帝国データバンクは7月15日、「上場企業の『平均年間給与』動向調査」の結果を発表した。調査は、2024年度決算期を迎えた上場企業のうち、有価証券報告書に「平均年間給与・従業員平均年齢・勤続年数」の記載がある企業を対象に行われた。


2024年度決算期(2024年4月-25年3月期)の全上場約3,800社における平均年間給与(平均年収、提出された有価証券報告書に基づく)は671万1,000円だった。4年連続で前年度を上回り、2023年度の651万4,000円に比べて19万7,000円・3.0%増となり、平均給与・前年度からの増加額・伸び率ともに過去20年で最高となった。なお、2024年度平均給与額が最も高い企業は、投資ファンドの「インテグラル」(2,577万円、東証グロース)

2023-24年度の増減を比較すると、前年度から平均年間給与が「増加」した上場企業の割合は75.0%を占め、過去5年で最高に。増加率でみると「(2.5%以上)5%未満」が最も多く23.7%となったほか、「(5%以上)10%未満」(19.4%)、「10%以上」(9.5%)の増加率となった企業も。この結果、厚生労働省の調査(「令和6年 民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」)に基づく2024年の平均賃上げ率(妥結額ベース)5.33%を上回る上場企業は4社に1社となり、人手不足を背景とした処遇改善目的の賃上げ機運が高まったことなどから、上場企業における平均給与額は上昇傾向が目立つ結果となった。

産業別にみると、上場する製造業で平均681万2,000円(前年度661万円、+20万2,000円・+3.1%)、非製造業で平均665万1,000円(同645万8,000円、+19万3,000円・+3.0%)と、製造業・非製造業ともに、平均給与額および前年度からの増加額が過去20年で最高に。

このうち、最も平均年間給与が高い業界は「海運業」(1,052万3,000円)で、全業界で唯一1,000万円を超えた。また、前年度から最も伸び率が高かった産業は「陸運業」で、13.7%増の645万円。集計可能な2003年度以降で、初めて陸運業の上場企業平均で600万円台を記録した。

上場市場別にみると、最も平均年間給与が高かったのは「東証プライム(市場)」上場企業で、平均763万3,000円。次いで「東証グロース」(629万円)が続き、全市場(東証・名証・福証)で平均500万円を超えた。なお、全市場のうち、前年度からの伸び率が最も高かったのは「名証」で5.0%・29.0万円増、最も低かったのは「福証」で1.2%・6.3万円増。
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