俳優の吉沢亮が主演を務める映画『ババンババンバンバンパイア』(公開中)が、韓国・富川(プチョン)で開催されている「富川国際ファンタスティック映画祭」 の「Merry-Go- Round部門」で上映され、上映後のQ&Aセッションに吉沢と浜崎慎治監督が登壇した。
『ババンババンバンバンパイア』は、『別冊少年チャンピオン』(秋田書店)で連載中の奥嶋ひろまさ氏による同名マンガを、吉沢亮主演で実写映画化した作品。
この度、韓国・富川(プチョン)で開催されている「富川国際ファンタスティック映画祭」 の「Merry-Go- Round部門」で同作が上映され、上映後のQ&Aセッションに吉沢と浜崎慎治監督が登壇した。
上映中、満席の客席から度々爆笑が沸き起こり、エンドロールが終わると同時に場中から大きな拍手が送られる中、二人が登壇。吉沢は「アニョハセヨ~! 本日はこんなに大勢の方に本作を観ていただき、心から光栄に思っております。この映画の森蘭丸を演じさせていただきました、吉沢亮と申します。皆さんもすごく盛り上がってくれたという話を聞いて非常に嬉しく思います! 今日はよろしくお願いいたします」と観客を前に感謝の意を表し、浜崎監督は「映画『ババンババンバンバンパイア』皆さんいかがでしたでしょうか! 監督の浜崎と申します。今日はよろしくお願いします」と挨拶した。
浜崎監督は、原作から映画のプロジェクトに参加することになった背景について聞かれると「プロデューサーから原作を読んでいただきたいと言われ、原作を読ませていただいたのですが、とってもおバカな内容だなと思いまして(笑)、どのように映画化できるかという不安もありました。ストーリーの根っこにある「18歳童貞の血を奪う森蘭丸」というのがすごく面白かったので、まずは脚本にしてみようということで参加させていただきました」と経緯を説明。アニメ版と実写版との違いと魅力についての質問には「原作の漫画があってアニメにもなり、今回実写映画ということだったのですが、原作が持っている根本的なキャラクターの性格部分は変えず、ただ一本の映画を作るときに色々なエッセンスを抽出する作業を行うことが今回大きかったなと思っています。それをまず脚本に落とし込み、どうやったらこのストーリーが面白くなるかと考えた時、大枠は森蘭丸と李仁の話なんですよね。そこで色々なキャラクターが登場していくという流れなので、キャラクターソングを作りこちらを軸にしながら話を前に進めていく、歌でキャラクターを紹介していくことをやりました。
吉沢は、作品に参加することとなった経緯を聞かれると「浜崎監督とご一緒させていただくということで、前回の『一度死んでみた』という作品が、本作同様に登場人物が敵役も「全員愛せるバカ」というか、どこかしら抜けている部分があって本当に可愛らしいキャラクターが出てくる映画で、その空気感がすごく好きで、今回も主演と いう形でオファーをいただいて、浜崎監督の作品ですし、ぜひとも出演したいという想いで受けさせていただきました」と、浜崎作品であったからという点を強調した。また、蘭丸を演じる上で準備したことや、蘭丸という人物をどう思っているかという質問には「蘭丸を演じる上で準備したことは、この『ババンババンバンバンパイア』(流暢な言い方に会場笑いが起こる)の撮影に入る少し前に 『国宝』の撮影があり、女形で体が痩せている状態でした。漫画の蘭丸は結構身体がムキっとしているので、撮影に入る1か月で出来ることは限界があるのですが、筋トレとご飯を食べたりしながら身体を大きく、というのはすごく準備はしましたし、あとはやはりビジュアル面ですかね。髪型や衣装など原作の森蘭丸という見た目をそのまま僕がやっても、それが僕自身にフィットしないと良くないというか、僕が森蘭丸の格好になってちょうど良い形にどう落とし込むのがいいのかはすごく意識しました。(蘭丸という人物について)450歳で色んな人間界を見てきたバンパイアは心が枯れているというか、ある種バンパイアとして人間を同じ生物と思っていないという部分を強調しながらも、李仁という人物に対しては、ものすごく人間臭くなってしまうという、そのギャップに面白さが出ればいいなと意識しながら演じていましたね」と短期間での工夫を語った。
信長の侍精神が先に描かれて、最後に最愛の人物に対する意見を蘭丸が言うシーンがあり、コメディとシリアスを行き来する映画だと思うのですが、どのような演出をしたのか、また監督の最推し(一番好きなキャラクター)は誰かという質問に、浜崎監督は「僕が気を付けたのは(キャラクターの)感情の落差がある作品なので、役者の皆さまには全部真剣にやってくださいと伝えていました。コメディを意識しないでくださいと伝えていました。とにかく毎シーン真剣に、全力でやってもらう事が第三者から見た時に面白くなると思っていたのであえて特別な演出はしていません。最推しは蘭丸です。間違いなく」と蘭丸推しと、特別な演出は施していないことを明かした。浜崎監督には、キャリアの中でのコマーシャルの経験についての質問も寄せられたが、それについては「普段、コマーシャルを作っているので情報処理能力は上がっていると思うのですが、本作は説明しないといけない要素があるので、蘭丸を軸にキャラクターの見せ場を作ろうと思いました。
また、吉沢には、もしバンパイアになったらどんな仕事をしながら永遠に生き続けるか、また、普段日傘を使っているかという質問が投げかけられ「450年分の年月をかけないと出来ないことをやりたいなと思っていて、木を植えて450年経ったらどこまで伸びるのかを知りたいです。日傘は使いません(笑)」と、実年数でどんなことが起こるのかということに思いを馳せた。
最後の挨拶で浜崎監督は「初めて韓国で上映できて皆さんの反応がとても気になっていたのですが、皆さん好意的に受け入れてくださって、伝わるかなと思っていた部分も受け取っていただいていてすごく安心しました。日本の(笑いの)ニュアンスもそんなに遠くないんだなと思いました。日本の歴史上の人物が出てくるので最初は分からないかも、と思ったのですが理解していただいて嬉しかったです。今日はありがとうございました」とコメント、吉沢は「本日は本当にありがとうございました。監督もおっしゃってましたように、僕もこの作品をどのように皆さんが受け取っていただけるのか楽しみでもあり少しドキドキと不安があったのですが、皆さんが僕たちの伝えたいニュアンスを受け取ってくださったような気がして本当に嬉しく思います。僕はお仕事で韓国に来させていただいたのは初めてなのですが 韓国の皆さまとお会いできてとても嬉しかったです。また別の機会でも韓国に来られることを楽しみにしております」と、本作が国境を超え受け入れられたことに改めて喜びを語り、終始和やかな雰囲気の中、幕を閉じた。
また、二人は映画祭会場に向かう前、地元民に愛されている富川市内の「サンドン市場」を散策。店先に並ぶキムチやヤンニョムチキンなど韓国ならではの食べ物や風景に興味津々で、束の間の韓国を堪能した。
(C)2025「ババンババンバンバンパイア」製作委員会 (C)奥嶋ひろまさ(秋田書店)2022
【編集部MEMO】
映画『ババンババンバンバンパイア』ストーリー
銭湯で働く森蘭丸(吉沢亮)、その正体は450歳のバンパイアだ。至高の味わいである「18歳童貞の血」を求め、銭湯のひとり息子である15歳の李仁(板垣李光人)の成長と純潔をそばで見守っていた。ある日、李仁がクラスメイトの葵(原菜乃華)に一目惚れ。恋が成就すれば、それすなわち童貞喪失の危機となり、蘭丸による決死の童貞喪失阻止作戦が幕を開ける。葵の家を訪ねる蘭丸だが、バンパイアオタクの葵から恋心を抱かれてしまう始末。さらに蘭丸の命を狙うバンパイアハンター・坂本(満島真之介)、葵の兄である脳筋番長・フランケン(関口メンディー)が次々と登場。因縁の相手である兄・長可(眞栄田郷敦)の影も忍び寄るのだった――。