コストコといえば日用品をまとめ買いする大型量販店。そこでロレックスが買えると聞いても信じがたい。
ところが実際に店舗に行ってみると、高級ブランド品を販売している一角がありました。コストコ会長のハミルトン・ジェームズ氏は、会員にフィットした高級ブランド品を提供していくと述べているそうです。その狙いを考察してみたいと思います。

カルティエやフランク ミュラーも、コストコで高級腕時計は本当だった

大型量販店「コストコ」は、1983年にアメリカ ワシントン州シアトルで開店した倉庫型小売店。日本国内では37店舗(2025年8月時点)を展開し、会員制ながら多くの買い物客で連日賑わっています。

そんなコストコでは、ロレックスが買えるらしい。コストコの米国本部会長は「ロレックスを富裕層向けに展開している」と発言しており、実際にコストコのオンラインストアでも高級腕時計が販売されていました。

そこで関東にあるコストコの店舗に行って高級ブランド品の販売状況を確認してきました。

入場ゲートから入ってすぐの一角に、ガラス張りのケースが並び、そこに高級腕時計や宝飾品などがズラリと並べられていました。

この店舗でロレックスの在庫はありませんでしたが、カルティエの腕時計「サントス ドゥモワゼル」が458万円(新品)で販売されていました。2次流通市場(正規店ではなく独自で新品や中古品を仕入れている並行店)では、中古で270万円から360万円で取り引きされていたので、コストコで買うのがアリかといわれればなんともいえません。

また、フランク ミュラーの腕時計「トノーカーベックス ブラッククロコ クロノグラフ」が218万8,000円(新品)で販売されていました。
メーカー希望小売価格363万円と比べると割安ですが、2次流通市場では210万円(新品)ほどで見つけることができました。並行店と比べて、コストコならかなりお得に買えるというわけでもないようです。

この一角では腕時計のほか、ネックレスや指輪、純金金地金(金の延べ棒)なども販売されていて、たくさんの人が群がっていました。
コストコに来る富裕層は多い?

なぜコストコで、100万円を超える高級腕時計や宝飾品などを販売しているのでしょうか。それは大型量販店という店のコンセプトにあるかもしれません。コストコではたくさんの日用品を大容量で販売しています。小分けにしたときの1個あたりの価格は割安ですが、1つの商品単価はそれなりに高く(プルコギ約3,000円、洗剤約2,000円など)、食料品や洗剤、衣料品などをまとめて買うと、お会計は数万円になることは珍しくありません。

1回のお会計で数万円を支払う客の中には、それなりに富裕層がいて、同じ倉庫内で高級腕時計や宝飾品を販売すれば買う人が一定数いるのではという考えだと思います。

日用品と一緒に高級ブランド品を買うことができれば、1回の来店で済むことはメリットになるはずです。また、以前から気になっていた高級ブランド品をコストコで偶然見つけたとすれば、買いたくなる人もいるでしょう。
コストコの高級腕時計は買いなの?

高級ブランド品の正規店ではないコストコで、高級腕時計を買うのはアリなのでしょうか。結論から言うと、アリでもナシでもないというのが正直なところです。


なぜなら、コストコに並んでいた腕時計を見ると、並行店などの2次流通市場で売られている新品の方がお得に買える場合も往々にしてあるからです。

コストコでの購入後のアフターサービスはどうでしょうか。

コストコの腕時計の中には、腕時計メーカー(正規店としての保証)の保証書を渡せない場合があるとしています。そのため購入後に不具合があったときは、コストコが可能な限り修理または交換、全額返金(理由を問わず返品OK)などの保証を約束してくれるそうです。

とはいっても、一生物として、あるいは何かの記念として購入した腕時計が、全額返金や交換となってしまった場合、思い出の1本が手元に残りません。

そう考えると、コストコで高級腕時計を買うのはどうなのかと思ってしまうのも事実です。
むしろおすすめは、シチズンやハミルトン

正規店以外で売っている高級腕時計はニセモノではないのかといった議論をよく耳にしますが、コストコのような世界規模で展開している量販店でニセモノを売れば大問題になってしまいます。そもそもニセモノを売るのは犯罪行為。バイヤーは確実なルートで仕入れているはずなので、ニセモノの可能性はほぼゼロといっていいでしょう。

今回の店舗訪問でロレックスには出会えませんでしたが、個人的に気になったのは、シチズンやハミルトンなどの腕時計です。いずれも5万円から10万円前後で売られていました。これくらいの価格帯なら、日用品のついでに買っても抵抗がないと感じました。
それ以上の価格帯となると、別の売り場(正規店や並行店など)で、じっくりと腰を据えて検討しながら買いたいところです。

日用品の販売が中心の大型量販店で高級ブランド品販売というのは意外に感じましたが、その一角にはたくさんの人が集まっていて、本気で純金ネックレスの購入を検討している人もいました。客単価が高く、客数が多い場所であれば、高級ブランド品の販売は意外にもアリなのかもしれません。

室井大和 むろいやまと 1982年栃木県生まれ。陸上自衛隊退官後に出版社の記者、編集者を務める。クルマ好きが高じて指定自動車教習所指導員として約10年間、クルマとバイクの実技指導を経験。その後、ライターとして独立。自動車メーカーのテキスト監修、バイクメーカーのSNS運用などを手掛ける。 この著者の記事一覧はこちら
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