将来の進路に迷う中学生たちに向け、大手企業が一堂に会する大規模キャリアイベントが開催された。
マイナビは7月14日、東京都立産業貿易センター浜松町館で、中学生を対象とした職業調べイベント「リアルで学ぶキャリア図鑑」を初めて開催。
○■初開催! 職業調べイベント「リアルで学ぶキャリア図鑑」に潜入
マイナビは2024年7月から、全国の中学校でキャリア教育の出張授業を展開。今回のイベントは、その取り組みをさらに進化させたものとして位置づけられている。
実施の背景には、同社が行った調査結果がある。大学1、2年生のおよそ6割がキャリアの方向性を決めかねている一方、キャリアに関して意識の高い学生の多くは、中高生の時期にすでに進路について考え始めていたというのだ。
本イベントでは、企業ごとの仕事内容や業界の特徴を学ぶ場が用意され、参加する中学生たちはキャリア学習の授業の一環として参加。業界ごとにジャンルが分かれており、生徒たちはそれぞれ各ブースを15分交代、計3~4社ほどを回った。
東京消防庁のブースは、終始多くの中学生でにぎわっていた。消防士の仕事内容や業務の種類について丁寧な説明があり、さらに消防の仕事はさまざまな機関と連携して成り立っていることなども紹介された。
「たとえば火災のあと、誰かが放火したかもしれないとなれば、それは警察の仕事。私たち消防は警察に連絡します。
JR東日本のブースも大盛況。身近な仕事としては、みどりの窓口でのきっぷ販売や、改札付近での案内などといった“駅の仕事”、そして運転士や車掌といった“乗務員の仕事”があることなどが紹介された。
「実は運転士になるには国家資格が必要で、取得には勉強や実地訓練など、長い場合で1年半ほどかかります」と担当者。さらに、線路のレールをミリ単位で管理する仕事や、橋梁を扱う土木の仕事など、普段目にする機会の少ない職種についても詳しく解説された。
また、情報通信業界からは富士通グループが出展。「街中の信号機は、人や車をセンサーで感知して色を切り替えています。デジタルサイネージも、時間帯に合わせて表示する広告を変えているんです」といった説明とともに、情報通信技術が身の回りのあらゆる場所に使われていることが紹介された。カーナビのGPSもその一例。中学生たちは、想像以上に身近な“情報通信”の世界に興味津々な様子だった。
栄養士・管理栄養士の分野からは、東京栄養食糧専門学校がブースを出展。
当日は、重曹やクエン酸、片栗粉などを使って、中学生たちが入浴剤「バスボム」づくりに挑戦。血行促進効果が期待できるというこのバスボムは、化学反応によって泡を生み出す仕組み。担当者によれば、泡の正体は“酸”と“アルカリ”が反応して生じる“二酸化炭素”なのだという。一見すると栄養士の仕事とは少し離れた実験にも思えるが、食や健康、そして科学のつながりを広く学べることも、この仕事の魅力なのだろう。
他にも出版ジャンルからは、新潮社が手掛ける女子中学生雑誌で、「ニコラ」の編集部がブースを出展していたり……
農業や林業、小売業など、あらゆるジャンルを代表する企業がブースを並べていた。
会場には、マイナビとNPO法人・企業教育研究会がキャリア教育のために開発したオリジナルカードゲーム教材『カードゲームで学ぶキャリア図鑑』の体験コーナーも用意された。ゲームを通じ、楽しみながらさまざまな職業や業種について学び、仕事と社会とのつながりに対する理解を深められる内容となっているという。
この日、参加した中学生に感想を伺ってみると、「東京消防庁は特に印象的で、すごく仕事のことがわかりました。僕は将来、鉄道関係に行きたいと思っているのですが、消防士は火災などがあったときに人を守ってくれる仕事なので、本当に大切な仕事だと思いました」と話した。
また別の学生たちも、「富士通が面白かった。ゲームの作り方のこともわかって、知らないことがしれた」「東京栄養学校が面白くて、食品に関することじゃなく、身体に関することも研究しているんだと初めて知りました。
猿川佑 さるかわゆう この著者の記事一覧はこちら