近年、数々の映画・ドラマで主演やヒロインを任され、存在感を高めている女優の山田杏奈。アニメーション・シリーズ『怪盗グルー』の最新作『怪盗グルーのミニオン超変身』(7月19日公開)では吹き替え声優に初挑戦した。
小さい頃から『怪盗グルー』シリーズを見ていたという山田は、オファーを受けた時の心境を「震えました(笑)」と振り返る。
「すごくうれしい気持ちと、吹き替え声優は初めての経験なので、すごく緊張しました。でもやはり、『怪盗グルー』シリーズは幅広い世代に人気で、後になっても『この声って山田杏奈だったんだ』と思ってもらえるような作品でもあるので、本当にうれしかったです」
注目のアニメ作品の吹き替えは、実力のある声優陣に加え、活躍している売れっ子の役者が起用されるケースが多い。山田は「頑張ってきたかもと思える瞬間でもあったので、すごくうれしかったです」と笑顔を見せた。
山田が吹き替えを担当した少女・ポピーは、大悪党を夢見る中学生で、グルーに急接近するという役どころ。自分の夢に向かって一生懸命努力をする姿も描かれるが、山田も目標に向かって自分にできることは最大限努力するようにしているという。
「昔、受験の時だったと思いますが、母から『あなたは努力できる才能がある』『頑張れる力がある』と言ってもらえて、それがすごくうれしくて。今でも自分の中でその言葉はずっと覚えていて、『私は頑張れるから頑張ろう!』と。母の言葉が自信になっています」
アフレコでは、ポピーのさまざまな一面を表現するために、子供らしい声や大人っぽい声など、シーンによって声色を変えて演じたという。
「監督が『子供らしいところと、大人っぽいところをうまいバランスで』とおっしゃっていたので、その両方が出ていると思います。彼女のちょっとずるい感じと、でもまだ若さもあって。
そして、「ここ数年の仕事で一番緊張しました」と吐露するも、とても大切な経験になったと語る。
「難しい仕事はこれからもたくさんあるだろうなと思いましたし、初めての経験もまだまだたくさん出てくるだろうなと思い、すごく今後が楽しみになりました。また、声という自分の持って生まれたもので使ってもらえるうれしさもすごく実感しました」
また、声優の経験を、普段の演技の仕事にも生かしたいという思いも。
「声だけで演じるとなると意識して抑揚をつけたりしないといけないので、難しさを感じましたが、声で伝えられる情報ってすごく多いんだなと。そこを普段のお芝居でも考えていけたら、またちょっと違うやり方で演じられるのかなと思いました」
「最近やっと『これは仕事だ』と言えるなと思えてきた」
山田は2011年に開催された「ちゃおガール☆2011オーディション」でグランプリに輝き、芸能活動をスタート。現在23歳にして芸歴は13年だ。
「気づけば人生の半分以上に。同い年の友達も就職し始めて、仕事としてやっているという感覚がここ数年ですごく芽生えてきました。ただ、自分の意思だけでずっとできることではないので、自分の引き出しを増やすというのを大事にしなきゃなと思っています」
「ちゃおガール」のオーディションに受けたのは、芸能界に入りたいという思いからではなく、グランプリの賞品だったゲーム機(ニンテンドー3DS)が欲しかったから。
「少しは興味があったのかもしれませんが、モデルさんになりたい、女優さんになりたいなんて全然考えてなくて、ゲーム機が欲しくて応募したんです(笑)。(グランプリに選ばれ)私自身も驚きましたが、親の方が焦っていました」
活動をスタートさせてから、少しずつ仕事の楽しさを感じるようになったと振り返る。
「最初はレッスンに行くのが緊張しておっくうだった時期もあって。でも、仕事をやらせてもらうにつれて少しずつ、責任を持たないといけないんだと学び、楽しさもちょっとずつ感じるようになりました」
そして、経験を重ねていく中で徐々に、芸能界の仕事をずっとやっていきたいと考えるように。
「毎年毎年『大丈夫かな。続けていけるのかな』という思いがあります。ずっとやっていきたい気持ちはすごくあるけど、使いたいと思ってもらえないと仕事はないので、そう思ってもらえるように頑張らないといけないなと。その積み重ねで10年ちょっと、周りのサポートもありつつ続けられて、すごくありがたいなと思っています」
2019年に高校を卒業してからは芸能活動に専念。近年はドラマや映画に引っ張りだこだが、「最近やっと『これは仕事だ』と言えるなと思えてきました」と語る。
「高校を卒業して、18歳で実家を出て自分のお金で暮らし始めてからそう思えるようになりました。それまでは『お芝居楽しい』というだけでやっていたのが、仕事としてちゃんとやっていかなきゃいけないという気持ちが強くなりました。大学にも行ってないので仕事一本になり、もう後に引けないなと」
経験を重ねていく中で、女優業のやりがいをさらに感じているようで、「演じることが好きなんだろうなと思います」としみじみ。ゲーム機に釣られてオーディションに参加したことで開けた芸能界、そして女優の道。「巡り合わせに感謝というか、やりたいことに早めに出会えてすごくよかったなと思います」と笑顔を見せた。
近年は、主演やヒロインなど重要な役どころを任される機会が増えているが、演じる量が多い役ならではのやりがいも感じているという。
「どんな役でも変わらずしっかり向き合うというのは常に念頭に置いていますが、分量が多いと役に対する情報量が多かったり、いろんな面を描けたり、そういう楽しさはすごくあるなと思います。また、現場にいる時間が長くなるので楽しいです。皆さんと仲良くなれますし、より現場でリラックスできるようになるので、すごくいいなと感じています」
練習していた巻き舌ができるように! 今はウインクを練習中
『怪盗グルーのミニオン超変身』というタイトルにちなみ、ここ数年で変化・進化したことを尋ねると、「タングロール(巻き舌)ができるようになりました!」とうれしそうに回答。
「タングロールができると滑舌がよくなったり、舌のリラックスにもなるみたいで、小さい頃からできるようになりたくてずっと練習していたんですけどなかなかできなくて、2年前ぐらいに舞台の発声練習をしていた時に急にできるようになったんです。この年になってもできるようになるんだと思ってびっくりしました」
今後、芝居で生かせる場面が出てくることを楽しみにしているという。
「ヤンキーとかガラの悪い役を演じるときに生かせるのかなと。『~って言ってんだろ!』みたいなセリフとか、少し巻き舌になるじゃないですか。前だったらできなかったですが、今はもうできるので、そういったセリフを言ってみたいなと思って、家で架空のヤンキーセリフを練習しています(笑)」
タングロールを習得し、今はウインクの練習を続けている。
「タングロールができるようになって少し自信がついたので、次はウインクができるようになりたいなと。芝居で求められたことはまだないですが、雑誌の撮影だとたまに『ウインクしてください』と言われることがあって、『ごめんなさい、できないんです』って。そのたびに申し訳ない気持ちになるので、コソ練しています(笑)。左目は少しできるようになりましたが、もっとパチってできるようになりたくて。
今後の抱負を尋ねると、「このまま毎年毎年、『今年もいろんなお仕事をやらせてもらったな』と思えるのが続いていけばいいなと思っています」と答え、「一つ一つの作品としっかり向き合って、いろんな役を演じていけたら。作品があるというのは当たり前ではなく、ものすごく贅沢なことなんだなと感じています」と語った。
また、「バラエティがうまくなりたいというのが私の最近の目標なんです」と意外な目標も教えてくれた。
「いつもバラエティに出演すると力不足を感じて、番宣で出させてもらうときでももう少し何かできないかなと。芸人さんとか本当にすごいなと尊敬しています。『私も面白いことが言えるように』なんておこがましいことは言えませんが、スマートの返答ができるようになりたいです(笑)」
最後にファンに向けて「いつもありがとうございます。これからもいろんな役と向き合って頑張っていきますので、楽しんでいただけたらと思います。そして、『怪盗グルーのミニオン超変身』は間違いなく面白いので安心して見に行っていただきたいなと。大人の方でも楽しめる作品になっているので、ぜひ劇場でご覧ください」とメッセージを送った。
■山田杏奈
2001年1月8日生まれ、埼玉県出身。2011年、「ちゃおガール☆2011オーディション」でグランプリを受賞し、芸能活動スタート。2013年にTBS系ドラマ『刑事のまなざし』で女優デビューした。