帝国データバンクは5月15日、保有する企業データベースおよび登記情報などを基に、2024年に全国で新設された法人を対象に行った調査結果を発表した。

2024年(1-12月)に全国で設立された新設法人は15万3,789社(前年比0.6%増)と、2年連続で増加したほか、集計可能な2000年以降で年間最多を更新した。


代表者の平均年齢(起業者平均年齢)は48.4歳(速報値)と、前年から0.7歳上昇し、2000年以降で最高齢を更新。起業・法人化する代表者の年齢は、近年急速な高齢化が進んでおり、最も多いのは「40代」(32.0%)で2年連続で割合が上昇。また、「50代」(25.2%)は20年ぶりの高水準となったほか、「60代」「70代」はともに2000年以降で最高となった。

特に、一般企業の多くで定年退職のボーダーラインとなる「60歳以上」の割合は18.6%を占め、前年(17.0%)を上回って過去最高に。インターネットの活用に比較的慣れている世代であることに加え、大手企業を中心に副業・兼業を解禁する動きが広がり、趣味や特技を生かした起業の心理的なハードルが低くなっていること、政府の「スタートアップ育成5か年計画」など官民一体での起業支援が充実していることなどが、退職後のセカンドライフとしてスモールビジネスを志す中高年世代の起業を後押ししているとみられる。

法人格別にみると、全体の3分の2を「株式会社」(10万868社)が占めているものの、2年ぶりに前年を下回った。他方、低コストでの設立が可能で、利益配分面などで経営の自由度が高い「合同会社」は4万2,133社と、前年から4.4%増加し、2000年以降で最多を更新。その結果、株式会社と合同会社で全体の9割を超えた。

増加率が最も高かったのは、「農事組合法人」(135→204社)で前年比51.1%の増加。次いで「土地家屋調査士法人」(16.7%増)、太陽光発電や投資事業などで多くみられる「特定目的会社」(8.0%増)、「合同会社」(4.4%増)、「社団法人」(3.5%増)でも増加傾向に。一方、前年から減少した法人格は「管理組合法人」(84→67社、20.2%減)、「協同組合」(19.3%減)、「司法書士法人」(12.8%減)と続き、士業関連法人の減少が目立った。

また、都道府県別(本社所在地、設立当時)にみると、最多は「東京都」で4万7,779社。
次いで「大阪府」(1万6,272社)、「神奈川県」(9,913社)と大都市部が上位に。前年からの増加率では、増加率トップの「石川県」(18.0%増)をはじめ、「富山県」(10.7%増)、「福井県」(7.8%増)と北陸3県で大幅に増加。他方、前年から減少率が高かったのは「大分県」(8.5%減)のほか、「島根県」(7.8%減)、「福島県」(7.7%減)となった。
編集部おすすめ