俳優の坂口健太郎と渡辺謙の共演による映画『盤上の向日葵』(10月31日公開)の予告映像とポスタービジュアルが公開となった。

『盤上の向日葵』は、推理作家・柚月裕子氏の同名小説を原作としたヒューマンミステリー。
とある山中で身元不明の白骨死体が発見されるのだが、事件の手掛かりは死体とともに発見された高価な将棋の駒。捜査の末、その駒の持ち主は、将棋界に彗星のごとく現れ時代の寵児となった天才棋士、上条桂介(坂口健太郎)だと判明する。さらに捜査の過程で、桂介の過去を知る重要人物として、「賭け将棋」で圧倒的な実力を持ちながら裏社会に生きた男、東明重慶(渡辺謙)の存在が浮かび上がる。

桂介の元婚約者・宮田奈津子役には土屋太鳳、事件の真相を追い、桂介の過去を解き明かす刑事・石破剛志役に佐々木蔵之介、プロ棋士を目指したこともある若き巡査・佐野直也役に高杉真宙、桂介に将棋を教え、その才能を見抜く恩師・唐沢光一朗役に小日向文世、その妻・唐沢美子役を木村多江、桂介に過酷な仕打ちをする父・上条庸一役に音尾琢真、東明と凄まじい一騎打ちを見せる東北一の真剣師・兼埼元治役を柄本明、その勝負の立ち合い人・角舘銀次郎役に渡辺いっけい、桂介の前に立ち塞がる現役最強のプロ棋士・壬生芳樹役に尾上右近がキャスティングされている。
○サザンオールスターズの『暮れゆく街のふたり』が切なく響く予告映像

この度公開となった予告編は、白骨化した死体の謎を追う刑事たちの緊迫した様相で始まる。そこでは容疑者として名前が挙がる桂介だが、自信に満ちたその姿からは想像できない、壮絶な過去が明かされる。美しいが寒さの厳しい諏訪湖畔での極貧の日々。少年時代、将棋の才能を認められ、その眼差しには希望の色が見えるも、「この人が来るようになって、桂介さんは変わっていきました」という元婚約者の証言とともに、怒りと哀しみに満ちたダークな映像に転換。桂介の前に現れたのは、賭け将棋の世界で圧倒的な強さを誇る東明だった。異様な眼光でにらみ合う東明と老真剣師の姿。乱闘の末に響く「お前にはイカレた血が流れているんだっ」という父親の怒声。「誰かのために生きたいんだ」と願う桂介の涙は悲しみなのか、絶望なのか。
そして樹々の生い茂る山の中、という美しくも異様な場で将棋盤を囲む桂介と東明。命を絞り出すかのような声で「お前が何を背負っていようが、生き切るんだ!」と言う東明に桂介の答えは……。 激しく流転する運命に、サザンオールスターズの『暮れゆく街のふたり』が切なく響く。
○ポスタービジュアルとキャストからのコメントもあわせて公開に

また、若き天才と、鬼の形相を浮かべる真剣師が万感の想いをこめて相対する構図が壮大なドラマを予感させるポスタービジュアルもあわせて公開された。さらにキャストからのコメントも到着している。

■佐々木蔵之介(石破剛志役)
宿命に絡めとられ、壮絶な勝負に挑み続ける二人の男。心の荒野を彷徨い巻き込まれながら、謎を追い求め東奔西走する、刑事・石破を演じさせていただきました。運命に抗いながらも、「生きろ!」との叫び。
是非、スクリーンでご覧ください。

■高杉真宙(佐野直也役)
この度、「盤上の向日葵」に佐野役で出演いたします。元奨励会の会員で挫折してしまった過去を持つ、警察官です。事件を追っていくうちに真実や正しさに迷っていく様を試行錯誤しながら演じました。
もちろんミステリー作品ではあるのですが、父親と息子の関係性を色濃く描いている作品で、さまざまな絆を感じていただけるのではないかと思います。

■音尾琢真(上条庸一役)
柚月裕子さんが書かれた作品の世界に、再び入らせていただける事に感謝です。人生は苦しいことばかりなのに、人は何故生まれてくるのでしょう。何か一つでも、没頭できるような実感を持つことができるなら、それを生まれてきた意味だと感じたいものです。

■渡辺いっけい(角舘銀次郎役)
僕は立会人の役でしたから将棋盤に向き合う棋士役の俳優さん達の「さまざまな闘いぶり」を間近で拝見する事になりました。棋士が命を賭け盤に向き合うその姿を見ているとまるで俳優さんの「生きざま」を見ているような錯覚に陥り不思議な感動を味わいました。清濁併せ呑む人間の業の深さが、そのエネルギーが詰まった映画だと思います。
とても楽しい現場でした。

■柄本明(兼埼元治役)
熱量を感じました。久しぶりに渡辺謙さんに会いましたが、思いっきりぶつかって行きました。ありがとうございました。ぜひ皆様にご覧いただければ嬉しいです。


■尾上右近(壬生芳樹役)
画面から迸る真剣師たちの熱情。それぞれの業が人間の生死までも分ち、見ている人はまさしく刺されるような感覚。圧倒されながらも釘付けになってしまいました。私は上条桂介の「表」の将棋界のライバル壬生芳樹役。「表」とはいえそこにある真剣な思いは変わらず、たくさんの業を背負い勝負の舞台にあがっていく様は歌舞伎の世界にもヒントがあるのではと考え臨みました。とにかくすごい映画です。どうぞお楽しみにしてくださいませ。

■木村多江(唐沢美子役)
悲しく苦しい運命の一筋の光になれたら、と思いながら演じさせていただきました。でも 演じながらその先の運命を思うと、胸が締め付けられ、心の中で何度も、生きて! と叫ばずにはいられなかった……。熊澤監督はじめ、素晴らしいキャストスタッフの方々によってできたこの世界。時代の匂いや空気の重さを感じながら、生きる力に変えてほしいと思います。

■小日向文世(唐沢光一朗役)
唐沢は上条桂介の少年時代に出会い彼の将棋の才能を見抜き、将棋の世界に導きます。
もし出会ってなかったら少年の人生は全く違った道を歩んでいたのでは。さらに別の出会いによって彼は翻弄され、数奇な運命を辿ることになります。上条桂介にとってどの道が幸せだったのか……人は皆多くの出会いによって歩む道が分かれてゆきます。この作品を観ながら皆さんの人生を改めて振り返ってみてはいかがでしょう。

(C)2025映画「盤上の向日葵」製作委員会

【編集部MEMO】
推理作家・柚月裕子氏の同名小説を原作とする本作は、2019年にNHK BSプレミアムにてテレビドラマ版が放送されている。もともとは2015年から2017年にかけて『読売プレミアム』にて掲載されていた連載小説で、2017年8月に中央公論新社から単行本として刊行された。第15回本屋大賞では、第2位にランクイン。また、2022年10月からコミックウォーカーとニコニコ静画の『COMIC_Hu』にてコミカライズもされている。
編集部おすすめ