『クレヨンしんちゃん』声優に喜び「こんな光栄な話はない」

『映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ』(8月8日公開)でゲスト声優を務めたお笑いコンビ・バイきんぐの小峠英二と西村瑞樹にインタビュー。『クレヨンしんちゃん』に参戦した感想を聞くとともに、コンビの関係性やこれまでの転機などを聞いた。

『映画クレヨンしんちゃん』シリーズ32作目となる本作は、しんのすけたちカスカベ防衛隊がインドを舞台に大乱舞。
カスカベ防衛隊の癒やしの存在でありながら謎多きボーちゃんが暴君(ボーくん)となって大暴走し、それを止めるためにしんのすけたちが奮闘する。小峠はしんのすけたちのインド旅で現地をガイドする温厚で優しいインド人・ウフンアハーン役、西村はしんのすけたちが立ち寄った雑貨店のバイト君役の声を演じた。

――本作のオファーを受けた時の心境を教えてください。

小峠:『クレヨンしんちゃん』を見ていて、好きな映画も何本もあったので、そこに出させていただけるというのはうれしかったです。

西村:子供ができてからアニメの声優をやりたいという思いがあって、しかも『クレヨンしんちゃん』ということで、こんな光栄な話はないなと、めちゃくちゃうれしかったです。『クレヨンしんちゃん』は子供と一緒によく見ていて、いつもゲラゲラ笑っています。

――お子さんに『クレヨンしんちゃん』の声優をやると伝えましたか?

西村:言いましたが、あまりわかってなかったです。「声ってどういうこと?」という感じで。でも、ちょっと誇りですね。一緒に見に行こうかなと思っています。

――アフレコはいかがでしたか?

小峠:僕が演じるウフンアハーンは、インドに来たしんちゃんたちを現地でガイドする役なんですけど、僕は演技や声優経験がほとんどなかったので想像以上に難しくて、監督が細かく演技指導をしてくださり演じ切ることができました。

西村:僕はしんちゃんとボーちゃんがインドで訪れる雑貨屋さんのバイト君役を演じました。
僕もテレビに出させていただく前はただのバイト君でしたから、雇われの、ただのバイト君に徹するみたいなことに神経を向けて演じました。台本にはないセリフ、台本上では「…」になっているところでも息づかいをマイクにのせたり、普段はしないセリフの出し方をしたのが難しかったです。

――この作品は、カスカベ防衛隊の絆も感じる作品ですが、お二人は結成から29年経ち、コンビの絆はどのように変わってきていますか?

小峠:絆なんてないですよ。今解散しろって言われてもできるぐらいの絆ですから。

西村:すぐこういうことを言うんですよ。照れて本心を言えないんです。

――では、西村さんが本当のところを教えてください(笑)

西村:29年もやっていますから、もう家族みたいなもんです。親兄弟や奥さんとも違う感じで、他にはない関係性ですね。

――2012年に『キングオブコント』で優勝しブレイクされた以前に、小峠さんは4回、西村さんは1回、解散を切り出し、解散危機が5回あったそうですが、その後、解散危機はないですか?

小峠:僕は口には出してないですけど、常日頃思っています。

西村:また照れちゃって。かわいいでしょ!?(笑)

――本当は思ってないことを(笑)。では、コンビの関係性はどういう風に変わってきていますか?

西村:賞レースのことばかり考えていた時期とはもう違いますね。


小峠:お前はもともと考えてなかっただろ(笑)

西村:まあ(笑)。小峠が変わったんでしょうね。余裕ができたというか。

小峠:優勝する前と後では違うでしょうね。前はそこに向けて、人生変えてやろうという気概で向き合っていたので。それ以降は、力を抜いて、いい力加減でできていると思います。

西村のキャンプ芸人としての活躍がコンビとしても転機に

――『キングオブコント』優勝が一番大きな転機だと思いますが、それ以降、コンビとして転機になったなと感じていることがありましたら教えてください。

小峠:コイツがキャンプに手を出したことですかね。

西村:手を出しちゃいけないものに出したみたいな言い方やめてもらっていいですか(笑)。でも、キャンプキャラが乗っかって認知されるようになったというのは、転機かもしれないですね。

――キャンプ芸人として個人での仕事が増えていますよね。

小峠:完全にお笑いは捨てたんだんだなと。お笑いの情熱を山に捨ててきたんだろうなと思っています。


西村:捨ててないです(笑)。でもコイツ、「お前にキャンプがなかったと思ったらぞっとするよ」と言っていたので、キャンプがあってよかったと思っているはずです。

小峠:コイツがもしキャンプに出会ってなかったらと考えるとぞっとします。コンビでテレビに一緒に出るのはネタをやる時ぐらいなので、もしキャンプをやってなかったら何をやっているんだと。おぞましいです(笑)

――コンビとしてのパワーアップにもつながっているわけですね。

西村:僕がキャンプをやり出してから、キャンプのネタを作ってきたこともありましたから。

小峠:キャンプのネタを作ったからといって笑いの幅が広がったとは思わないですけど。でも、以前はコイツがいないところでコイツをいじっても、みんなピンと来てなかったのが、キャンプをやり出して知名度も上がって、「相方さん今何やっているんですか?」「どうせキャンプにでも行っているんじゃないですか」というやりとりでひと笑いが起きるようになりました。そこは変わったかもしれません。

――本作では、カスカベ防衛隊のメンバー同士の思いも描かれますが、お二人がお互いの好きなところや尊敬しているところも教えてください。

西村:笑いにストイックなところです。これだけいろんな番組に出て忙しいのに、その合間を縫ってネタもしっかり考えているというのは、すごく尊敬しています。


小峠:従順なところですかね。ネタに関してたまに意見を言ってくるんですけど、僕が無視したら何も言ってこないので(笑)

――小峠さんは、西村さんとのロケ共演はNGにしているそうですが、ネタをやるのは「西村しかいない」と。

小峠:ネタをやるんだったらコイツがいいんでしょうね。ネタを書く時も、コイツがこう言ったら面白いだろうなと考えてセリフを書くので。

――西村さんだからこそネタが浮かぶわけですね。

小峠:まあそうですね(笑)

西村:そういうことです!

単独ライブがコンビの軸「体が動く限り続けたい」

――今後のコンビとしての抱負もお願いします。

西村:単独ライブを年に1回やっていますが、それはやり続けたいなと。何歳までできるんだろうというのはありますが、体が動く限り続けたいです。

小峠:お前は楽だよ、ネタ作ってないんだから(笑)。1カ月前にネタを渡されて覚えるだけだけど、こっちはその何カ月も前から寝る時間とか遊びを削って書いているんだから。

西村:その分、動けるようにしておこうと(笑)

小峠:まあでも、コンビとしてはやっぱり単独ライブですね。

――それがコンビの軸だと。


小峠:そうですね。単独以外会わないですから。今日会うのも久しぶりですよ。

西村:結婚する時に婚姻届の証人になってくれって家に来た時以来です。

――婚姻届の証人は相方さんだなというところで、お二人の絆を感じました。

西村:僕も8年前に結婚した時、コイツに書いてもらいました。でも、書いた後に、婚姻届に屁をこきましたから。あれは何だったんだと(笑)

――お祝いの屁ですか!?

小峠:そうそう、祝砲というか(笑)

――結婚後の変化もお聞かせください。

西村:大黒柱として養っていかなきゃいけないという気持ちにはなりますよね。

小峠:まあまあそうね。もう死ねないなと思いました。今までは僕1人の命でしたが、そういうことではなくなってきたなと。


――お二人とも結婚で覚悟が芽生えたんですね。

西村:そうですね。結婚も転機だと思います。

■バイきんぐ
小峠英二(1976年6月6日生まれ、福岡県出身)と西村瑞樹(1977年4月23日生まれ、広島県出身)によるお笑いコンビ。大分県の自動車教習所合宿で初めて出会い、その後、大阪NSCの面接で、偶然にして再度運命の再会を果たしたことをきっかけに、1996年5月にコンビ結成。ソニー・ミュージックアーティスツ所属。『キングオブコント2012』で当時歴代最高得点獲得して優勝。見事5代目キングの座に就く。それを機にブレイクを果たし、テレビやライブなど幅広く活躍している。

■『映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ』
監督:橋本昌和 脚本:うえのきみこ 声の出演:小林由美子、ならはしみき、森川智之、こおろぎさとみ ほか 声の特別出演:賀来賢人、バイきんぐ(小峠英二、西村瑞樹) 主題歌:Saucy Dog「スパイス」(A‐Sketch)

(C)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2025 【西村瑞樹】ヘアメイク:原口ふさこ スタイリスト:大瀧彩乃
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