コスモエネルギーホールディングスのグループ会社であるコスモ石油、コスモ石油マーケティングは5月23日、中部国際空港(セントレア)において、廃食用油を原料とした国内初の大規模生産による国産SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)をDHL Express(本社:ドイツ・ボン)が運航する定期航空貨物便に初めて供給した。セントレアにおける航空機へのSAF供給は今回が初めてだ。


コスモエネルギーグループが手掛ける国産SAFの供給により、空港周辺地域で回収された廃食用油がSAF原料として利用され、セントレアを起点としたSAFサプライチェーンが本格始動したことは、地域と連携した資源循環の推進において重要な一歩となる。
○■地域に根ざしたSAFサプライチェーンで資源循環を推進

地域に根ざしたSAFサプライチェーンの本格始動を祝し、5月23日にセントレアにおいて、DHLジャパンと中部国際空港の共催による「セントレア国産SAF供給開始記念セレモニー」が開催された。

セレモニーには、愛知県の大村秀章知事、空港周辺地域で廃食用油回収を推進する自治体首長、コスモ石油マーケティングをはじめ国産SAF供給にかかわる事業社、SAFの環境価値を活用するDHLジャパンが参集した。

コスモ石油マーケティング代表取締役社長の髙山直樹氏は、以下のように語った。

「SAFのサプライチェーンは原料の調達から製造、輸送、そしてお客様への供給まで含めると非常に長いものです。生産されたSAFをお客様に供給し、SAFの環境価値を橋渡しする、全体の最後の1ピースを担う一員として、無事に本日を迎えられたことは、大変感慨深いものがございます。今後のSAFの普及にあたっては、安全・安定的に生産供給を進めることと、SAFの環境価値を幅広いお客様に認めていただくことが重要です。セントレア様を中心として、各自治体で廃食用油回収にご協力いただけることと、DHL様のGoGreen Plusを通じて荷主様に環境価値を提供できる仕組みは、まさにSAF普及のモデルケースになるものと期待しています。弊社がこうした枠組みに参画できることを非常にうれしく思います」

コスモ石油マーケティングとDHL Expressは、2025年1月28日付でSAF売買契約を締結。DHL Express向けに供給するSAFは、2021年にNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「国産廃食用油を原料とするSAF製造サプライチェーンモデルの構築」助成事業として採択され取り組んできたものであり、国内で初めて大規模生産される国産SAFとなる。

持続可能な製品の国際的な認証制度「ISCC CORSIA認証」「ISCC EU認証」を取得しており、環境価値が証明されている。コスモ石油、日揮ホールディングス、レボインターナショナルの3社により設立されたSAFFAIRE SKY ENERGYが製造し、2025年度よりコスモエネルギーグループを通じて航空各社に供給する。


セントレアを起点としたSAFサプライチェーンは、地域の輸送ハブとしての役割を担うセントレアの呼びかけを通じ、地元における廃食用油の回収活動から、SAFの製造、空港での供給、SAFを使用した低炭素輸送に至るまで、一貫して地域および国内で完結する循環型かつ持続可能な燃料供給体制となる。空港、航空会社、産業界、自治体が連携することで、地域に根ざした脱炭素化の実現をめざしている。

コスモエネルギーグループは「2050年カーボンネットゼロ」をめざし、日本初の国産SAF供給に向けてサプライチェーン構築を進めてきた。今回の供給開始に際して、「今後も、脱炭素化や循環型社会の実現を重要なテーマと認識し、社会的課題の解決と企業の持続的発展をめざすとともに、引き続き航空輸送におけるSAF利用を推進し、資源循環とサステナブル社会の実現に貢献してまいります」とコメントしている。
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