●ディズニー作品参加に大喜び「夢のよう」
5歳で芸能活動を開始し、現在19歳ながら芸歴14年を数える鈴木梨央。近年はミュージカルでも活躍しており、現在公開中のディズニー・アニメーション映画『モアナと伝説の海2』では、歌唱力も生かして主要キャラクターであるロトの日本版声優を務めた。
鈴木にインタビューし、本作出演の感想や今の女優業への思い、これまでの転機など話を聞いた。

本作は、前作『モアナと伝説の海』の冒険から3年、少し大人へと成長したモアナが、すべての海をつなぐ1000年にひとりの“導く者”として、広い海を分断する呪いを解き、再び世界をひとつにするため、危険に満ちた海の果てへ冒険に旅立つ物語。鈴木は、モアナや相棒のマウイとともに冒険を繰り広げる新たな仲間で、天才肌の頼れる船大工の少女・ロトの声を演じた。

――ロト役の声優に決まった時のお気持ちを教えてください。

小さい頃からディズニー作品に触れて親しんでいたので、ロト役に選ばれた時はうれしくて夢のようでした。オーディションだったのですが、合格の連絡をもらった時は夢なのかと思うぐらいうれしかったです。

――歌うシーンもあり歌唱力も求められる作品ですが、鈴木さんは近年ミュージカルでも活躍されており、そこで磨かれてきたものが大きかったのでしょうか。

歌は小学生の頃からずっと好きで、家族でカラオケに行くのが楽しみでしたので、小さい頃から音楽や歌は身近に感じていましたが、ミュージカルにも何度か参加させていただいたことが、とても大きいと思います。歌は好きなのでずっと学び続けていきたいと思います。

――歌が好きということが、お仕事にもつながってきていますね。

今回の作品は、本当に皆さん歌もすばらしくて、私も一生懸命頑張ってついていこうという気持ちで挑ませていただきました。

――ミュージカルの経験を重ねられ、成長できたなと感じていることを教えてください。


小さい頃は映像のお仕事が多く、最近舞台にも挑戦させていただいている中で、映像のお芝居と舞台のお芝居の違いはすごく大きいなと感じています。表現の幅も違い、映像ではカメラの前でリアルに心情を表現することを気をつけて演じていますが、舞台では大きい劇場の一番後ろの人にまで同じ思いを届けられるように心がけています。新しい芝居のスタイルを学んでいるなという感覚です。

――5歳から芸能活動をされてきて、今のお仕事に対する思いをお聞かせください。

小さい時からやっていた分、悔しい思いもうれしい思いもたくさんしてきて、現場によってキャストさんやスタッフさんが違うので、毎回新しい学校に行ったような気分で、小さい時は日々無我夢中でした。今までは「こうして」と言われることを素直にやっていましたが、大人になるにつれて、自分の意見を求められることが増えてきて、もう子役じゃないんだなと感じますし、これから先も長く続けていきたいと思っています。

――もう子役じゃないと意識が切り替わったのはいつ頃ですか?

中学生から高校生になって、年齢を重ねていくにつれて、新しい現場に行った時に、周りの方たちの接し方も、「大きくなったね」という感じではなく、最初から大人対大人として接してくださることも増え、改めてしっかりしなくてはと思うようになりました。

――自分の意見も求められることで、よりやりがいを感じることもあるのでしょうか。

最初は慣れないことが多かったですけど。小さい頃から、監督さんの指示を聞いて、それを100%で返せるように頑張るという意識で臨んできました。その気持ちは今でも変わらないですが、監督さんの意見と自分の意見と、ディレクションして作り上げていくことが増え、一緒に作品を作り上げていく感覚が新鮮でもあり、自分自身も大人になってきたのかなと思います。

初舞台が転機に「一番大きな冒険だった」

――これから先も長く続けていきたいとのことですが、女優としてずっとやっていこうと覚悟が決まったような転機がありましたら教えてください。

中学3年生の時に『奇跡の人』でヘレン・ケラーの役を演じさせてもらったのですが、それが初めての舞台で、自分の表現の幅の狭さをすごく実感し、自分の中で自信を持っていた表現を出しても伝わらない瞬間があったり、求められていることにうまく応えられないという葛藤がすごくありました。
年齢的にも中学から高校という分岐点で、その時期にこの作品が重なって、もっとお芝居の表現の幅を磨いていかないといけないなと感じた瞬間でもあったので、この作品が終わった後に放心状態というか、抜け殻状態になってしまって。作品が終わって学校に行っても、そのことが頭から抜けないという経験は初めての感覚で、作品を届けるというのは、そのぐらいの熱量を持っていないといけないんだなと感じました。今思うとあの作品が転機だったのではないかと思います。

――映像と舞台の違いというところで大きな壁が?

演出家さんから「それじゃ届かないよ」と言われた時に、ご一緒させていただいた高畑充希さんからアドバイスをいただいたり、周りの方々に支えていただいて自分のヘレン・ケラー像を作り上げることができました。どうしたら届けることができるのかを、改めて学んだ作品でした。

――そこで心が折れることなく、より頑張ろうと奮起されたんですね。

不安な気持ちもありましたが、無我夢中に取り組んでいた気がします。

――その根本には、演じるのが好きという思いがブレずにあるのでしょうか?

そうですね。演じることも好きですし、純粋に映画やドラマを見ることが小さい頃から大好きで、自分もその世界に携わっていたいなと思っています。

――このお仕事から離れようと考えたことはないですか?

それはないです。お芝居だけでなく、歌が好きで、ギターも小さい頃から触れてきて、趣味として作詞作曲をすることが多いので、自分で歌詞を書いて曲を作ってお見せできる機会があったらうれしいなと考えたことはあります。

――今後、作詞作曲された曲を披露する可能性もあるのでしょうか。


そうですね。うふふ。作詞作曲することが好きなので、これからも楽しみながら続けていきたいです。そして、今後も今回のように歌のある作品にも携わっていきたいです。

――『モアナと伝説の海』シリーズは冒険の物語ですが、これまでの人生を振り返って冒険だったなと感じていることを教えてください。

やはり舞台『奇跡の人』が自分の中では一番大きな冒険だったなと思います。自分自身の分岐点にもなった作品で、改めて自分はこの世界で長く生きていきたい、生きていかなきゃと決心がついた作品でした。

ダークな役に意欲「自分の殻を破りたい」

――『モアナと伝説の海2』への参加はご自身にとってどんな経験になっていますか?

今までディズニー・アニメーション映画を劇場に観に行っていたのが、今回は自分自身が皆さんにお届けする側になれたことは、何より嬉しいことでした。皆さんに届ける難しさや、セリフと歌を別々録ることは、今まで経験してきたミュージカルとは違った役へのアプローチを考えた時間でした。ミュージカルはそのまま自然とセリフから歌へ、歌からセリフへと流れるのですが、今回の作品ではセリフと歌を別に録りましたので、自分の中では気持ちが繋がるように心がけました。

――今後の抱負もお聞かせください。

今まで演じたことのないダークな役に挑戦してみたくて、ダークな役を演じることによって自分がどんな風に変わっていくのか、自分の殻を破りたいと思います。
また、最近海外でのお仕事があり、その時にスタッフの方々が英語で会話されているのをみて、誰かに伝えてもらうのではなく、私も自分の気持ちを自分で伝えることができるように英会話の勉強を始めたいなと思いました。

――英語を学んで将来的に海外の作品に出演したいという思いも?

そうですね。いつかそんな機会があったらうれしいですね!

――来年2月10日に20歳を迎えられますが、気持ち的に変わりそうですか?

まだあまり実感がないです。10代前半の頃は、20歳って完全な大人というイメージでしたが、年だけ重ねているような気がしていて、、、。20歳、これからもいろいろなお仕事をしていきたいので、日々成長できるように頑張っていきたいです。

■鈴木梨央
2005年2月10日生まれ、埼玉県出身。2010年、5歳で芸能活動を開始。主な出演作は、ドラマ『八重の桜』(13)、『あさが来た』(15)、『ひきこもり先生』(21)、『命のバトン~赤ちゃん縁組がつなぐ絆~』(21)、映画『僕だけがいない街』(16)、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(17)、『最高の人生の見つけ方』(19)、『屋根裏のラジャー』(23 ※声優出演)、舞台『奇跡の人』(19)、『るろうに剣心 京都編』(22)、『ダーウィン・ヤング』(23)、『新生!熱血ブラバン少女。』(24)、『ピーター・パン』(24)など。
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