小学館はこのほど、「教員の勤務実態」に関する調査結果を発表した。調査は5月20日~6月30日、教員、教育委員会などの関係者5,412名(うち5,181人が現役教員)を対象に、同社運営のWebメディア「みんなの教育技術」にて行われた。
出勤してから退勤するまでの勤務時間を教えてもらったところ、8割超の教員が10時間以上、4人に1人が12時間を超えて勤務しており、平均値は11.17時間、中央値は11時間という結果に。
また、1日に取得できている休憩時間については、65.6%もの人が「ほとんどとれない」と回答。これに「15分未満」(19.2%)を加えると、85%近くの人がまともな休憩を取れておらず、労働基準法が定める休憩時間=45分以上を確保できているのは、わずか1.5%のみであることが分かった。
休憩が取れない理由を聞くと、子どもがいる時間は子どもから目が離せないので休憩ができない上に、隙間時間もさまざまな理由から休憩どころではないという実態、教員がコントロールできる時間の少なさ、休憩なしが常態化している、などといった理由があがり、休憩がとれないことにより、「トイレに行けない」という声も非常に多く見られ、膀胱炎を繰り返しているという教員も。精神的にも身体的にも教員の健康に影響を及ぼす深刻な事態が浮き彫りとなった。
続いて、「持ち帰り残業」について聞いたところ、4割弱が「ほとんど毎日」行っており、半数以上が「週3日以上」と回答。また、休日にも仕事をしている人の割合はおよそ9割。持ち帰り残業も休日勤務も「ほとんどない」と答えたのは401人にとどまり、少なくとも9割以上が一か月のうちに持ち帰り残業か休日勤務、あるいはその両方をしているよう。
そこで、時間外勤務が発生する主な要因について聞くと、要因は「1日の業務量がそもそも8時間以内にできる設定ではないため」が8割以上でトップに。次いで「授業準備や記録は平日の日中に集中して取り組めないため」「会議や打ち合わせが放課後にずれ込むため」「児童・保護者対応が放課後にずれ込むため」が上位に。全体の89.4%が複数の要因を選択しており、解決の難しさがうかがえた。
また、勤務時間の長さ以外で「つらい」と感じることを聞いたところ、「保護者から理不尽なクレームを受けている時」(約4割)が最多に。
最後に、国や自治体が導入している「外部人材による学校支援」に対する満足度を聞いたところ、導入されている回答者で「とても満足」「ある程度満足」と回答した人は約38%にとどまり、不満の理由を聞くと、「人手が足りない」という指摘が最も多く、次いで「質のばらつき」があがった。