女優の森七菜が、2026年春公開の映画『炎上』(長久允監督)に主演することが16日、明らかになった。

新宿・歌舞伎町を舞台に、若者の孤独や希望を描いた本作。
脚本と監督を手がけるのは長久允氏で、2017年の短編映画『そうして私たちはプールに金魚を、』がサンダンス映画祭ショートフィルム部門でグランプリを獲得するなど、世界的にも評価されている映像作家だ。『炎上』は、その長久監督が5年間にわたり温めてきた企画。新宿歌舞伎町のニュースに触発され、実際に現地を取材し、関係者の声を聞きながら物語を構築したという。舞台となる新宿・歌舞伎町でもロケを行い、街の喧騒と人々のリアルな姿を作品に取り込んでいる。

主演を務める森七菜が演じるのは、厳格な両親のもとで育ち、自分の感情を表現することが苦手な少女・小林樹里恵、通称"じゅじゅ"。家族との関係に耐えきれず家出したじゅじゅがSNSを頼りにたどり着いた先が、新宿・歌舞伎町だった。新しい世界での出会いを通じて、少しずつ自分の意思を持つことを覚えていく彼女にとって、その街は唯一の居場所となっていく。だが、そこで待っていたのは安息ではなかった。

長久監督は森の起用について「ピュアな役をたくさんやられている印象があったが、森さんの内側にはもっとドロドロとしたマグマのような真っ赤なエネルギーを抱えているのではないか、と勝手に想像していました。そんな森さんは本作の主人公・じゅじゅにぴったりだと感じオファーをしました」と明かしている。一方の森は撮影について「自分自身がどこにいるのか分からなくなる撮影期間でしたが、彼女たちの強さを守るために進んだ1カ月半でした。見てくれた方がこの物語をどんな風に捉えることになるのか想像がつきません。
だけど私たちから何も奪えないことを、地獄には知って欲しい」とコメントを寄せた。

長久監督は「シリアスな物語ではあります。でもあの広場のように騒がしく、キラキラとした映画にもなっています。森さんをはじめ俳優陣の演技、カメラ・照明・美術・衣装・ヘアメイク・音楽・サウンド・編集の全てが素晴らしく絡み合っています。どうか映画館で見ていただけたらうれしいです」と語り、作品に込めた思いを明かしている。

あわせて、ティザービジュアルと特報映像も公開された。ビジュアルでは、森演じるじゅじゅの憂いを含んだ表情が印象的で、物語への期待を掻き立てる。映像では、足取りもおぼつかない様子で街をさまよう彼女の姿が映し出されており、作品の空気感を一足先に感じられる内容になっている。

■森七菜 コメント

歌舞伎町炎上。この物語は彼女たちだけのもので、自由も地獄も私も、全部誰にも渡さない。あっちもこっちも地獄だけど、全部きらきらのアスファルトの上にひっくり返してその中から宝石を探す時間。自分自身がどこにいるのか分からなくなる撮影期間でしたが、彼女たちの強さを守るために進んだ1カ月半でした。
見てくれた方がこの物語をどんな風に捉えることになるのか想像がつきません。だけど私たちから何も奪えないことを、地獄には知って欲しい。

【編集部MEMO】

森七菜は、2001年8月31日生まれ。23歳。大分県出身。映画『天気の子』のヒロイン声優をはじめ、ドラマ『この恋あたためますか』や映画『ライアー×ライアー』など話題作に次々と出演。日本アカデミー賞をはじめ国内外でその存在感が認められ、近年では『国宝』、『フロントライン』での演技で高評価を得るなど、若手の枠を超えた実力派としての道を歩み続けている。2026年春公開の映画『炎上』では、孤独を抱えながらも自らの人生を見つめ直す主人公を演じ、新境地に挑んだ。
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