東京商工リサーチは7月9日、「早期・希望退職」「役職定年」に関するアンケート調査の結果を発表した。調査は6月2日~9日、資本金1億円以上の大企業、および1億円未満の中小企業6,483社を対象にインターネットで行われた。

○大企業2.8%が「早期・希望退職」を実施 - 中小企業の4倍

早期・希望退職募集の実施状況を聞いたところ、98.5%が実施しておらず、検討もしてない」と回答。「直近3年以内に実施した」企業は、大企業が2.8%に対し、中小企業は0.7%と4倍の開きがあった。

また、45歳以上の従業員比率を調べたところ、「半数(50%)以上」と回答した企業の割合は大企業で57.0%だったのに対し、中小企業は就職氷河期やバブル世代を含む45歳以上の比率が高く、64.6%にのぼった。新卒を含む定期、通年採用などに積極的な大手企業は若い社員が入社しているが、一方で、中小企業は人件費の抑制と採用の両睨みで若い社員の採用が厳しくなっているほか、人手不足で採用自体が厳しくなっていることも影響しているよう。

45歳以上の従業員(正社員)が半数以上を占める産業は、「運輸業」が最多の81.7%。次いで、「金融・保険業」(75.0%)、「不動産業」(71.3%)で特に高く、最少は「情報通信業」(41.1%)で、唯一半数を下回った。

次に、「役職定年」制度の導入状況について調べたところ、64.7%が「導入する予定はない」と回答。導入している企業は、大企業で41.0%、中小企業は17.8%と2倍以上の開きに。産業別では、「金融・保険業」(35.8%)が最も多く、次いで「製造業」(26.8%)、「卸売業」(26.3%)、「運輸業」(25.2%)と続き、最少は「農・林・漁・鉱業」で5.1%だった。

大手企業は構造改革を推し進めており、早期・希望退職や役職定年の導入が多いが、中小企業は人的リソースの制約もあり、中高年社員の活躍を求める傾向が強いと考えられる。
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