「違う世界でした」
俳優の藤原竜也がそう振り返ったのは、映画『バトル・ロワイアル』について。「さよなら 丸の内TOEI」の一環として、2000年に公開された同作の舞台挨拶が行われ、公開を前に社会問題にもなった当時を振り返った。
東京・有楽町の映画館「丸の内TOEI」が、2025年7月27日をもって長い歴史に幕を下ろす。その閉館を前に、東映が展開している「さよなら 丸の内TOEI」プロジェクトの一環として、7月15日に行われたのが、映画『バトル・ロワイアル』(2000年公開)の特別上映と舞台挨拶だ。
この日、会場に登壇したのは主演の藤原竜也と、脚本・プロデュースを務めた深作健太氏。社会的議論を巻き起こした問題作が、約四半世紀を経て、再び脚光を浴びることとなった。
「中学生同士が殺し合う」というセンセーショナルな内容で、当時は国会でも取り上げられるなど、公開前から大きな波紋を呼んだ同作。主演を務めた藤原は、当時18歳。騒動の渦中にいた当時をこう振り返る。
「僕らは子どもっちゃあ子どもでしたから……大人たちは騒いでいて、何か問題があるんだと。ただ、我々は日々撮影をこなしていかなきゃいけないから、ちょっと違う世界でした」
一方、脚本とプロデュースを担った深作氏も、騒動の記憶は鮮明のようだ。
「いい宣伝になったなと……(笑)。最初は東映の仕込みかと思いました」
と冗談を交えつつも、続けて語ったのは東映という会社への敬意だった。
「東映はずっとアナーキーな映画でがんばってきた会社で、逆境をメリットに変えていく会社なんです。
当時、中学生が主役でありながら、R-15指定での公開となったことでも話題を呼んだ『バトル・ロワイアル』。翌2001年には中学生も観ることができるように編集を加えた“特別編”も上映され、社会現象としての存在感を強めていった。
閉館間際の丸の内 TOEIのスクリーンに映し出されたのは、賛否の渦中で誕生しながらも、その後の邦画史に確かな足跡を残した一作。そして、その舞台裏にあった“若き主演俳優”と“攻めの制作陣”のリアルな声だった。