ウェルネス総合投資アカデミーは5月22日、「投資初心者の意識と課題」に関する調査の結果を発表した。調査は2025年5月13日~5月14日、現在投資を行っている、投資経験3年以内の1,033人を対象にインターネットで行われた。

○投資の種類と目的

「現在行っている投資の種類」について尋ねたところ、「NISA(53.8%)」と回答した人が最も多く、「株式投資(48.0%)」「投資信託(38.9%)」と続いた。制度面での優遇があり、少額から始めやすいNISAが最多となった。一方で、不動産投資や暗号資産、外貨預金などは1割未満にとどまり、ハードルの高さがうかがえる。

次に、「年間でどれくらいの収益を目指しているか」について尋ねたところ、「10万円未満(26.1%)」「10~50万円未満(35.4%)」「50~100万円未満(20.0%)」「100~200万円未満(9.2%)」「200万円以上(9.3%)」という結果になった。高い収益目標を掲げる層も一定数存在するものの、多くの投資初心者は現実的な範囲での収益を目指していることがうかがえる。生活資金の柱というよりは、副収入としての捉え方が中心のようだ。

収益の使い道・目的に関する傾向も確認した。

「投資の成功によって得たいもの」について尋ねたところ、「老後の生活資金(35.4%)」が最多となり、「経済的安心感(30.2%)」「趣味や旅行などの楽しみ(17.4%)」と続いた。生活のゆとりやレジャーの充実を目指す声もある一方で、将来の経済的な不安を背景に、投資で得た資金を「備える」意識が強いことがわかる。
○老後資金の投資依存度

「将来いくらくらい老後資金を用意したいか」について尋ねたところ、「1,000~1,500万円未満(5.8%)」「1,500~2,000万円未満(10.4%)」「1,000~1,500万円未満(17.2%)」「1,500~2,000万円未満(18.3%)」「2,000~2,500万円未満(14.1%)」「2,500万円以上(34.2%)」という結果となった。

「2,000万円問題」の社会的影響も背景にあり、老後資金として2,000万円を超える貯金を用意したいと考えている人が過半数に達する結果となった。

では、老後資金のうち、どの程度を投資で賄いたいと考えているのだろうか。


「投資で老後資金のどれくらいを賄いたいか」について尋ねたところ、「0%(1.7%)」「1~20%(29.9%)「21~40%(36.2%)」「41~60%(20.2%)」「61~80%(6.6%)」「81~100%(5.4%)」という結果になった。

全額を投資で賄うという考えは少数派にとどまり、投資を補助的な手段と認識していることが明らかとなった。このことから、投資に対する一定の期待を抱きながら、過度に投資へ依存せず、リスクを分散させたバランス志向が、初心者層における主流になっているようだ。
○投資の学習時間

投資に向き合う時間的リソースについても確認した。

「投資や学習に使えている時間」について尋ねたところ、「10分未満(40.5%)」が最も多く、「10~30分未満(27.5%)」「30分~1時間未満(24.3%)」と続いた。

投資への関心は高まっている一方で、日常的に投資についての情報収集や勉強に費やせる時間は限られている実態が示された。特に、働きながら投資に取り組む層は、投資について学ぶ時間の確保が難しいと考えられる。

「投資に関する知識への自信」について尋ねたところ、「あまり自信がない(46.1%)」「全く自信がない(25.5%)」と回答した人が合わせて7割を超えた。前問での「学習時間の少なさ」も背景にあり、知識不足を自覚する方が大多数となった。しかし、「やや自信がある」と答えた層も一定数存在することから、投資初心者であっても一定数は知識を蓄えていることも伺える。

では、現在投資において直面している課題はどこにあるのだろうか。

「投資における現在の課題」について尋ねたところ、「知識が足りない(47.8%)」「十分な資金がない(34.5%)」「具体的な投資戦略がない(30.2%)」が上位を占めた。


知識不足が最多となっており、前問の「知識への自信のなさ」との相関も見られる。さらに、資金や戦略の不足も課題として挙げられており、初心者層が継続的に投資に取り組むには、学ぶための情報、使える資金、進め方の計画といった基本的な環境が重要であることがうかがえる。こうした不安感は、投資対象の選択にも影響を与えている可能性があり、実際にNISAや投資信託など、投資の種類に一定の偏りが見られる点もその表れといえる。

最後に、課題に対してどのような対処行動を取っているのか、確認した。

「行っている投資に関する課題解決の行動」について尋ねたところ、「ニュースサイト・アプリを見る(32.5%)」「Webサイト・記事(31.8%)」「動画コンテンツ(29.2%)」が上位を占めた。インターネットを通じた自己学習が主流となっており、書籍やSNSを含めると、情報収集の多くが「一方向型」である点が特徴的だった。一方、セミナー参加やコンサルティングなど、対面的・双方向のアクションは限定的なようだ。

「投資で成果を出すために、専門家から学ぶ必要性を感じるか」について尋ねたところ、「とても感じる(24.2%)」「やや感じる(51.8%)」を合わせると約8割の人が「必要性を感じている」と回答した。

このような結果は、これまでに明らかとなった「知識不足」や「自信のなさ」と連動していると考えられている。独学による限界や情報の取捨選択への不安がある一方で、「信頼できる専門家の存在」が安心感や判断基準の補完につながる可能性がある。動画やSNSといった触れやすい学習コンテンツが溢れる現代においても、体系的な学びや対話型の支援に対するニーズは確実に存在していることが示された。
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