マイナビは7月15日、「看護師白書2024年度版」を公開した。調査は2月4日~4月7日、同社運営サービス「マイナビ看護師」に登録する看護師2,564名、およびマイナビ人材紹介サービスの利用実績のある事業者492社を対象にインターネットで行われた。
事業者に対し、看護師の処遇改善を実施しているか聞くと、「実施している」が69.5%に達し、前年の47.6%から21.9ptの大幅増加となった。看護職員の賃上げを目的とした「ベースアップ評価料」が新設されるなど、看護師の賃上げを中心とした処遇の改善が進められていることが、処遇改善実施率の増加に影響したよう。
また、看護師の労働環境改善・定着のために何らかの取り組み(人員の確保・勤務シフト・業務効率化・待遇改善など)を「実施している」事業者は48.2%。
「取り組む必要がないので実施していない(すでに働きやすい環境である)」(7.3%)を除く、全体の92.7%が何らかの取り組みが必要と考えていると思われるが、一方で「取り組む必要があるが、余裕がなく実施できていない」(24.0%)や「取り組む必要があるが、大きな問題となっていないので実施していない」(5.5%)という事業者もあり、約3分の1は実施の予定・計画まで至っていないことがわかった。
次に、看護師に対し「現在の職場で、患者に十分な看護が提供できていると感じますか?」と尋ねたところ、4割超が「どちらかと言えばできていない」(33.0%)あるいは「できていない」(11.8%)と回答。そう感じる理由については「看護師が足りない」(71.6%)が最も多く、次いで「看護以外の業務が多い」(49.8%)、「介護・看護補助などの職員数が足りない」(44.0%)と続いた。患者に十分な看護を提供するためには、看護師、介護・看護補助などの職員の補充に加えて、看護以外の業務効率化などが必要と考えられる。
また、これまで職場で「ハラスメント」を受けたことがあるかと尋ねたところ、「受けたことがある」が64.6%、「他の職員が受けているのを見たことがある」が14.7%となり、全体で79.3%の看護師が職場でのハラスメントを認識していることが明らかに。
ハラスメントを行っているのは「上司」(69.7%)が最も多く、次いで「先輩」(38.6%)。ハラスメントの内容を自由回答で聞くと「業務終わりに予定に無い長時間面談を個室で受けた」「看護師が向いていないなどの威圧的な発言。新人への挨拶の無視の常態化」などのパワハラや、「妊娠中のスタッフに対し“これだから妊婦は”というような発言があった」などのマタハラが多くあがったほか、「患者・入居者・利用者」からのハラスメントも31.8%と上位にあがっており、具体的には「殴る、蹴るなどの暴力を受けたり、ののしられる」「体を触られる。患者家族から過剰な要求をされる」といったセクハラ・ペイハラ(ペイシェント・ハラスメント)に悩む看護師も一定数いることが分かった。