メッツで覚醒を遂げたギャレット。その快投には現地メディアも唸る。

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 日本球界での経験を経て、元西武助っ人が意外な快投を披露している。今季からメッツに加わったリード・ギャレットだ。

 現地時間4月28日のカージナルス戦では、10回表から3番手として登板。1-1の同点でのタイブレークで一死三塁の得点機を作られたが、2奪三振でピンチ脱出。続く11回表には先頭打者に適時打を許したものの、後続を危なげなく抑えて、最少失点で切り抜けた。

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 メッツのサヨナラ勝ちを呼び込む快投を披露したギャレット。

今季はここまで8登板で、14回2/3を投げ、防御率0.61、WHIP0.95と安定感は抜群だ。奪三振率も16.57と極めて高い。

 ギャレットは20年から西武で2シーズンプレー。当時は160キロを超える4シームを武器としたパワーピッチャーだったが、メジャー移籍後、とりわけ今季は別人のような投球内容を見せている。

 思うようにメジャーの強打者たちを抑えられず、マイナー降格も経験した31歳は、昨季終盤にシンカーを習得。さらにスイーパー、スライダー、スプリットにも磨きをかけ、直球主体から多彩な変化球で相手を翻弄するスタイルにモデルチェンジ。

とりわけスプリットは効果抜群で、空振り率69.6%、被打率.063と全くと言っていいほど打たれていない。

 自己改革が実を結び、球界屈指のリリーバーとなったギャレットには、地元メディアの重鎮記者も唸らせる。ニューヨークの日刊紙『New York Post』のご意見場であるジョン・ヘイマン氏は「リード・ギャレットはどこからともなく現れた」と、今季の活躍がサプライズであることを強調。目覚ましい活躍を次のように評している。

「数あるサプライズのなかで31歳のジャーニーマン、ギャレットのそれに匹敵する投手はいない。統計的に言っても、それは紛れもない事実だ。

今シーズンを防御率7.10、WHIP7.10という見苦しすぎる成績で開幕を迎えた彼は、メジャーで一度は見放され、本当の希望を持ち続けるためだけに日本で2年間を過ごした男だった。そんな彼が目立たない選手から打てない選手へと変貌を遂げたのだ」

 己を磨き上げ、31歳となって覚醒を遂げたギャレット。「正直言ってしまえば、やりたいことはやれたよ」と語る彼の夢物語はまだまだ始まったばかりだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]