ミラノの街はまるで都市そのものがアートギャラリーであるかのように洗練された建築が並んでいます。そのなかでも独特の存在感を放つのが「Apple Store Piazza Liberty」です。
世界的に名高い建築事務所Foster + PartnersとAppleがタッグを組み、2018年にオープンしたこのストアは、開業以来、多くの人を惹きつけ続けています。
店舗に到着するやすぐに目を奪われるのが、店舗正面の巨大なウォーターウォールです。高さ8メートルにも及ぶガラス壁から絶え間なく細やかな水流が滝のように流れ落ち、その壮観さには思わず足を止めずにはいられません。特に夏には涼し気な表情で来客を迎えていれてくれるでしょう。
そしてガラスで囲まれたこのスペースが店内への入口となっています。細身の入り口はちょっとした秘密空間に入るような気分にもさせてくれます。先ほどまで歩いていたミラノの街を一瞬で忘れ、まったく新しい世界に足を踏み入れるかのような体験が待っています。単なる外観の美しさにとどまらず、「入店する瞬間」が特別な記憶になる演出なのです。これまでにいろいろな国のApple Storeを訪問しましたが、Apple Store Piazza Libertyに足を踏み入れるときの高揚感は他のどの店舗でも味わえない特別なものでした。
Apple Store Piazza Libertyは入り口から店内に入ると地下に降りていく構造になっているため、店舗に入る前はシックで落ち着いた閉じられた空間が広がっていると考えていました。ところが実際には店舗は巧みに設計された掘割状の広場「サンクンプラザ」に面しており、地下にいながらも横には明るい屋外空間が広がっています。地上からこの様子を眺めると、都市の中にひっそりと現れるオアシスのようにも感じられるでしょう。
この場所はかつて60年にわたりミラノ市民に親しまれたアポロ・シネマの跡地であり、その地下構造を活かして再設計されたことで、他にはない独特の空間が誕生したのです。
この広場は24時間誰でも自由に立ち入ることができ、なだらかな階段で地上とつながっています。自然とミラノの街の人々が集まり、思い思いの時間を過ごす姿が印象的でした。単なるApple Storeという枠を超え、地元の人々にとっての憩いの場、ミーティングポイントとしてもしっかりと根付いているのを感じます。ミラノの観光中にちょっと疲れたとき、ここで一休みするのもよさそうです。
広場ではワークショップやライブイベントが定期的に開催され、ミラノのクリエイターやアーティストが活躍する場所にもなっています。このように、テクノロジーとカルチャーが自然と混ざり合う空間として、特別な体験を提供し続けているのです。今後も地元の人々や世界中から訪れる人々に愛されるミラノの新たな象徴であり続けるでしょう。
店舗内に足を踏み入れると、天窓やガラスの採光部からふんだんに自然光が降り注ぎ、美術館やギャラリーを彷彿とさせる明るく開放的な空間が広がっています。静かで洗練された空気のなか、製品を見るだけでも心地よい時間が流れます。ミラノ旅行の際は、Apple Store Piazza Libertyを立ち寄り先に追加してみてはいかがでしょうか。
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