顧客満足度に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である、J.D. パワー ジャパンが「2025年NISA顧客満足度調査」を発表。ネット証券部門ではSBI証券が3年連続で総合満足度1位を獲得したほか、全国系銀行部門ではゆうちょ銀行、対面証券部門では三菱UFJモルガン・スタンレー証券が、それぞれトップの評価を得た。
本調査は、NISA口座を通じて資産運用を行う全国の個人投資家を対象に、金融機関のサービス品質や利用満足度を評価したもの。2025年調査からは、新たにスタートした「新NISA制度」の利用者に対象を絞って実施された。
○NISA利用者、9割以上が制度に高い関心と活用意欲
2024年度の制度拡充を機にNISAの利用者が全国的に増加している。2025年3月末時点でNISA口座数は2,600万を超え、新たに口座を開設した層には若年層やこれまで投資に縁のなかった人も多い。J.D. パワーの調査でも、新NISA制度の魅力や活用意向に「そう思う」と回答した人が9割を超え、長期保有を前提とした資産運用志向も同様に高いことが明らかとなった。
○若年層は“評判重視型” 情報収集と満足度の高さが特徴
年代別では、30代以下の若年層が特に満足度が高く、口座開設にあたってインターネット上の評判を重視する傾向が他世代より顕著だった。こうしたユーザーの多くが自ら金融機関の情報を調べ、納得した上で選択していると推察される。また、その9割近くが「自分の利用している金融機関を他人に勧めたい」と回答しており、ネット上での評判が新規顧客の獲得にもつながる構造が形成されつつある。
○ネット証券部門1位はSBI証券 若年層の支持が追い風に
<ネット証券部門>(対象5社)
第1位:SBI証券(693ポイント)
第2位:楽天証券(688ポイント)
第3位:松井証券(680ポイント)
ネット証券部門では、SBI証券が「取引手数料の低さ」「取扱商品の豊富さ」の2項目で最高評価を獲得し、3年連続で総合満足度1位(693ポイント)となった。2位は楽天証券(688ポイント)で、以降、松井証券、三菱UFJ eスマート証券、と続く。
全国系銀行・対面証券部門でもトップ企業が明らかに
ネット証券部門に加え、全国系銀行部門、対面証券部門でも満足度ランキングが発表された。
<全国系銀行部門>(対象4行)
1位:ゆうちょ銀行(628ポイント)
2位:みずほ銀行(625ポイント)
3位:三菱UFJ銀行(621ポイント)
ゆうちょ銀行は、取引手数料や情報提供のわかりやすさ、問い合わせ対応など5項目で最高評価を獲得した。
<対面証券部門>(対象5社)
1位:三菱UFJモルガン・スタンレー証券(669ポイント)
2位:野村證券(634ポイント)
3位:みずほ証券(632ポイント)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、全7評価項目で最高評価となり、きめ細やかな対応力や取扱商品の豊富さが評価された。
○J.D. パワー 2025年NISA顧客満足度調査概要
年に1回、民間の銀行・証券会社で、NISA口座での資産運用を行っている個人投資家(全国の20歳~79歳)を対象に、NISA口座における金融機関の提供するサービス品質や利用実態、満足度を聴取し明らかにする調査。今回で3回目の実施となる。
2024年度より新NISA制度がスタートしたことから、本年調査では調査対象を銀行、証券会社で、新NISA口座での資産運用を行っている人へと変更した。(2023年、2024年は新旧NISA口座での資産運用を行っている人が対象。)
■実施期間:2025年4月上旬
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:銀行、証券会社で、新NISA口座での資産運用を行っている人(20歳~79歳)
■調査回答者数:4,753人
総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に以下の通り(カッコ内は影響度)。
「NISA口座での取引手数料」(24%)、「NISA口座で取引できる投資商品の豊富さ」(19%)、「NISA口座の情報のわかりやすさ(運用実績、投資限度額など)」(18%)、「NISA口座での運用のしやすさ(売買・積立商品の変更など)」(17%)、「NISAに関する各種情報提供(パンフレット、リーフレット、Webでの情報提供など)」(16%)、「問い合わせの際のNISAに関する質問への対応力」(3%)、「問い合わせの際のNISAに関する知識の豊富さ」(3%)
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