インターネットイニシアティブ(IIJ)は6月20日、同社が運営する「松江データセンターパーク(松江DCP)」において、2024年2月から建設を進めていた「システムモジュール棟」の運用を、6月より開始したと発表した。
システムモジュール棟では、外気を活用した冷却方式と壁吹き出し方式を併用する空調設備を導入し、電力消費の削減を図っている。
さらに三相4線式UPSを採用することで電力損失を低減し、電力使用効率(PUE)は業界最高水準とされる1.2台を実現したという。IIJは今後も省エネ運用を継続し、持続可能な社会の実現に貢献していく方針を示している。
同棟の建築面積は約2,000平方メートルで、300ラック規模の収容能力。企業のDX推進やAI活用の拡大にともなう自社サービス設備の需要に対応する。また、松江DCPは、デジタル田園都市国家構想における地方デジタル基盤の中核施設として、地域のネットワークインフラ強靱化にも寄与するとしている。
松江DCPでは再生可能エネルギーの導入にも積極的に取り組んでおり、2022年には実質再エネ由来の電力を導入、2023年にはオンサイトの太陽光発電設備を設置した。2026年度中にはシステムモジュール棟にも太陽光発電を導入予定で、今後はオフサイト発電や蓄電設備を活用した地域電力供給の取り組みも強化していくという。
IIJは、環境省が推進する「脱炭素先行地域計画」において、島根県松江市の共同提案者として参画。松江DCP内にリチウムイオン蓄電池を設置し、災害時に地域へ電力を供給するインフラとして活用する計画を進めている。
今後は、電力使用の抑制要請に応じて報酬を得るバーチャルパワープラント(VPP)への参画も予定しており、デジタルインフラの地方整備方針に沿った自治体との連携モデルとして、先進的な取り組みを推進。さらに、政府が2025年2月に示した「ワット・ビット連携」の方針に沿い、地域と電力ネットワークが連動するグリッドインタラクティブなデータセンターとして、電力最適化と持続可能な地域社会の実現を目指すという。
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