女優の広瀬すずが主演を務める映画『遠い山なみの光』(9月5日公開)が、9月4日~14日(現地時間)にかけて開催される第50回トロント国際映画祭のスペシャル・プレゼンテーション部門に正式出品されることが明らかになった。

『遠い山なみの光』は、ノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロ氏の長編デビュー作を、石川慶監督が映画化。
主演は広瀬すず、共演は二階堂ふみ、吉田羊、カミラ・アイコ、松下洸平、三浦友和ら。舞台は、戦後間もない1950年代の長崎と、1980年代のイギリスで、時代と場所を超えて交錯する「記憶」を巡る秘密を紐解いていくヒューマンミステリーに仕上がっている。

この度、本作が、第50回トロント国際映画祭のスペシャル・プレゼンテーション部門へ正式出品されることが決定。トロント国際映画祭は、北米最大級の観客動員を誇り、アカデミー賞の行方を占う「オスカーレースの登竜門」として世界的にも注目される映画祭で、本作は記念すべき50回目の開催で北米プレミアを実施する。

スペシャル・プレゼンテーション部門は、世界各地の映画祭で高く評価された話題作や、気鋭監督の最新作、世界的な名匠の新作がラインアップされる注目のセクションで、過去には是枝裕和監督の『怪物』や、濱口竜介監督の『悪は存在しない』などが出品されており、今年はすでにHIKARI監督の『Rental Family』や、ダニエル・クレイグ主演の『Wake Up Dead Man: A Knives Out Mystery』の出品が発表されている。

この選出に際し、石川監督は「初めてトロント国際映画祭に参加できることを嬉しく思います。トロントは、多様な文化や記憶が交差する街だと感じています。この地で、戦後を生き抜き、海を渡った一人の女性の物語が、誰かの記憶と響き合うことを願っています」と喜びのコメントを寄せ、主演の広瀬すずも、「紐が解いていくたび、振動が激しくなっていくような、当時長崎で生き抜いた女性たちが感じていたこの感覚を世界に知ってもらえる機会があると思うと、とても光栄に思います。 監督、すごいです。おめでとうございます!」とコメントを寄せている。

(C)『遠い山なみの光』製作委員会

【編集部MEMO】
原作者、エグゼクティブ・プロデューサーのカズオ・イシグロは、本作で描かれる長崎県の出身で、幼年期に渡英したのち、1983年にイギリス国籍を取得。2017年にノーベル文学賞を受賞している。
本作以外にも映画化された作品は数多く、『日の名残り』『上海の伯爵夫人』『わたしを離さないで』『生きる LIVING』は、日本でも公開されている。
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