伊藤は先発の一角を勝ち取れるだろうか(C)産経新聞社
注目の「人的補償」。巨人のリストからソフトバンクが選んだのは、大器晩成の28歳でした。
このオフ、ソフトバンクからベテラン捕手の甲斐拓也をFAで獲得した巨人。G党の不安は人的補償で誰が取られるか、でした。プロテクトできるのは、支配下選手のうち、わずか28人。ただでさえ選手層の厚い巨人にとって、有望な逸材や一時代を築いたベテランが漏れるのは、致し方のないところです。
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ソフトバンクのお眼鏡にかかったのは、プロ4年目の伊藤優輔でした。
都立小山台高時代は21世紀枠で選出され、甲子園のマウンドに立った「都立の星」。阿部監督と同じ中央大を卒業後、社会人野球の三菱パワー(現三菱重工East)で成長を遂げ、2020年ドラフト4位で巨人に入団。小山台高から初のプロ野球選手になりました。
1年目の2021年秋に右肘のトミー・ジョン手術を受け、育成選手に。約2年、苦しいリハビリに取り組んできました。昨年7月に支配下へと復帰し、悲願の1軍初登板。1軍では全て中継ぎで8試合に登板し、防御率1.04。
巨人取材歴のあるベテランのスポーツ紙記者は、こう語ります。
「巨人ファンにとっての『二大トラウマ』は内海哲也を西武に、長野久義を広島にもっていかれたことでしょう。ともに巨人にとっては失ってはいけない人材でしたが、目の前のシーズンを戦うために必要な若手をプロテクトすれば、実力が下り坂のベテランはどうしても漏れてしまう。そう頭では分かっていても、二人の場合は存在感が大きすぎて、余波も大きかった」
さらに、こう続けるのです。
「そういう意味では、伊藤の放出は確かに痛いけれども、ファンの間でも知る人ぞ知る存在だったというのが正直なところ。少なくとも騒動には至っていない。これが小林誠司といったビッグネームだったら『何でリストから外したんだ』と大問題になっていたでしょう。やむなしというところではないでしょうか」
一方、ホークスファンからすれば思い入れの強い甲斐とのお別れは寂しいけれども、150キロ超の強いボールを投げる伊藤の加入は心強いことでしょう。
早くも小久保監督は先発起用を示唆。強力なローテーションの一角を担う可能性も十分あります。
「報道によれば伊藤の年俸は820万円。
中央大の先輩にあたる阿部監督が、やはりプロテクトすべきだった…と後悔するほどの活躍ができるか。その剛腕に注目です。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]