愛用する腕時計を手がかりに"人生の時"を語ってもらうインタビュー連載『夢を刻む、芸人の時計』。テレビでおなじみのあの芸人は、どんな若手時代を過ごし、ブレイクの瞬間を迎え、どうやって未来を刻んでいくのだろうか? そのストーリーに迫る。
本稿で話を聞いたのは、ジャングルポケットの太田博久さん。愛知県豊田市出身、柔道一筋で大学まで進学し、就職内定を辞退してNSC東京校へ。その後、ジャングルポケットを結成した。
○柔道に打ち込んだ学生時代
――初めて自分で買った腕時計を覚えていますか?
高校生のときに買ったG-SHOCKですね。ずっと柔道をやってたんですが、そのコミュニティの中で情報としてある"かっこいい時計"がG-SHOCKだった。僕は"ど真ん中"が好きなんです。男と言ったらG-SHOCKというイメージがあって、お年玉とかかき集めて、1万5,000円くらいで買ったと思います。
ただ、つける機会なんてほぼないくらい柔道漬けの毎日でした。始発で学校へ行って朝練して、夜練して8~9時くらいに帰ってくる。休みは年に2~3日しかなかったんで、時計はおろか私服も必要ない、みたいな学生生活をおくってました。
合宿で出会った岐阜県の高校の1個上の女子の先輩と付き合ってたんですけど、毎日練習していたので次会えたのが翌年の合宿でしたね(笑)。一回だけ名古屋で会う、となったときも、お互い外に着ていく服を持っていなくて困ったくらいなので。
○「勝負して来い」母が託した100万円で、芸人の道へ
――初めて舞台に上がったときのことは覚えていますか?
NSC在学中に出れるライブが当時あって、それが初めてですね。木村祐一さんがNSCの講師で大喜利の授業をしていて、その選抜クラスに僕が入っていて。100人くらいが入れるシアターDっていう会場で、ネタとネタの間にある大喜利コーナーで初めて舞台に立ちました。
本格的にネタを披露したのは、在学中に出た、M-1グランプリの1回戦が最初かな? そのときは別のやつとコンビ組んでたんですけど、僕は当時からおたけと仲良くて。飯食えないときから、おたけの実家のもんじゃ焼き屋でお世話になってたんです。あいつはあいつで地元の友達とコンビ組んでて、M-1に向けて、一緒に晴海ふ頭でネタ合わせしてたのを覚えてます。
実際の舞台はというと、コンビでピンクのタンクトップ着て、相方がボケて、僕がヘッドバットで突っ込むっていう変なネタをやって、全然ウケませんでしたね(笑)。2人で笑っちゃったのと、おたけの当時付き合ってた彼女がめちゃくちゃギャルで、会場に見に来てくれてたんですけどめちゃくちゃ目立ってて、面白かったっていう思い出があります(笑)。
そのあと、僕はおたけからコンビ組もうって誘われるんですよ。
NSCって願書を出した順番にクラスが構成されるんですが、僕もおたけも締切のギリギリに願書を出して入っていて。迷って迷って入ってきたやつらが集まるクラスにいました。
それを聞きつけた斎藤が、俺も入れてくれって。それで、それぞれコンビ解散して3人になって、そっからはちゃんとコントやってって感じでした。
――願書を出すのがギリギリだった?
大学まで柔道で進学して、全国大会出るような柔道部のキャプテンだったんで、就職も決まってました。僕の中で柔道ってすごいいい意味で、ずっと縦の結束が強くて、高校から大学、結果的に柔道で就職先も決まったようなものなので。そのルートから出ることはすごい怖かったし、悩みました。でも、飛び出すなら今しかないなと思って、大学卒業の3月に就職内定を辞退して、NSCに願書を出したんです。
NSC入学を家族に相談したとき、当然父親は「何言ってんだ」って感じだったんですけど、母親が「入学金と東京で住む家はこれでどうにかしなさい」「勝負して来い」って100万円が入った茶封筒を渡してくれて。
――かっこいいお母さまですね。ずっと柔道を続けてきた中で、なぜお笑い芸人を目指されたんですか?
正直、東京に出れればなんでも良かったっていうのが一個ありました。でも3月ですよ、就職が決まっていたけど辞退するって、何か大義名分がなければ、柔道部の監督に報告できない。専門学校も探していたんですが、そのとき募集していたのがNSCしかなかった。
そこで不思議と、お笑い好きだし、ずっと柔道しかしてなかったけど、唯一やりたいことってお笑いだなと思って――NSCにちょうど歯車がカチッとはまった感じですね。
○2人でゼロからのスタート、仕事も家庭も全力投球で
――いま一番大切にしたい時間はありますか?
ジャングルポケットは19年目なんですけど、いろいろあったので、おたけと2人でゼロから芸に向き合わなきゃいけない、一番頑張らないといけない時期です。
だから、いま劇場にめっちゃ出てます。支配人や社長が見に来てくれて、ネタについて意見をくれたりして、吉本っていい会社だったんだなって改めて感じています。2人になってネタがゼロになったので、どこでもウケるネタを作らないといけないし、それだけじゃなくて、どの劇場でも同じネタだけやってるのは申し訳なくて。日々時間が足りないと感じています。
そんな中で、1人の人間として大切にしたいのは、やっぱり家族の時間ですね。毎週土曜日はお休みにして、子どもと家族で遊ぶ時間を作っています。
子どもは3人いて、一番下が1歳、一番上が8歳、全員女の子なんですよ。相手してくれるのもあと数年だなと思うと……この数年は超絶大事にしたいなと。この先、相手にしてもらえない期間の方が長いわけじゃないですか(笑)。「子どもとの時間、幸せだったな」という思い出で、残りの人生を生きれるくらい、濃厚な時間を過ごしたいです。
――ご自身の時間を確保するのはなかなか難しい?
自分の時間はなかなか取れないですけど、滑り込みで週に2回ジムには行っています。ずっと柔道続けて体鍛えてきたんで、人として、生き物として弱くなるのは怖いんで(笑)。
○結婚を機に手にしたサブマリーナ、"かっこいい人"がつけている時計に憧れ
――いま大事にされている時計を教えてください
10年前、奥さんからもらった「ロレックス サブマリーナ」です。もともと、"最初の大きな買い物はサブマリーナ"って決めてたんですが、結婚するときに、婚約指輪のお返しとして贈ってもらいました。
僕はロレックスマラソンをしても全然手に入れることができなかったのに(笑)、奥さんが「伊勢丹にあるよ」と見つけてくれたんですよ。
――サブマリーナには思い入れが?
大学生のとき、キムタクがグリーンのサブマリーナをつけていて、いつかつけたいなと思ったのがきっかけです。
そのあと、たまたま読んでいた雑誌で、サーフィンやりながら俳優してる、みたい人が、傷だらけのサブマリーナをつけて「親父からもらったものなんだよね、次は息子にあげようと思っている」とインタビューに答えている姿が、すごいかっこよかったんですよね。
今のところ、子どもはみんな女の子ですが、将来僕も、娘の夫とか孫とかに、受け継ぎたいと思っています。
――将来手に入れたいと思っている時計はありますか?
手に入れたいというか、唯一気になっている時計は、パテックフィリップのノーチラスです。バナナマンの設楽さんがつけているのをみて、憧れてます。設楽さん、古着とかを着こなしていておしゃれでかっこいいじゃないですか。
時計をコレクションとして集めたい、というのはなくて。
○サブマリーナをつけて颯爽と歩く未来をつくりたい
――最後に、この時計とどんなときを刻んでいきたいですか?
60歳くらいになってこの時計をつけたときに、もっとかっこよく、 似合う感じになってたら、 いいなと思いますよね。 やっぱまだ全然、ロレックスの方が強いなと思っているので。より一層似合うようになっていたい。
――60歳、どんなことをされていると思いますか?
いやもう、 どうなるんだろうと思ってて。僕らの世代で、これだけ芸人の数がいて、全員生き残っているわけではないだろうし。いま、ショーレースで賞をとったとしても、毎年チャンピオンが生まれているわけで、そうそう劇場で出番がたくさんあるわけではない。だから、俺、60歳になったときに、まだ芸人やれてんのかなっていうのも、めっちゃ考えるんですよ。
もう全然食えなくて、サブマリーナを質屋に入れる可能性すらあるというか。サブマリーナを取り戻すために、頑張って仕事している可能性もあるなと。颯爽とこれつけて歩いてる姿の方が実は想像しづらいというか。
だから、こいつが、俺の腕にいてくれる未来を願ってます。どんな形でも、エンタメ界というか、お笑い芸人として生き残っていけるようにがむしゃらに頑張りたいですね。
――12月5日にパンサーさんとユニットライブを開催されると伺いました。意気込みをお願いします。
ユニットライブって一般的には若手の頃にやったりするものなんですけど、ここにきて、もう芸歴19、20年を超えたおじさんたちでやろう、ということになりました。
昔、一緒にユニットコント番組をやってたんで、久しぶりに一緒にコントやるのも楽しみですし、パンサー自体も3人が集結して新ネタやるのが久しぶりなので、間近で見れるのをワクワクしていますね。
実は僕らが一番大変なときに、パンサーが「僕らずっと一緒にやってきたんで、もう一緒になって、5人でパンサーでいいですよ」と言ってくれたのが、今回のライブのきっかけなんです。本当に持つべきものは仲間だなと。
今回のライブがうまくいって、全国ツアーとかできるようになって、いろんな場所で、いい打ち上げができることを目標に、頑張りたいですね。
ジャングルポケット×パンサーユニットライブ『ジャパン』
日時:2025年12月5日(金)19:00 開場/19:30 開演
会場:ルミネtheよしもと
(新宿区新宿3-38-2 ルミネ新宿店2 7F)
出演:ジャングルポケット、パンサー
チケット料金:前売 5,000円/当日 5,500円
チケット販売:FANYチケット
配信チケット料金:2,500円
配信チケット販売:FANY Online Ticket











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