NTT東日本、NTTデータ、ストーリーラインの3社は4月23日、東京都新宿区のNTT東日本本社低層棟ビルに、先端テクノロジーを活用し、新宿区初台エリアのライフパフォーマンスを向上させる実証施設「Wellness Lounge」を5月19日にオープンすると発表した。
Well-beingの出発点となる「Wellness Lounge」
3社は今後、地域のウェルビーイング(Well-being)に資する事業・サービスを展開していくための出発点として、「Wellness Lounge」を実証の場として活用する。
実証期間は約1年間を予定しており、「心身状態の可視化、それに合わせたサービスや空間の提供」をコンセプトに、先端テクノロジーや独自技術などを持つさまざまな企業と共に、データドリブン型施設における継続的なライフパフォーマンス向上の有効性を検証する。
なお、NTT東日本では、Well-beingを「心身の健康(Wellness:ウェルネス)に加え、社会的に良好な状態」と定義している。
今後は新たな共創パートナーとの連携やこの施設における顧客体験の向上を進め、新宿・初台エリアで活動する人を中心に、実証期間中に月2000人規模で利用してもらう施設を目指す。
データドリブン型施設の有効性を検証する実証プロジェクトを開始
また3社は「リアルタイムな心身データの可視化、それに合わせたウェルネス体験や環境の提供」をコンセプトに、この施設の運営を通して、継続的なライフパフォーマンス向上に資するデータドリブン型施設の有効性を検証する実証プロジェクトを、4月23日から開始することも発表した。
実証プロジェクトでは、国内外のさまざまな企業との共創により、声、表情、脈拍等から交感神経や副交感神経等の心身状態を可視化し、その状態に沿った飲食サービスやウェルネス体験を、施設専用アプリを通してレコメンド・提供する。
NTT東日本 ビジネス開発本部 営業戦略推進部長 佐藤文武氏は、「私たちは、ここをオープンイノベーションの場所だと認識している。私たち3社だけで完結する取り組みではなく、広く企業、団体、自治体のみなさんにお声掛けして、リアリティのあるWell-being事業・サービスを一緒に共創していきたい」と述べた。
「Wellness Lounge」とは?
「Wellness Lounge」は、リアルタイムで心身の健康状態を把握し、それに基づいてレコメンドしていくデータドリブン型の実証施設となっており、「KAGEROU」(かげろう)、「HINATA」(ひなた)、「KOKAGE」(こかげ)という3つのエリアから構成される。
カフェスペース「KAGEROU」
「KAGEROU」は、NTT研究所が研究開発を進める「tsuzumi」と次世代メディア処理AI「MediaGnosis」を活用した感情分析や、Binah.aiが開発・提供する非接触型のバイタルデータ測定ソリューションなどの最新テクノロジーを活用し、顔の表情や声のトーンなどで感情分析し、ウェルネススコア・ストレス値として可視化。
その人の状態に適したカフェインコントロールコーヒーや栄養素を加味したサンドイッチ、スープ、スムージーなどの食材を提供をするカフェスペースとなっている。運営はNTTデータ、ストーリーラインが行う。
コミュニケーションスペース「HINATA」
「HINATA」は、「覚醒」をテーマにしたコミュニケーションスペースで、「今から仕事をする」といった、高揚感を持って集中力を高めるような空間で、NTT東日本が運営する。
ここでは、同社が持つICTと、サーカディアンリズム照明やパーソナライズドアロマなどを活用し、五感を通じて、働く人の集中力の維持やストレス軽減、生産性向上をサポート。さまざまなイベントでも利用も可能で、周辺企業などの交流の場を構築する。
セルフメディケーションスペース「KOKAGE」
「KOKAGE」は、「鎮静」をテーマにしたセルフメディケーションスペースで、NTT東日本が運営する。同社が持つICTとNTTDX パートナーのスリープテックノウハウを活用して空間を構築。
NTT独自のPSZ(パーソナライズドサウンドゾーン)技術を搭載したオープンイヤー型スピーカー「nwm ONE」を通して、脳波に作用するニューロミュージックを届け、さまざまな効果が期待される20分程度の仮眠や瞑想体験により心身の回復をサポートする。
今後の展開
「Wellness Lounge」では、実証期間中に得られたデータや顧客の声をもとに、「心身データの可視化と、状態に合ったソリューション」等を中心とした体験のアップデートを続ける。加えて、施設で得られた成果をもとに、地域の企業や自治体と連携した施設やサービスの展開など、今後は他のエリアやオフィスワーカー以外の利用者にも応用できるモデルも検討する。
さらに、ICTや最新テクノロジー、データを活用した地域社会全体のWell-being向上に寄与する新たな価値の創出、事業化を目指し、パートナーシップを広げていくという。
「Wellness Lounge」においては、NTT東日本が、施設利用者向けの通信環境や各ソリューションの提供に必要なICT環境の構築・整備、「HINATA」「KOKAGE」エリアにおけるICTを活用した体験などの構築、「ギガらくカメラ 映像解析オプション MIMAMORI AI」による施設の防犯・人流分析、海外企業を含むパートナー企業の探索・連携などを行う。
NTTデータは、持続的な未来の健康社会に向け、Well-beingを実現する異業種連携による共創サービスの企画・検討、「KAGEROU」エリアにてNTTグループの先進テクノロジーを掛け合わせたサービスの企画検証、さらなる共創パートナー、先進テクノロジーの探索・連携によるサービスの企画検証を行う。
NTTデータ 第三金融事業本部 保険ITサービス事業部 戦略デザイン室長 矢野高史氏は「われわれの役割は、ITを中心としたプログラムの仕掛けやプラットフォームの構築が中心になると思っている」と述べた。
そして、ストーリーラインは、「KAGEROU」エリアにおけるデータに基づいたカフェインコントロールコーヒーの提供を行っていくという。
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