球場でハチの駆除を行って一躍ヒーローとなったヒルトンさん(C)Getty Images

 現地時間4月30日(日本時間5月1日)にアリゾナで行われたドジャース対ダイヤモンドバックスの試合は、延長10回タイブレイクの末にクリスチャン・ウォーカーの2ランでダイヤモンドバックスが4-3と逆転サヨナラ勝ちを収めた。

【動画】急きょ始球式に登場したのは?ハチを駆除したヒーロー、マット・ヒルトンさん

 ただ、その試合展開より驚いたのが、試合前の予期せぬハプニングだった。

バックネット最上段にできたハチの巣のせいで試合開始が1時間55分遅れたのだ。選手がもしもファウルボールをその付近に打った場合、ファンや選手にハチが向かって降りてくる危険性があるため、この日「2番・DH」で出場したドジャースの大谷翔平も、ベンチからバットを持って見守るしかなかった。
 
 この騒動に対して、米メディア『MLB.com』のスティーブ・ギルバート記者は「害虫駆除のヒーローが、ドジャース対ダイヤモンドバックスの試合をハチから救う」というタイトルの記事を配信している。

 同メディアによれば、ハチの大群と巣を駆除したマット・ヒルトンさんは「6歳の息子・リーバイくんのティーボールの試合を観戦するために席に着いていた」とそうで、「ティーボールの試合が始まっているときに電話がかかってきた。彼はすぐにトラックに飛び乗り、チェイス・フィールドに向けて出発した」のだという。

 また、ヒルトンさんのコメントも紹介。

ヒルトンさんは「これ(ハチの駆除)が試合を進める上で非常に重要だったことはわかりました。ダイヤモンドバックスの球場でハチが出ていると聞いて、すぐに対処しようとしました」と語り、その上で「素早く準備してゲームを開始することができて良かったです」と、喜んだそうだ。ハチを駆除した後も、すべてが落ち着くまでさらに30分ほど待ってからゲームを開始する必要があるとも伝えたという。

 審判団は両チームの監督と話し、どれだけ時間がかかるかが分かった時点で試合を延期するという話もあったようで、ヒルトンさんの冷静で迅速な対応がこの日の試合実現につながったといえる。

 この日の”救世主”がカートに乗って球場に到着すると、スタンドからは大きな歓声と拍手が起こった。ボニー・タイラーの「Holding Out For A Hero」が鳴り響く中、無事にハチを駆除したあと、場内からは「MVP」コールも起きた。

さらに、急きょ始球式のためにマウンドに上がる演出も用意されていた。

 メディアのインタビューを受けるなど、一躍ヒーローとなったヒルトンさんは「自分のやるべきことをやって帰ろうと思っていた。でも楽しかった」と振り返り、「私が少し早く帰ったことで、息子はおそらく少しがっかりしていたと思う。でも、今は大丈夫だと思う」と、父親としての顔ものぞかせた。

 スタジアムでは何が起こるかわからない。アリゾナのファンにとっては、急きょ“登板”することになったヒルトンさんのファインプレーが、サヨナラ劇で幕を閉じたこの試合のヒーローのひとりに映ったに違いない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]