022年に番組のおかげでリチという彼女ができた際には、「ありがとうございます」と藤井プロデューサーに感謝するも、その1週間後に『大脱出』シーズン1のロケで土の中に埋められることに。

「感謝するとひどいことをされるんだろうなと思って、そこから1回も感謝の言葉を言ってなかったんですけど、また埋められたので、言っても言わなくても埋められるんだなと思いました」

『水曜日のダウンタウン』の反響は大きいと感じているものの、アンチの声がほとんどだという。

「『Xのフォロワーが増えてよかったね』と言われますが、アンチの人ばかりですから。朝『おはよう』って写真をアップしたら、『また目が覚めやがって』とか100~200の文句が来るから何なんだろうなと」

そんなアンチコメントを大量にもらっても、精神的にダメージを受けることはないという。

「僕はアイドルになりたかった人で、写真をあげてみんなに喜んでもらおうと思ってやっているだけなので、それに対して文句を言われたところで、悪いことはしてないからずっとやってやろうと思っています」

また、「良いことを言う人も悪いことを言う人も表裏一体」と考えているそうで、「文句を言っている人も、意識して僕のことを見ているから好きになる可能性がある。
その人たちも好きにしてやろうと思ってやっています」と、アンチから好きに変わることを期待している。

○人のせいにすることを覚えて「心を保てるようになった」

ポジティブマインドをどのようにして手に入れたのか尋ねると、「僕はもともとは誰よりも心が弱い人間だったと思います。すぐ泣いたり諦めたり」と打ち明け、小学校2年生のときの出来事がきっかけにポジティブに変わったと明かす。

「テストの点数が悪かったときに先生にめちゃくちゃ怒られて、泣いて精神崩壊みたいになったんです。そのときに初めて先生のせいにして、きちんと教えることができない先生が悪いと思ったら心のダメージが減りました。さらに『先生は教え方がよくないから家で自分で勉強しよう』と思ったら、すごく楽な気持ちで勉強ができて、点数も良くなったんです。
そうではなく勉強しないとまた怒られるというマインドでやっていたら、追い込まれてうまくいかなかったと思います」

そして、「人のせいにすることを覚えてすごく楽になり、心を保てるようなったので、それ以降、なるべく人のせいにするようにしています」と説明。芸人としてもそのマインドを大切にしている。

人のせいにするために、自分がやるべきことはしっかりやるように。

「できることはやらないと自分のせいにされてしまうので、台本があるときは読み込んで、ボケが書いてあったらその通りやりますから。それでウケなくて『クロちゃんよくなかった』と言われたら、『台本を書いた人のセンスがなかったんじゃないですか?』とスタッフのせいにしています」

恋人・リチとは2年後の結婚を希望「あと2年遊びたいので」

2001年に安田大サーカスを結成してから、20年以上活動を続けているクロちゃん。今の仕事に対する思いを尋ねると、「与えられたことをやって、全部人のせいにできる形にするというのが僕の今のスタイルなのかなと思います」と回答。

また、『水曜日のダウンタウン』を中心に、事前に何も知らされてない状態から急に始まる仕事が増えたことで、いつどんな仕事が降りかかってくるかわからないという意識に変わったそうで、「とにかく始まったら終わらせる」という気持ちで仕事と向き合っている。

さらに、「『水ダウ』がえぐいことが多いので、何かやるのか、死ぬのかという2択を考えるようになりました。死ぬよりはマシだからやるしかないという感じで。究極の2択を覚えました」と、過酷なロケを重ねてきたからこそたどり着いた境地を告白。「バンジージャンプなんて飛びたくないけど、死ぬよりマシだと思って飛ぶようになったので。『大脱出』も、死にたくはないから何とかして脱出しようという方向に持っていきました」と語った。

今後の抱負を尋ねると、「自分の冠番組はやりたいです」と願望を告白。「アロマコーディネーターの免許を取っているのでアロマとか、ちょっと博学な感じの番組をやりたいですね」とイメージを明かした。

そして、「あんまりキツいものはやりたくないです」とも言い、「『大脱出』で小峠(英二)さんとバカリズムさんが天上人みたいな感じでうちらを見ていて、ずるいなと。自分もいずれそちら側の立ち位置になって『バカなことやってんな』って笑いたいです」と理想を語った。

プライベートに関しては、「10年ぶりにリチという彼女ができて、今1年半付き合っているんですけど、あと2年遊びたいので、2年経ったら結婚しようかなと思っています」と2年後の結婚を目標に。

「あと2年遊びたい」という気持ちはリチに直接話してないものの、「番組とかで何回か言っているのでたぶん知っていると思います」とのこと。「それを見てショックを受けているか怒っているかどっちかだと思うんですけど、何も言ってこないので逆に怖いです。きっと待ってくれているのかなとは思いますけど」と話した。

出川哲朗のように「近い未来、僕は好感度芸人になります!」

ファンへのメッセージもお願いすると、「俺が苦しんでいるのを喜ぶ人たちばかりだから。スタッフさんとかにもよく、『クロちゃんは苦しそうに見えないからいい』と言われるんです。今回も埋められて本当にしんどくて苦しい顔をしているのに、全然かわいそうに映らないって何なんだろうって」とぼやくクロちゃん。

その上で、「僕は今、いろんなことをやらされて、『バカだな』『最低だな』『気持ち悪い』とかいろいろ言われているかもしれませんが、もうちょっとで裏返ると思っています。出川(哲朗)さんみたいに好感度芸人に変わると思うので、変わっていくサクセスストーリーをしっかり見てください。近い未来、僕は好感度芸人になります!」と宣言。

とはいえ、どうなったら好感度芸人になれるのかは「わからない」と言い、「出川さん本人からも『思っているより早く変わりそうだね』『昔の僕を見ているみたい』と言われましたが、そこから5年経っても何も変わらず、より過酷な仕事しかさせてもらってなくて」と吐露しつつ、「いつかは好感度芸人になって、俺が天上人みたいに、若手芸人のキツいロケをゲラゲラ笑ってやります!」と変化を期待していた。

■クロちゃん(安田大サーカス)
1976年12月10日生まれ、広島県出身。松竹芸能所属。2001年に団長安田、HIROと共にお笑いトリオ・安田大サーカスを結成。スキンヘッドにソプラノボイスが特徴で、バラエティ番組を中心に活躍。最近では、番組やイベントのMC、アイドルグループのプロデュース、プロレス参戦など、活躍の幅を広げている。趣味・特技は、ピアノ、社交ダンス、詩を書くこと、アロマ、カポエイラ。