エンゼルスでメジャーデビューを飾ったクリストファク。(C)Getty Images

 現地時間4月28日に本拠地で行われたツインズ戦でエンゼルスは5-11と完敗。

連敗が「4」と伸びたが、この一戦では26歳の中堅リリーバーであるザカリー・クリストファクがメジャーデビューを飾った。

【動画】念願のメジャーデビューを飾ったエ軍右腕クリストファクの奪三振シーン

 チームが5点差をつけられた8回からマウンドに立った右腕は、前日にコールアップされ、トリプルAの試合開催予定地だったテキサスから急遽合流した影響もあり、制球が定まらずに2回(39球)を投げ、被安打3、四死球2、2失点。最高の結果こそ出なかったが、2019年にドラフト14巡目指名を受けた男はキャリアの第一歩を踏み出した。

 試合後に「信じられない瞬間だった。僕が夢見てきたことだから」と感慨深げに振り返るクリストファクにとって、メジャーのマウンドは単なるものではない。

「壮絶」という言葉で片づけられるほど、簡単ではない問題を乗り越えてきた。

15歳だった2012年に父親がジョージア州にあった自宅で母親を殺害する想像を絶する事件に遭っていた。米メディア『The Athletic』によれば、野球チームの練習帰りに帰宅した際に自宅を大勢の警官が取り囲んでおり、そこで事情を説明されたという。

 15歳の青年が受けた心の傷の大きさは想像に難くない。それでも「自分が、自分と同じような悲劇を経験した人たちのためにインスピレーションになりたいんだ」と語るクリストファクは、こう力強く語っている。

「僕は100%そういう人たちのためにいる。野球は僕にとって最高のプラットフォームなんだ。

こうしてユニホームを着ることで、僕が誰かの助けになることができれば、それはとても大きなことだ」

 デビュー前には、兄のハリソンさんと電話で会話をしたという。「彼と話せたことはとても良かった。口数も、言葉も、それほど多くなかった。沈黙も多かった。でも、メッセージは伝わった」と明かしたクリストファクは、「ここまで、とても感情的で、浮き沈みの多いジェットコースターのような日々だった。でも今日、僕にもできると証明できた」と吐露。

激動の日々をこう振り返っている。

「野球人生だけでなく、僕の人生そのものにとっても、今日という日は本当にクレイジーな出来事だ。そして、これは僕だけでなく、家族、友人、そして故郷の人々にとっても重要な日だった」

[文/構成:ココカラネクスト編集部]