サントリーが2005年より展開している、果物のおいしさを追求したチューハイ『-196』(イチキューロク)。同社では需要の伸びる夏最盛期に向けて7月29日より、新商品『-196〈レモン〉』『-196〈シャインマスカット〉』『-196〈白桃〉』を全国で発売する。


○■どんなチューハイになった?

「-196」シリーズに、新定番の3つのフレーバーが登場した。『-196〈レモン〉』『-196〈シャインマスカット〉』『-196〈白桃〉』の希望小売価格は、350ml缶が175円、500ml缶が238円。いずれもアルコール度数は5%となっている。

そもそも「-196」とは、素材を傷つけずに果物そのもののおいしさを閉じ込めるサントリーの独自技術「-196℃製法」に由来する。厳選した果物を-196℃で丸ごと瞬間凍結し、パウダー状にしてお酒に浸漬することで、果物のおいしさを封じ込めるとしている。

ところでチューハイのフレーバーとして、シャインマスカットや白桃が選ばれることは珍しい。これについてサントリー ビール・RTD本部の玉腰潤氏は「朝摘みした果物のような、みずみずしい味わいを目指したシリーズです。夏季に思わず頬張りたくなる果物で、お酒とも相性が良く、甘さとスッキリ感の両方を楽しめるもの、ということでレモン、シャインマスカット、白桃を選定しました」と説明する。

これまで時代に合った商品提案により、成長を続けてきたRTD市場。現在のトレンドは“甘くない無糖”で、競合各社も糖質ゼロ・無糖の商品開発に注力している。しかしサントリーでは、30代RTDユーザーの「無糖は味気ない」「もっと果実の味を楽しみたい」といった声に注目した。玉腰氏は「30代は、ライフステージが変わる世代。
お酒との接し方も変わり始める頃です」とする。

消費者のニーズを深堀りするため、WEB調査、グループインタビューなどに加えて、今回は“参与観察”という珍しい手法も用いた。玉腰氏は「これまでのリサーチでは、どうしても分からなかった部分がありました。そこで調査会社の提案により、参与観察を実施しました。私もお客様のご自宅までお邪魔して、お酒を飲んでいる30代の旦那さん、奥さんと会話をしてきました。後日、参与観察で得られた情報をメンバーで持ち寄り、共通していたこと、一般化できることなどを分析しました。これにより新しい情報がたくさん得られています」と話す。

「-196」の新商品では、発散×緩和、を提供価値と定めた。「私たちが目指したのは、晴れ晴れとした気持ちになれるチューハイです。お酒を飲む時間は何も考えずにポジティブに過ごしたい、と思う人たちに向けて届けていければ。果物そのもののおいしさ、後味のスッキリ感、というシンプルで分かりやすい魅力も伝えていきます」(玉腰氏)。

サントリー スピリッツ・ワイン開発生産本部の成瀬祐里氏は、中味について「果実の味わいを忠実に再現するのではなく、果実を食べたときのおいしさ、嬉しさを体感できるチューハイを目指しました」と説明する。
「飲みはじめはフレッシュで軽やかな香りが感じられ、続けてジュワっと爽やかな味が広がり、やがて自然で柔らかい甘さがきて、伸びのある優しい香りと味わいが余韻として残ります」と成瀬氏。

またパッケージのデザインについて、サントリーホールディングス デザイン部の神村晃世氏は「シンプルかつ直感的においしさが伝わるデザインにしました。ロゴ×果物のアイコン、晴れ晴れしさを演出する開放的な青空の色と太陽光がポイントです。シンプルなので商品棚における視認性も高く、堂々とした果物がおいしそう、という声もいただいております」と話した。

近藤謙太郎 こんどうけんたろう 1977年生まれ、早稲田大学卒業。出版社勤務を経て、フリーランスとして独立。通信業界やデジタル業界を中心に活動しており、最近はスポーツ分野やヘルスケア分野にも出没するように。日本各地、遠方の取材も大好き。趣味はカメラ、旅行、楽器の演奏など。動画の撮影と編集も楽しくなってきた。 この著者の記事一覧はこちら
編集部おすすめ