JA共済連は7月5日、東京国際フォーラム(東京・有楽町)にて行われた「見て、聞いて、体験 協同組合フェスティバル」にブースを出展。JA共済イメージキャラクターの仲間由紀恵さん、JA共済アンバサダーの後藤楽々さんが登壇し、協同組合の理念である「助け合い」の大切さを伝えた。
○■介助犬を支える助け合い
毎年7月の第1土曜日は「国際協同組合デー」に定められている。これにちなんで開催された本フェスティバルでは、協同組合が様々なブースを出展。なかでもJAグループは新鮮な農産物を販売するなどして盛況だった。ステージでは、スペシャルゲストを呼んだトークセッションなども行われた。
午前中のJA共済メインステージでは「介助犬を支える助け合い」をテーマにしたイベントが実施され、仲間由紀恵さん、後藤楽々さんが登壇した。
その冒頭、「介助犬について、皆さんはどのくらいご存知でしょうか?」と会場に問いかける、進行役の後藤さん。これに仲間さんも「私も詳しいところまでは分かりません。今日はたくさん学んで帰りたいと思います」と応じる。
実際のところ、介助犬が果たす役割は幅広い。目の不自由な方、耳の不自由な方の生活を助けるだけでなく、身体に障害のある方の生活もサポートする。「落としたものを拾う、着替えを手伝う、車椅子を引く、そんなサポートもしてくれるパートナーのような存在なんです」と後藤さん。もっとも障害の度合い、症状は人それぞれ。
ここでステージには、日本介助犬協会 理事長の高柳友子氏、介助犬を使用している青戸さんと介助犬のクレアが登壇した。
普段、青戸さんはクレアに、車椅子のステップの上げ下げ、モノを拾う、冷蔵庫のイチバン下の段の開け閉め、といったことをしてもらっているそう。「緊急時(倒れたとき)には、スマホを持って来てもらうことも想定しています」と青戸さん。ここで、ペン拾い、車椅子のステップの上げ下げのデモを披露した。
高柳氏は「車椅子の人が座ったまま床のモノを拾おうとすると、姿勢を崩して転倒する恐れがあります。でもモノを拾って欲しいシチュエーションって、日常生活では1日に何度も訪れるんです。介助犬のクレアちゃんは、お願いされればその都度、尻尾を振って喜んで拾ってくれます。地味な作業なんですが、これは本当に助かることです」と解説。また青戸さんは「リハビリで疲れて帰ってきたときなど、足にまったく力が入りません。クレアが側にいてくれたら、車椅子のステップもすぐに上げ下げしてくれるので、スムーズに帰宅することができます」とし、笑顔でクレアを見つめる。
仲間さんから「街角で介助犬を見かけたとき、私たちがするべきことはありますか?」と問いかけられると、高柳氏は「補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)は人間が大好きです。
最後に、後藤さんは「JA共済では共助の精神を社会に広めるべく、介助犬の育成・普及支援のほか、福祉、防災、交通安全、生活支援などの活動も行っています」と紹介。仲間さんは「介助犬が活躍する周りでは、たくさんの人たちもサポートしていることを学びました。私が協力できることはないか、そんなことを考えるきっかけにもなりました。お互いに助け合う、そんな思いが広がる社会になったら素敵だな、と思っています」とまとめた。
○■ザブトン教授の防災教室
また午後には、JA共済のブース「ザブトン教授の防災教室」でも仲間さん、後藤さんによるトークセッションが行われた。過去の巨大地震のヨコ揺れを擬似体験できるプログラムを前に、仲間さんは「災害発生時に何ができるのか、その前に何を備えておかなければいけないのか、いろいろと考えるきっかけにしたいと思います」と話す。
この日は、令和6年度能登半島地震における石川県珠洲市の揺れが再現された。体験したのは若い女性。ブースの担当者は「現地では2024年1月1日に震度6強を観測しました。
体験した女性は「予想以上の揺れで、椅子にしがみつくのが精一杯でした。揺れはじめたら何もできない、ということを痛感しました」とコメントした。後藤さんは「周りで見ていても、思わず怖くなってしまうほどの揺れでした」、仲間さんは「これでは机の下に隠れる猶予もないかも知れません」と驚きを隠せない。
最近、日本列島には地震が相次いでいる。私たちはいま、どんな備えをするべきだろうか?ブースの担当者は「石川県珠洲市では約4割の建物が倒壊したと言われています。まずは建物を耐震補強することが大事です。そして室内にある家具は、しっかりと固定してください」とアドバイスする。
仲間さんは、巨大地震に加えて豪雨被害もあった能登地方をたびたび訪れては、現地の人々を勇気づけてきた。後藤さんからそのことを聞かれると「まだ何もお手伝いできていなくてもどかしいんですが」と断ったうえで、以下のように続けた。「これまでは倒壊した、手つかずの家屋を見ては心が痛むばかりでした。
そして、助け合いの優しい連鎖でより良い社会をつくる、というJA共済の理念にふれつつ「現地には、営業を再開した宿泊施設、飲食店も増えてきました。まずは能登地方の現状を多くの人に知ってもらい、そのうえで観光にも訪れてもらえたら復興を後押しできるのでは、と思います」と仲間さん。
ザブトン教授の防災教室は、被災地に心を寄せる機会になると同時に、改めて防災意識を高めるきっかけにもなる取り組みだった。これを踏まえ、仲間さんは「本日、体験した地震の怖さを是非、周りの誰かに伝えてください。そのことが、いつか誰かの命を救うことになるかも知れません」と来場者に呼びかけた。
○■1日を終えて
このあと仲間さん、後藤さんは会場のJAブースを回り、担当者の話に耳を傾けた。「農家の方たちの研究と努力によって、毎日、私たちは美味しいお野菜を食べることができているんだ、ということを改めて実感します」と仲間さん。
また、メディアの囲み取材にも応じた。イベントに参加した感想について、仲間さんは「知らないことをたくさん教わった1日でした。たとえば、介助犬が色んなシーンで人の手助けをしてくれていること。
○■周りの人と助け合う社会に
最後に、JA共済連の塩原咲樹氏に話を聞いた。「ザブトン教授の防災教室で伝えたいことは、大きな地震が来たら人は何もできなくなる、ということですね。そのために普段の備えが必要になります。今回、ブースで揺れを体験された方には『クイズで学ぶ家具転倒防止』という、クイズ形式のカードをお渡ししました」と塩原氏。
今年は昨年以上に「ザブトン教授の防災教室を実施したい」という問い合わせがJA共済連に寄せられているという。「来月も都内で展開する予定です。巨大地震が来たら、まずは自分の身を守る、そして周りの人と助け合うことが大事です。そうした意識が浸透する一助になれたら嬉しいです」と話していた。
近藤謙太郎 こんどうけんたろう 1977年生まれ、早稲田大学卒業。