●“ロッチ現象”生まれたKOCを回顧「何年間は苦しかった」
来年コンビ結成20周年を迎えるお笑いコンビ・ロッチ。コカドケンタロウ(46)は、43歳のときに趣味で始めたミシンにドハマりし、日々ミシンで何かを作るという生活を楽しんでいる。
そして、11月27日に初のソーイングBOOK『コカドとミシン』(ワニブックス)を発売。趣味で始めたミシンが本につながり驚いているという。コカドにインタビューし、これまでの芸人人生を振り返るとともに、今後についても話を聞いた。

――来年で結成20周年となりますが、ここまでの活動を振り返ってどのように感じていますか?

僕のミシンもそうですが、始めた頃に想像してなかった芸人になってきているなと。こんな人になるとは自分も想像してなかったですし、中岡(創一)くんもリアクションをやるなんて思ってなかったです。ここまで目標をあまり決めないでやってきて、とにかく目の前のことをやってきたから、思ってもないような芸人になれていると思うので、結果良かったなと。これからも想像できないようなことになっていったら楽しいなと思います。

――長く活躍を続けられてきたというのも、目標を決めず目の前のことに真剣に向き合ってきたというのが大きいでしょうか。

単純にラッキーだと思いますけどね。人に恵まれたというのもラッキーが続いてきたなと。俺らよりもめちゃめちゃ努力してネタを作っているけど、やめていった後輩も見ているし、ラッキーやなと常々思っています。

――日々心掛けていることはありますか?

自分の気持ちに嘘をつかないことですかね。
自分の好きなことについて熱を持ってしゃべっていくといいのかなと思います。

――コンビにとって大きかったなと感じている転機を教えてください。

2015年の『キングオブコント』ですかね。

――決勝のファーストステージで1位通過するも、ファイナルステージで点数を伸ばせず3位となりましたが、あの大会で注目度が上がりましたよね。のちに“ロッチ現象”という言葉もできて。

ロッチ現象という言葉はその時はなくて、何年後かに同じように2本目でダメだった人が現れたときにロッチ現象と呼ばれて、そこからみんな面白がってくれましたが、それまでの何年間は苦しかったです。ただただスベッたイメージが残って。

――ファーストステージで披露された「試着室」が本当に面白くて、そのインパクトがすごかったです。

「試着室」は確かに一個の転機でしたね。あれで中岡くんのとぼけた感じのキャラもなんとなく固まった気がしますし、大きかったなと思います。

――これまでコンビの解散危機などはなかったですか?

初めの頃だけですね。中岡くんが5年ブランクあったので。
1回お笑い辞めた時期があって戻ってきたので、声も出ないし、ネタも覚えられないしというのが1年ぐらい続いた時に、僕は何も思ってなかったですけど、中岡くんは危機だと思っていたらしいです。

中岡から「もっと目標持たな!」と怒られたことも

――テレビやラジオ、ライブなど、幅広く活躍されていますが、特にやりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?

僕はお笑い芸人になる時も目標が低くて、テレビで若手芸人が切磋琢磨しているのを見て、ここに入りたいと思ったんです。だから、若手芸人になって何かやっていた時にもう夢が叶って、ずっと夢が叶い続けているというか、どんな仕事でも楽しいなって充実感もありますし、ずっと自分にはできすぎやなと思っています。

――ずっと夢が叶い続けている感覚というのは素敵ですね。

5、6年目ぐらいの頃は中岡くんがよう怒っていましたけどね。僕に対して「もっと目標持たな!」「もっとこうなりたいとかないの!?」と言っていましたが、もう諦めたみたいです(笑)。中岡くんはゴールデンの番組とかに出始めて、「よし、やるぞ!」というスイッチが入ったんだと思います。でも僕は1回もスイッチが入らず、そのままここまで来ちゃいました(笑)

――中岡さんと熱量の差があっても、コンビの関係が崩れることはなく?

中岡くんが諦めたんだと思います。年齢重ねて、こんなんでも悪くないかって思ってくれているんじゃないかなと。

――ミシンにハマっているコカドさんを見て、好きなことをやればいいんだと?

今はそう思っていると思います。10年前だったらたぶん嫌がって、「そんな暇があったらもっとお笑いのことを」と言われたと思いますが。この本も、表紙が出来上がって置いていた時に、中岡くんが帯について「何で俺が書けへんの?」と言っていて、そんな発想あったんやと(笑)

――「相方の俺が!」という思いだったのでしょうか。

わからないんですけど、なんかちょこちょこ絡んでこようとするんです。
「ブランド出す時は、名前を創一の『創』にしてくれ」とか。お金が目当てかもしれないですが(笑)

――相方が中岡さんでよかったなと感じていることも教えてください。

めっちゃ頑張っていろいろやってくれていて、ロケとかもすごいスケジュールで過酷なことをやってくれているから、ロッチという名前があって、僕の活動にも興味を持ってくれる人がいると思うので、そこはありがたいです。

――中岡さんが今年結婚された際に、結婚祝いに指輪を入れる小袋が欲しいとリクエストされ、クロシェットタイプのホルダーをプレゼントされたそうですね。

そうなんです。あと、中岡くんが骨折した時に、足のギプスを隠すカバーを作ってほしいと言われて。ギプスのカバーの型紙はどこ探してもなかったので、1枚の布から自分の足を使って形を決めて、裏にクッションつけないと痛いよなとか、試行錯誤して作りました。

――コカドさんのミシンに中岡さんも恩恵を受けていますね。

最近は、中岡くんフレンチブルドッグが大好きやから、「フレンチブルドッグの服を作って」と言われます。僕も中岡くんも飼ってないんですけど、中岡くんが好きだから、フレンチブルドッグのイベントにロッチで呼んでもらうことがあって、そこにプレゼントとして持っていきたいみたいです。次はそれを作ろうと思います。

――将来的には飼う可能性も?

中岡くんはいつか飼うとは言っています。
そう言いながら10年ぐらい経っていますけど(笑)。本当に飼い出したら、フレンチブルドッグの服をめっちゃ作らなあかん可能性がありますね。

将来はコンビで沖縄に!?「中岡くんが住みたいと…」

――目標は決めないとのことですが、お二人で今後について話していることはありますか?

中岡くんがよく言うのは「沖縄に住みたい」と。もっと年を取ってから、沖縄で地域のコミュニティFMとかのラジオをロッチでやりたいと言っていました。僕は、やるならやるけどという感じです。

――ミシンはどこでもできますしね。

そうなんですよ。あと、サーフィンも趣味でやっているので、波がいいところやったらどこでもいいんです。

――では、中岡さんに言われたら拒否することなく一緒に沖縄へ?

そうですね。ミシンさえできたら楽しいという安心感があるので。でも、中岡くんはめちゃめちゃ仕事が好きなので、まだまだ先のことだと思います。

――最後にロッチさんのファンの皆さんにメッセージをお願いします。


たぶんロッチを応援してくれている人も過度な期待はしてないと思うんですよ。ミシンの配信をやっていても、一番多いのは「コカドさんのやりたいようにやってください」というコメント。たまに見ている人同士で「ここはこうした方がいいよ」「いや、こっちの方がいいよ」とちょっと言い合いになっているんですけど、最終的に「結局コカドさんのやりたいようにしたらいいんだよ」でいつも収まるんです。応援してくれている人たちはロッチのやりたいことをやったらと思ってくれていると思うので、ちゃんと自分たちがやりたいことをやって、それを見て楽しんでもらいたいです。

――その先に、想像してなかったような展開が起こればいいなと?

そうですね。演技の仕事も僕はやると思ってなかったけど、映画やドラマに出演させてもらって、そういうのもすごく楽しいんです。想像してなかったから。これからも想像してないことをいっぱい起こして、それを楽しんでもらえたらいいなと思います。

■コカドケンタロウ
1978年8月8日生まれ、大阪府出身。2005年に中岡創一とお笑いコンビ・ロッチを結成。ツッコミ担当。2015年、『キングオブコント』で3位に。
40歳から熱中できる趣味を探し求め、43歳でミシンに辿り着く。現在、NHK『土スタ』、NHKラジオ『さくらひなたロッチの伸びしろラジオ』でMCを務める。毎週月曜22時よりYouTube「ロッチナイト」を生配信中。
編集部おすすめ