コスモエネルギーホールディングスはこのほど、日本航空(JAL)および全日本空輸(ANA)が提供するCO2排出削減プログラムに石油元売り会社として初めて参画した。

○■国産SAFを活用して脱炭素の取り組みを推進

この取り組みは、コスモエネルギーグループ従業員の出張時の旅客便利用により排出されるCO2の削減を目的に、JALの「JAL Corporate SAF Program」、ANAの「SAF Flight Initiative」を通じ、同社が排出削減証書を購入するもの。


コスモエネルギーグループは両社に対し、排出削減証書の根拠となるSAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)を供給。コスモエネルギーグループが製造・供給するSAFの環境価値を活用する取り組みとして、航空会社が直接排出するCO2(Scope1)の削減に加えて、コスモエネルギーグループが従業員の旅客便利用に伴い間接的に排出するCO2 (Scope3)の削減にも貢献する。

SAF製造・供給を手掛けるコスモエネルギーグループが自ら環境価値の受益者となることで、SAFの持続可能な普及モデルを提示し、SAFの社会実装と普及促進を通じて「2050年カーボンネットゼロ」の達成に向けた活動を推進する。

コスモエネルギーグループがJALおよびANAに供給するSAFは、2021年にNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「国産廃食用油を原料とするSAF製造サプライチェーンモデルの構築」助成事業として採択されて取り組んできたものであり、国内で初めて大規模生産される国産SAFだ。

持続可能な製品の国際的な認証制度「ISCC CORSIA認証」「ISCC EU認証」を取得しており、環境価値が証明されている。SAFは石油由来のジェット燃料と比べて、最大84%のCO2排出削減効果が見込まれる。

今回の参画を受け同社は、「コスモエネルギーグループは今後も、脱炭素化や循環型社会の実現を重要なテーマと認識し、社会的課題の解決と企業の持続的発展をめざすとともに、引き続き航空輸送におけるSAF利用を推進し、資源循環とサステナブル社会の実現に貢献してまいります」とコメントした。
○■日本航空 執行役員総務本部副本部長(ESG推進担当) 小川 宣子氏

「JALグループは2020年6月の株主総会において本邦航空会社として初めて2050年のネット・ゼロエミッションの目標を掲げ、そのマイルストーンとして2021年5月に2030年度における具体的な目標(総排出量2019年度対比10%削減)を定めました。国産SAFの量産を初めて開始されたコスモエネルギーグループ様にJAL Corporate SAF Programに参画いただくことは、航空輸送のバリューチェーン全体でSAFの普及・拡大に取り組む象徴的な取り組みであり、結果としてCO2削減の促進にもつながります。今後も、ステークホルダーの皆様との連携・協働を強化しながら、目標の達成に向けて挑戦してまいります。」

○■全日本空輸 上席執行役員(航空政策・GX担当) 松下 正氏

「この度は、コスモエネルギーホールディングス様に『SAF Flight Initiative』へご参画いただき、誠にありがとうございます。今年本格生産が開始された国産SAFを歓迎するとともに、石油元売り会社として先駆けて本取り組みにご参加いただけたことを大変心強く感じております。ANAは『SAF Flight Initiative』を通じて航空業界だけでなく、バリューチェーン全体で、Scope 3における環境付加価値市場の確立と拡大を強力に推進しています。
今回のコスモエネルギーホールディングス様のご賛同は、大きな後押しになると確信しております。今後もバリューチェーン全体で協力体制を強化し、脱炭素化を推進することで、持続可能な社会の実現に邁進してまいります。」

○■コスモエネルギーホールディングス 代表取締役常務執行役員 竹田 純子氏

「当社グループは、2050年カーボンネットゼロの実現に向けて、エネルギー企業としての責任を果たすべく、SAFの製造・供給を通じた脱炭素への取り組みを推進しています。今回のプログラム参画を通じ、自らその環境価値の受益者となることで、Scope1・Scope3の両面からサプライチェーン全体のCO2排出量を削減し、SAFの社会実装に向けた持続可能なモデルを示すことができました。今後も、さらなるSAFの普及促進に向けて、航空会社各社との連携を深めながら、持続可能な航空輸送の実現と循環型社会の構築に貢献してまいります。」
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