東レリサーチセンター(TRC)は11月18日、京都大学(京大) 化学研究所の若宮淳志教授との連携により、次世代太陽電池として注目される「ペロブスカイト太陽電池」の構成成分を深さ方向に高精度解析できる新技術を開発し、受託分析サービスとしての提供を開始したことを発表した。
なお同成果の詳細は、米国化学会が発行する化学分野の学術誌『Journal of the American Chemical Society』に掲載された。
○注目のペロブスカイト太陽電池を高精度で分析する新技術
世界各国でカーボンニュートラル実現に向けた取り組みが進む中、再生可能エネルギーへの転換を促進するキーデバイスとして期待されるのが、ペロブスカイト太陽電池だ。同太陽電池は、従来のシリコン型太陽電池に比べ、塗工プロセスによる発電層(光吸収層や正孔回収層など)の製膜が可能なため製造が容易であるのに加え、軽量・柔軟・低コストなどの利点を有する。さらにフィルムへの製膜も可能である特性を活かし、フレキシブルな次世代太陽電池としても注目を集めている。
ただし、ペロブスカイト材料は有機成分を含む構造であるため、水分や熱に対する化学的安定性が低く、分解や劣化が生じやすいという課題も残しており、現在では長期的な信頼性の確保が求められているとのこと。特に層構成や界面の成分分布については、デバイス性能や劣化に大きく影響することから、ナノメートルスケールでの高精度解析が不可欠とされていた。
TRCによれば、そうした課題を解決する技術のひとつとして期待されていたのが、GCIB-TOF-SIMS(ガスクラスタイオンビーム照射型の飛行時間型二次イオン質量分析法)だという。同手法は、表面から深さ方向にわたる元素・分子の分布を高感度・高分解能で測定できるため、ペロブスカイト太陽電池の構造解析には適しているとされる。ただし従来法では、測定時に生じる熱などの要因によって有機成分の揮発や材料の変性が生じ、正確な分布把握が困難だったとする。
こうした状況を受け、TRCは、国際的にも評価を受ける京大 化学研究所の若宮淳志教授との連携を通じ、試料を冷却した状態で測定する新たなアプローチを考案。冷却下での測定により、ペロブスカイト材料の構成成分であるホルムアミジニウム(FA)やメチルアンモニウム(MA)などの低分子有機成分の揮発が抑えられるとともに、二次イオン強度が安定し、ペロブスカイト層本来の構造を忠実に反映した深さ分布が取得可能になったという。加えて、深さ方向の分解能についても従来手法と比べて大幅に向上し、層構造の界面をより明瞭に捉えられるようになったとのこと。つまり、ペロブスカイト太陽電池の光吸収層や正孔回収層などの本来の成分分布を高精度で捉えることに成功したとしている。
TRCは今回開発された新技術を用いることで、ペロブスカイト太陽電池デバイスにおける深さ方向成分分布を高精度に解析できるため、今後の材料開発や製品評価において信頼性の高い分析基盤としての活用が期待されるとする。また同社は、新技術を用いた受託分析サービスの提供開始も発表。これを通じてペロブスカイト太陽電池の研究・技術開発を支援するとともに、材料設計・界面制御・信頼性評価などの各開発フェーズにおける課題解決に貢献していくとした。
特に界面における成分の偏析や分布の定量的な分析は、ペロブスカイトデバイスの性能安定化や長寿命化に直結する重要な要素であることから、今回の技術・サービスが果たす役割は極めて有効だといい、TRCは今後もペロブスカイト太陽電池における技術的課題に対して、分析技術の高度化と応用展開を推進することで、再生可能エネルギーの普及およびカーボンニュートラル社会の実現に貢献していくとしている。











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