●今年の全国ツアーでの笑いを「賞レースへの糧にしたい」
昨年、全国47都道府県ツアーを完走したお笑いコンビ・EXIT。今年は5都市を巡る「EXIT全国お笑いツアー暗黒物質大放出SP」を5月24日より開催する。
「僕も死ぬまで漫才をやりたい」。そのためにも「ずっとお笑いをやっていいという証明がほしい」と、『M-1グランプリ』優勝という肩書きを欲している2人。漫才そして『M-1』への熱い思いを聞くとともに、りんたろー。の片思いだというコンビの関係性や、コンビとして大切にしていることも語ってもらった。

――今年の全国ツアーはどういうものにしたいと考えていますか?

兼近大樹:昨年はたくさん回りすぎて、ただ過ごしてしまった時間も多かったので、今年は一個一個の笑いを確かめながら、その笑いを賞レースへの糧にしたいと思っています。

りんたろー。:全く同じ気持ちです。武者修行という感じで頑張りたいなと。

――2017年12月に結成され今7年目ですが、武者修行という気持ちで?

りんたろー。:まだ何も結果出してないので。こんなにテレビに出ていて賞レースで何も結果を出していないのは僕らだけなんです。

――周りが結果を出しているのを見て、結果を出したいという気持ちが増していますか?

兼近:ずっとその気持ちはありますが、今まで楽しむことを心がけてきて、楽しんでいるだけでは認めてもらえないと気づき、ちゃんとやらなきゃなと思うようになりました。


――そう気づいたきっかけを教えてください。

兼近:来る仕事ですね。出たい番組に出られないことが多くて、漫才師としては見られてないんだなと。去年『ワイドナショー』に呼んでもらったときに3つのコーナーに分かれていて、俺が出たのはお笑い芸人さんが出るところじゃなかったので、芸人ではなくタレントという目で見られているんだなと感じました。

――りんたろー。さんはそういったフラストレーションはありますか?

りんたろー。:それはないですが、バラエティ色が強いバラエティが苦手で、VTR見て一言ボケるみたいな番組にたくさん出たいなと。でも基本的には全部楽しいです。特にライブは脳汁出まくって超楽しいです!

○賞レースに向けてチャラ男は封印「浅いネタではなく深いネタを」

――以前お話を伺った時に、漫才について、競技用にするのか、観客を楽しませようとするのかで変わってくるとおっしゃっていましたが、競技用というのは賞レースに向けたネタということですよね?

兼近:そうです。基本的に漫才はお客さんの空気感に合わせて作ってしゃべりますが、競技業漫才は事前に仕上げ切ったものをお客さん関係なくそのまま出すというものです。どちらも良さはあると思いますが、競技用漫才でウケたら実力があるという風に見てもらえるので、それで勝ちたいなと。

――賞レース向けのネタと劇場で観客を楽しませるネタと、頭を切り替えて作っている感じでしょうか。


兼近:去年ぐらいから賞レース用のネタに絞って、それしか作ってないです。

――チャラ男キャラでブレイクしたお二人ですが、最近はチャラいネタはほとんどやっていないそうですね。

りんたろー。:一切やってないです。漫才は人間の内なる部分、本質を出している人が強くて、そうなると僕たちの「ポンポンポーン!」だと楽しいだけの漫才になってしまって通用しないなと。競技用のネタとしては、それではダメだよねということになりました。

――チャラ男を封印し人間の本質に迫ったネタにしてから、観客の反応などで手応えは感じていますか?

りんたろー。:去年は、目の前の人を楽しませたいけど、自分たちは賞レースを目指したいという、どっちつかずになってしまって、手応えはまだわからないですね。今年は競技用のネタをいかに突き詰められるか。結果が出ないことには、これが正解かわからないですけど。

――チャラいワードを言えないストレスはないですか?

兼近:それは全然。実際はチャラくないので(笑)。
りんたろー。さんに子供ができたから、子供をチャラくしようとするネタとか簡単に作れるんですけどね。子供のおしめにダメージ入れて漏れ出しているとか、簡単にボケは作れますが浅いので。

りんたろー。:それめっちゃ面白いじゃん(笑)。そういうのはいくらでも作れるけど、競技用だとそれだとダメなのかなと。でも、EXITはそういった浅瀬を楽しむお客さんが多いので、深いネタに変わったら溺れてしまう人が出るかもしれません。

兼近:劇場では浅瀬のネタもやりつつ深いネタもやるというのもありだなと思いますが、今は賞レースに絞っているので深いネタを。得意じゃないことに手を出しています!

○兼近だけでなく、りんたろー。も汗をかくネタに「めっちゃ疲れます(笑)」

――ほかにお笑いに関して何か変えたことなどありますか?

りんたろー。:これまで兼近をどうしたら面白くできるのかなということばかり考えていたんですけど、僕も汗をかかないと届かないなと思ってネタを少し変えています。そうしてからめっちゃ疲れます。
15年目にして漫才ってこんな疲れるんだって(笑)

兼近:(しゃべる)量が半々になって、りんたろー。さんのほうが多いものも出てきて。りんたろー。さんでも笑いがとれるので、今のほうがいいと思います。

りんたろー。:賞レース次第ですが、とりあえず今年はそれでやっていこうかと。

――『M-1』は準々決勝敗退が続いていますが、準決勝の壁を感じていますか?

りんたろー。:そうなんです。

兼近:爆発的なウケが4カ所か5カ所は必要だなと。1分間にどでかい笑いが1個はないと準決勝までたどり着かないです。そのための構築をどうするか。そういうの関係なくパワーで面白い人は何も考えなくていいので羨ましいなと思います。
俺らは技術的にやっていかないとダメなので。

りんたろー。:技術で届かない分は、かねちーとりんたろー。でやっていたところを兼近大樹と中島臨太朗に近づけて、自分たちが心から思っているような言葉にしないと温度や魂が乗らないと思うので、最近はそれを意識しています。兼近はこれ言わないよねとか、誰が言ってもある程度ウケるとかではなく、僕らじゃないとウケないものでないとダメだなと。

――本当の自分たちの言葉に近づけると、よりリアリティのあるネタになりそうですね。

りんたろー。:そうですね。これが正解かはまだわかりませんが。

兼近:こうしたらいいんじゃないかというのを想像してやっている感じです。手探りの探りをより激しく!

漫才している時が一番楽しい「脳汁がすごい出ていると思う」

――昨年は『キングオブコント』にも出場されましたが、お二人にとって『キングオブコント』の位置付けは?

兼近:趣味です(笑)

りんたろー。:兼近が出たいと言うので。
今年は『M-1』にかけたいので、「趣味やめてくんない?」と言いました(笑)。単純に漫才にかけられる時間が1/2になるので。

兼近:だから今年は『キングオブコント』は出ないつもりです。いいネタができたら出るかもしれないですけど。

りんたろー。:兼近は全部やりたいんです。『R-1』も出ているし。

兼近:『R-1』は壁を越えて準決勝に行けたので、壁の越え方は知っているはずなんですけど、適当にやっていただけなので何の意味もなかったです。趣味は仕事に活きないんだなと(笑)

――『M-1』に全集中という並々ならぬ思いが伝わりますが、改めて『M-1』はお二人にとってどういう存在になっているかお聞かせください。

りんたろー。:目標とするものがあるというのは、活動する上では大きいなとは思います。

兼近:僕らは『M-1』があるから組んだというのがまず一番。『M-1』に出るから組んでいるので、逆に達成したらどうなるんだろうと思いますが、それを肩書きにしてずっと劇場で漫才できると思うので、それは夢ですね。

りんたろー。:結果はどうであれ、死ぬまで漫才できたら最高の人生だなと。結果が出たらよりいいですけど。

――漫才をしている時が一番楽しいですか?

りんたろー。:そうですね。日常では得られないものが……脳汁がすごい出ていると思います。あれは別のお笑いの仕事では得られないものなので。

――相方が兼近さんだから楽しいという部分も大きいでしょうか。

りんたろー。:まず漫才ができる環境を作ってくれたわけですし、もう他の人では無理でしょうね。ネタに関しても話が伝わりやすいですし。ただ、ネタは書いてくれない(笑)

兼近:構築ができないのでネタは基本的にお任せしています!

――兼近さんも漫才をやっている瞬間が楽しいですか?

兼近:漫才しているときが通常でいられている感じなので、やり続けないとダメですね。

○りんたろー。の兼近への“熱い片思い”で続くコンビの絆

――最近、コンビを解散する芸人さんが続きましたが、お二人がコンビとして続けていくために大切だなと感じていることをお聞かせください。

兼近:一番は結果かなと。優勝したら解散しないと思うので。あとは相手に合わせることが大事だと思っています。りんたろー。さんが子育てで忙しいのに、毎日僕が電話してネタの話をするなんてことはしないですし、相手の人生も加味して熱量を合わせていく。そこでズレが生じると解散に至ると思うので、そうならないように話し合っていくことも大事だと思います。相手のことを考えながらですが、俺はこうしたいということはずっと言っています。

りんたろー。:そうですね。結局“ちりつも”なので、話をして擦り合わせていくことが必要なんだろうなと。僕はテレビやりたいけど、兼近くんは劇場やりたいというズレはあっても、その折衷案が絶対あるので。それを探さずにどちらかの不満が限界に達すると辞めるという決断に至るのかなと思います。

――お二人は今までに解散危機はなかったですか?

りんたろー。:(兼近は)常に「辞めたい」と言ってますよ(笑)

兼近:コンビを組んだ時からずっと言ってます(笑)。人といたらできないこともいっぱいあるので。

――それでも組もうと決めた理由は?

兼近:必死だったので。本気でかけているという強い思いが感じられたので、一緒にやろうかなと。今も辞めたいという思いは常にありますが、やりがいも感じていますし、変わらず熱が伝わってきているので。りんたろーさん。の熱がなくなったらやっていないと思います。

――りんたろー。さんの情熱はずっと続きそうですか?

りんたろー。:そうですね。それで始まってますから。なんだか俺の片思いみたいな感じで、それもちょっと納得いってないんですけど(笑)。でも僕の情熱がなくなったらダメなので。

兼近:愛しちゃってるんだ!?(笑)

――今後も片思いを続けると?

りんたろー。:それしかないですよ(笑)。ファンの人とか関係者のためにも。

○賞レースを取って「ずっとお笑いをやっていていいという証明がほしい」

――最後に今後の抱負をお聞かせください。

兼近:個人としてはずっと家に閉じこもってゲームをして、趣味も見つけてダラダラ生きていきたいという思いがありますが、コンビとしては漫才やネタで評価してもらって、ずっと漫才ができるような状況が生まれたらいいなと。そしてファンの皆さんと一緒に年を取っていきたいです。

――やはり『M-1』で優勝したいという思いが強いわけですね。

兼近:そうですね。『THE SECOND』もありますが、ずっとお笑いをやっていていいという証明がほしいです。今はそれがなく、タレントさんみたいな感じなので、芸人ですよという証明がほしいです。自分を納得させるためだけなんですけど。

――りんたろー。さんも抱負をお願いします。

りんたろー。:個人としては、ライフステージが変わって需要も変わっていると思うので、新しいことも楽しみながら一生懸命やっていきたいです。コンビとしては、僕も死ぬまで漫才をやりたいので、賞レースで一個取りたいなと。そこに力を入れて頑張ろうと思います。

■EXIT
りんたろー。(1986年3月6日生まれ、静岡県出身)と兼近大樹(1991年5月11日生まれ、北海道出身)によるお笑いコンビ。2017年12月22日結成。吉本興業所属。アパレルブランド「EXIEEE(イグジー)」のプロデュースも手掛ける。現在『EXITV ~FODの新作・名作をPon!Pon!見せまくり!!~』、『EXITのモータースポーツ応援宣言』、『EXITのアヤシイTV アチ~の見つけました!』などの冠番組をはじめ、様々なバラエティ番組や報道番組に出演している。「EXIT全国お笑いツアー暗黒物質大放出SP」は5月24日・25日に東京、6月8日・9日に北海道、7月6日に福岡、7月21日に大阪、7月23日に静岡にて開催。
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