1980年代にカリスマ的人気で女子プロレス旋風を巻き起こしたダンプ松本の知られざる物語を描くNetflixシリーズ『極悪女王』(9月19日より世界独占配信中)。本格的な肉体改造と長きにわたるプロレス練習によって、プロレスシーンもほぼすべて自ら熱演したゆりやんレトリィバァ、唐田えりか、剛力彩芽らに感嘆と称賛の声が相次いでいる。
アイドル的人気を誇った長与千種を演じ、当時の輝きを蘇らせた唐田について、総監督を務めた白石和彌氏は「華がある」と魅力を表現。そして、難しい役どころを演じ切った彼女の頑張りを称えた。

○長与千種役を熱演 “敗者髪切りデスマッチ”では髪を丸刈りに

様々な代償や葛藤を抱えながら最恐ヒールに成り上がっていくダンプ松本を演じたのはゆりやんレトリィバァ。クラッシュ・ギャルズを結成し国民的アイドルレスラーへと駆け上がる長与千種とライオネス飛鳥は、唐田えりかと剛力彩芽がそれぞれ演じた。本作は、10月2日時点で13日間連続で日本の「今日のTOP10(シリーズ)」において1位を獲得。さらには「Netflix週間TOP10(シリーズ)」でも2週連続1位を獲得している。

落ちこぼれとしてスタートしながらスターの階段を駆け上がる長与千種を演じた唐田は、長与同様、滲み出る輝きを放って、ダンプとの光と影の関係を見事に浮き上がらせた。長与とダンプとの“敗者髪切りデスマッチ”では、髪を丸刈りに。先日行われた会見で「また髪の毛は生えてくるし、そんなことより長与さん自身の魅力に惹かれて」と長与役への強い思いを明かし、同日行われたイベントでは「この作品に出会えてなかったら自分ってどうなっていたんだろうなと、それぐらい自分にとって大きな作品になりました」「まだまだ頑張れるな、頑張らなきゃなと思わせてくれた現場でした」と涙ながらに語っていた。

オーディションで「私は演じたいんです」と切々と訴えたという唐田。白石監督は「切実な思いにぐっとくるものがあり、それになんといっても華がありました」と唐田の起用について語り、並々ならぬ努力で長与を演じ切った唐田の成長に驚かされたという。

「長与千種役は技のクオリティーなどハードルが高いので、唐田さん大丈夫かなという感じがあったんです。
最初の練習を見に行った時に、受け身を取るたびに『キャー!』と言っていて、これで仕上がるのかなと思いましたが、彼女はたぶん負けん気が強くて、その負けん気で仕上げてくれた感じがしています。また、人生の再出発にあたって、どうしても芝居がしたいという思いが本当に強くて、僕はその思いにやられて唐田さんでいきたいという思いがあって。結果的に大成功というか、本当に頑張ってくれました」

リング上で歌い踊り、国民的アイドルとなったクラッシュ・ギャルズ。本作では、唐田と剛力が歌い踊るシーンも描かれており、唐田はキラキラの笑顔を見せているが、これは当時の映像を再現したのだという。

「2人が歌って踊っている映像がYouTubeに残っていて、本番直前にもう1回見直したら、なぜか千種だけめっちゃニコニコしているんです。なんで千種だけニコニコしているんだろうと思って長与さんに聞いたら、『全然覚えてない』と言っていましたが、本番では長与1人だけニコニコしているように、そこも再現しました」

女優としての唐田の魅力を尋ねると、白石監督は「やっぱり華がありますし、この作品を通して彼女自身もまた一つ成長したような感じがしていて、自分がこう演じたいというのをしっかり表現できる人なんだろうなと。よく憑依型と言いますが、彼女もたぶんそういうタイプで、演じる瞬間にスイッチが入る人だと思います」と回答。「長与千種になっていた」と賛辞を送った。
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