「楽しい」「充実している」という気持ちが年々大きく

現在放送中のNHK連続テレビ小説『おむすび』で“カスミン”こと湯上佳純を演じ注目を集め、3月20日に主演映画『ネムルバカ』の公開が控えている平祐奈。3月1日には東京・国立代々木競技場 第一体育館で開催される「第40回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2025 SPRING/SUMMER」(TGC)でモデルとしてランウェイを歩くことが決定している平にインタビューし、今の女優業への思いや『ネムルバカ』の裏話を聞いた。

――2011年に映画『奇跡』で女優デビューしてから、さまざまな作品に出演されていますが、今のお仕事に対する思いをお聞かせください。


11歳からこの世界にいますが、楽しいという気持ちも、充実しているなという気持ちも、年々すごく大きくなっています。

――その思いが高まった転機などがありましたら教えてください。

毎年何かしら大きな出会いがありますが、2022年に『奇跡の人』で舞台に初出演させていただき、舞台に挑戦すること自体、自分にとって未知の世界で、しかもヘレンケラーという三重苦を抱えた役を演じさせてもらって、役の奥深さを知ることができました。映像作品は、現場に行ってリハーサルして本番という流れでやりますが、舞台は1~2カ月前からお稽古の時間があるので、お芝居との向き合い方をより深掘りできて、それまでも全力で役と向き合っていましたが、さらに深いところまで考えられるようになったという感覚がありました。

――より深く役と向き合うようになって、演じる楽しさも増したのでしょうか。

そうですね。そして、『ネムルバカ』ではロックバンドのギターボーカルを務める鯨井ルカを演じたのですが、初めて金髪にして、普段の自分とは全然違う役に挑戦することができ、すごく新鮮でした。ギターも練習して、ロックテイストの歌を歌わせてもらって。自分自身、やりたかった役でもあったので、今思うと撮影期間はすごくがむしゃらな日々で、刺激的な毎日でした。

――やりたかった役とのことですが、どの部分に興味があったのか教えてください。

自分に自信がないけど、ちゃんと夢を追いかけていて、常に自分と戦っているクールな女の子という役で、私にはないような引き出しのある子を演じてみたいと思っていたので、挑戦できてうれしかったです。

――人生初の金髪はいかがでしたか?

初めてブリーチして、6時間ぐらい美容室で髪の毛と戦っていました(笑)

――金髪姿のご自身を見てどう思いましたか?

めっちゃうれしかったです! 「誰!?」みたいな、新しい自分が見られて楽しかったです。
でも、髪の毛のお手入れがすごく大変で、ブリーチしてからダメージがひどすぎて毎日困っています(笑)

――ギターとボーカルの練習も事前にされたのでしょうか。

ギターは0からでしたが、あまり練習の時間がなく、撮影が始まる1カ月前ぐらいから始めました。楽曲をすごくたくさんの方が作ってくださったんですけど、コードや譜面を見せてもらってもわからないので、ギターの先生が弾いているのを動画で撮って、指を完コピして位置で覚えました。

――吹き替えなしで演奏できるように?

全部自分でやりました。

――歌はいかがでしたか?

「私で大丈夫?」って思うことがいっぱいありましたが、ジュディマリ(JUDY AND MARY)世代を想像しながら歌いました。私自身、「NO MUSIC, NO LIFE.」と思っているぐらい音楽が大好きで、音楽や歌詞に心を動かされることがすごくたくさんあるので、その立場を経験できたのはめちゃくちゃ良かったなと思います。アーティストさんへのリスペクトの気持ちがより大きくなりましたし、かっこいいなと思いました。

憧れの存在明かす「美しくて、たくましくて、かっこいい」

――今後はどのようになっていきたいと考えていますか?

役者は年齢が関係ないというか、年を重ねるごとに役の幅も広がるし、自分の日常の経験が役に生かされることも多いので、常に自分の感情を大事にしながら、もっともっと自分も知らない自分の引き出しを増やして、役の振り幅を広げたいなと思っています。

――挑戦してみたい役はありますか?

サイコパスな役とか、不良の役とか、ちょっとミステリアスな役とか、明るくない役をやりたいです。

――年齢が関係ないお仕事だとおっしゃっていましたが、おばあちゃんになってもやっていたいという思いでしょうか。

今の自分はそう思っています。

――特にやりがいを感じる瞬間は、演じているときですか?

そうですね。
現場にいる時間が一番好きで、楽しいなって思います。先輩を見ていてもかっこいいなと。

――憧れている先輩はいますか?

草笛光子さんが美しくて、たくましくて、かっこいいなと。そういう女性に憧れます。草笛さんは本当にレジェンドで、ずっと歴史を背負って活躍されていて、素敵だなと思います。

――草笛さんから直接言葉をもらったこともあるのでしょうか。

共演させていただいたときに、草笛さんがおばあちゃん役だったのですが、ほっぺを触って「あなた大丈夫よ。そのままでいなさい」とおっしゃってくださって。このまま自分なりに頑張っていけばいいのかなと、そう思うことができました。

■平祐奈
1998年11月12日生まれ、兵庫県出身。映画『奇跡』(11)で女優デビューし、『未成年だけどコドモじゃない』(17)、映画『10 万分の1』(20)など数々の作品で主演。近年では映画『恋は光』(22)や『からかい上手の高木さん』(24)といった話題作に加え、舞台『奇跡の人』(22)に出演。
2024年度後期のNHK連続テレビ小説『おむすび」(24)で朝ドラ初出演。主演映画『ネムルバカ』が3月20日公開。
編集部おすすめ