佐藤は攻守ともに成長を求められている(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 阪神は4月28日に行われたヤクルト戦(甲子園)に4-3と勝利。接戦をものにして貯金を今季最多の「5」まで伸ばしている。

 先発の才木浩人が5回7安打3失点と苦しむ中、1点を追う7回二死一、二塁の好機に主砲・大山悠輔が放った打球は左方向への高いフライに。これが甲子園特有の「浜風」により不規則な動きを見せる中、サンタナが必死にスライディングするも届かず、走者一掃のタイムリーとなった。

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 地の利も味方につけ、チームは連勝。26日のゲームで4失策を喫し、岡田彰布監督自らが気合いを入れたとされるミーティング以降、連勝と勢いをつけてきた。

 またこの試合で注目を集めたのはスタメン起用にもあった。打撃不振にあえいでいた佐藤輝明を先発から外し、「6番・三塁」で糸原健斗を先発出場させた。

 このところ代打でも結果を残していた糸原はベンチの期待に応え、3安打の猛打賞。2回無死一、三塁の好機には小澤怜史の低めフォークを捉えて、中前への適時先制打。甲子園の猛虎ファンを喜ばせる活躍を見せると、4回一死で左前打、8回無死でも左前打としっかり結果を残した。

 一方、開幕からなかなか調子が安定しない佐藤は試練のときを迎えている。前日27日のヤクルト戦は4打数無安打3三振。スイングはキレを欠き、打席でも迷いの表情が目立つ。

糸原が気を吐いた28日の試合も8回二死二塁の好機に代打で出場したが、空振り三振に倒れた。打率は「.186」まで落ち込んでいる。

 今季がプロ4年目、左打者として史上初となるルーキーから3年連続20本塁打以上をマークと誰もが認める長打力がありながら、好不調の波が激しく、不調のときが長いのも課題とされる。

 今季はオフに米ドライブラインに出向き、フォーム改造にも着手、自身でも安定した成績を残すために摸索しているが、苦しい日々が続いている。

 一方、今回の岡田監督の起用は早めのカンフル剤でチームを上向かせたい意図も感じられる。27日の試合からは26日の試合で3失策した木浪聖也を外して、遊撃に小幡竜平を起用。

スタメン起用された試合で結果を残した。

 昨年の日本一メンバーとはいえ、”安泰ではない”というメッセージは選手の危機感にもつながり、切磋琢磨してより高いレベルでのレギュラー争いにもつながることに。目指す球団初のリーグ連覇への道のりは容易ではないと感じているからこそ、早い時期にムチ入れを行っているようにも見える。

 岡田監督は改めて主軸の佐藤に対して「打つこと」「好球必打」を求めている。

 これまでも幾度となく叱咤を受けながらはいあがってきた背番号「8」の巻き返しを期待したい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]