女優の多部未華子が、WOWOWで11月23日にスタートする『連続ドラマW シャドウワーク』(毎週日曜22:00~ ※全5話)に主演することが5日、発表された。
このドラマは、ドメスティック・バイオレンスの被害に苦しむ妻たちが、人生を狂わされ、絶望の果てで生きるためにたどり着いた“究極のシスターフッド”を描くミステリーで、江戸川乱歩賞作家・佐野広実氏による2022年刊行の同名小説が原作。
多部が演じるのは、夫から数年にもわたる日常的な暴力により自己喪失し、暴力を受ける自分が悪いのだと考えるまでに至っている主婦・紀子。そんな紀子は、ある日、命からがら逃げだした先の病院である人物と出会う。そして、江ノ島にある一軒の家へと導かれることに。そこで自分と同じ境遇のさまざまな女性たちと共同生活を送るうち、本来の自分と豊かな生活を取り戻していくも、その家に敷かれた秘密のルールにぶつかり、心を砕く。
多部がDV被害者を演じるのは、これが初めて。
コメントは、以下の通り。
○■原作 佐野広実氏
ドラマ化が決定したとき、どう表現されるのか期待がふくらみました。題材がDVですので、なかなか映像化がむずかしいのではないか。そう思っていましたが、今回脚本を拝読して、なるほど映像にするとそうなるのかと勉強になりました。主演の多部未華子さんは自然体のイメージがあるので、紀子を等身大で演じていただけるのではないでしょうか。この作品に出て来る多くの人物は、それぞれドラマの中で「決断」を迫られます。
多部未華子
久しぶりにすごく重めのドラマに参加できるなということ、そしてDV被害者という、今まで演じたことのない役柄を演じることが楽しみです。ハードな描写も多いですし、精神的に追い詰められた女性たちが集まっているちょっと異様な空気を、どのように映像で表現していくのか、まだ想像ができていません。
紀子はあまりセリフの多い役ではありませんが、夫以外には自分の本音をちゃんと述べられるし、女性として生きていくということを見失っていない人物です。傷ついた紀子が、生きようとする力強さを持った女性たちと出会って変わっていく姿をうまく演じられるか心配ですが、私が脚本を読んで面白いと思った紀子の心の変化を、頑張って演じられたらと思います。
ドラマですので、視聴者の皆様にはとにかく楽しんで見ていただけたら十分です。シェルターに集まる女性たちがタッグを組んで何かを果たしていく。その展開に驚きつつも、どのような結末を迎えるのか、見届けてほしいなと思っています。
○■監督 山田篤宏氏
『シャドウワーク』という非常に面白い原作を初めて読んで以来2年強、練りに練った脚本をようやく撮影できる段階になりました。WOWOWの「連続ドラマW」はずっと憧れの舞台でしたので、自分の全力を尽くして取り組みたいと思っています。本作は重たいテーマとサスペンス性を持つ話ではありますが、その一方で、共同生活を通じてお互いを支え合い、認め合い、慈しみ合う女性たちの、穏やかな物語だとも思っています。
○■脚本 関久代氏
『シャドウワーク』を手に取り、読み始めてすぐ(三分の一あたりで)本を閉じたことを思い出します。あまりに面白く、読み終えたくない気持ちが半分、それほどの小説の映像化に携わる緊張と不安が半分ありました。ただ読む手は止まらず、真っすぐに胸をえぐられました。執筆が始まってからは、この感動が伝わるものにしたいと思い、監督やプロデューサーの皆さんと何度も何度も打ち合わせを重ねました。佐野先生の世界にどこまで近づけたか分かりませんが、皆さんのおかげで脚本が仕上がり、映像化されていきます。 とんでもなく素晴らしい出演者の皆さま、凄腕職人にしか見えないスタッフの皆さまが集結してくださいました。どんな温度を持ってこの物語が昇華するか、見届けていただけたらと思います。この作品がどこかの誰かへのエールとなりますように。
【編集部MEMO】
多部未華子は、1989年1月25日生まれ、東京出身。映画『君に届け』『あやしい彼女』、ドラマ『つばさ』『私の家政夫ナギサさん』『いちばんすきな花』などで幅広く活躍し、第48回ブルーリボン賞新人賞を受賞。2019年に写真家・熊田貴樹と結婚、21年に第1子出産。
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